願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

大学定員抑制法で一極集中の是正か

 ☆東京一極集中是正法案

    東京一極集中是正法案:23区内の
    大学の10年間定員凍結
      毎日新聞 2018年1月19日

  政府は、「東京一極集中」を是正する法案の概要
 をまとめた。東京23区内の大学の定員増を10年
 間認めず、地方の大学や中核産業の振興計画を作成
 した自治体に助成する。

 梶山弘志地方創生担当相は19日、法案概要を示し、
 「東京の一極集中をしっかり是正していくことが
 地方創生にもつながる。政策総動員であたりたい」
 と述べた。安倍政権は2019年の統一地方選や
 参院選対策として、地方創生に注力する方針だ。

  東京圏(東京、千葉、神奈川、埼玉の1都3県)
 に地方から若者が流入していることを踏まえ、東京
 23区内の大学を対象に、10年間の時限措置とし
 て「学部などの学生の収容定員を増加させてはなら
 ないと規定する。

  「ただ、定員増を法律で凍結する方針に対しては、
 日本私立大学連盟の鎌田薫会長、、、東京都の小池
 百合子知事も「東京の国際競争力を低下させる」と
 撤回を求めた経緯がある。政府は時限措置にする
 ことで関係者の理解を得たい考えだ。


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 ☆何を優先するか

    一極集中是正/地方大振興と言うなら
       信濃毎日/2018/1/17

  東京の大学の定員を抑えれば地方は活性化する。
 そんな短絡的な発想で法律をつくっては困る。

  政府は東京23区内の大学定員増を原則10年間
 認めないとする一極集中是正の関連法案をつくり、
 22日召集の通常国会に提出する方針である。


  だが、東京の大学を出た若者があまり地方に戻ら
 ないのは、希望する就職先が少ないことが大きな
 要因だ。大学定員を抑えて解決する問題ではない。

  一極集中是正のため優先すべきは地方の雇用の確
 保である。企業の本社機能の地方移転や地方採用枠、
 地域限定社員の導入などを促す施策を強く進めるべ
 きだろう。

  大学が多い都会で学生が学ぶことは地方にとって
 マイナスではない。さまざまな勉強をした若者たち
 がUターンできれば、地域の活力になる。定員抑制
 は時代に合った学部・学科の新設を妨げ、学生の選
 択の幅も狭めてしまう。



 ☆東京一極集中をどうするのか

  東京の大学定員を抑制して、一極集中を是正すると
 いうのは短絡的で困ったことだと思う。

 大学を卒業しても、他に魅力的な都市がなければ東京
 へ東京へと集まる。

  人口と産業の集積が多様な魅力と吸引力をもたらし、
 モノ・カネを呼び込んでいる、と最近の首都圏白書は
 認めている。

 更に国際競争力を強化して日本全体を牽引しなければ
 ならないという。

  国際競争のために東京へ資金、人材、企業を更に集
 中すべきだという主張は、そのまま逆に地方が不利で
 ある理由を表している。

 収益性が低いのは地方の努力不足が主因ではない、
 だから政府や企業の機能を地方に移転しなければなら
 ないと決めたはずである。

  首都機能の移転が実現するまでは、首都税のような
 国税をかけて地方に渡しても良さそうだが、東京都は
 独自財源を侵すべからずと、主張しているらしい。



 ☆一極でなく多極を目指す

    東京一極集中 このままじゃいけない
       朝日新聞 2017年2月20日

  東京一極集中に歯止めがかからない。 総務省の
 人口移動報告で、東京圏の1都3県は昨年も12万
 人弱の転入超過になった。

  過度の一極集中は日本全体の未来を揺るがしかね
 ない。どうすれば是正できるか。地方創生の5カ年
 計画の折り返しを迎える今、政策を練り直すべきだ。

  根本的な問題点は、東京に集まり過ぎている行政
 や経済の機能を、国土全体にどう分散していくか、
 という骨太の理念がいっこうに見えないことだ。

  地方創生の目玉だったはずの中央省庁の地方移転
 が、その典型だ。 全面移転するのは文化庁のみに
 とどまった。


  「東京一極でなく、多極を目指す」という理念を
 明確かつ具体的に示すべきではないか。

  今の地方創生はもっぱら国が交付金で自治体の奮
 起を求める相変わらずの中央集権型だ。政府は昨年
 末から、東京都心部の大学の新増設を抑える検討も
 始めた。だが卒業後も働きやすく、住みたいと思わ
 せる地方を増やさないと、若い世代の流入を抑える
 効果は期待薄だろう。

  地方の魅力を高めるには、核となる都市を中心に、
 各地域の特性を踏まえた策を実行していくしかある
 まい。そのためには、地方が自主性を発揮できる
 権限と財源が欠かせない。

 

40代の貧困と高齢者の社会保障

 ☆働き盛り世帯で低所得化

    働き盛り世帯で年間所得300万円
    未満の割合が増加
        TBS 10/24

  世帯主が40代の働き盛り世帯で年間の所得が
 300万円未満の割合が増加していることが、厚生
 労働省の調査で分かりました。

  24日公表された厚生労働白書によりますと、世帯
 主が40代で年間の所得が300万円未満の世帯の
 割合は1994年の11.2%から20年間で5.4
 ポイント増加し、16.6%でした。

  一方、世帯主が65歳以上の高齢者世帯では100
 万円未満の割合が減少し、200万円以上500万
 円未満の割合はおよそ6ポイント増加し、48.2%
 でした。

  白書では、社会保障高齢者に手厚い仕組みになって
 いて、今後は現役世代の所得の向上を支援し、全世代
 型の社会保障へ転換していくべきと指摘しています。



 ☆所得の分布状況

  基礎資料となっている国民生活基礎調査を比較する
 と年齢別、所得金額階級別分布は次表のようになって
 いる。
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 年間所得200万円未満の割合は

   平成9年 → 平成28年

 (総数で)14.8 → 19.6% = 1.32倍

 (40代で) 5.3 → 9.5 = 1.79倍

 (65歳以上)26.4 → 28.2 = 1.07倍

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 ☆40代の高所得者    20年間の推移をより詳しく比較すると   f:id:ansindsib:20180104043308j:plain
  40代で高所得者の割合が目立っている。

 (1)たしかに、40代で低所得者の割合が上昇し逆に
   65歳以上は、上昇が少ない。

 (2)しかし、総数で見ても300万円未満、100万円未
   満ともかなり上昇している。

   この間に1世帯当たり平均所得金額は17%減少し
   ており、所得の中間を表す中央値は21%減少して
   いる。

   低所得化は全世代に及んでいることを示している。


 (3)一方、高所得者の割合を比較すると、40代では
   500万円以上の高所得者の割合は他の年代に比べ
   堅調である。総数での減少に比べ緩やかになって
   いる。
      (40代は0.9倍、総数で0.79倍)


 (4)要するに、40代では低所得者が増加している反
   面高所得者の減少があまりない。

 (5)所得格差が40代において、顕著になっているこ
   とが分かる。



 ☆所得格差の広がり

  40代で低所得化しているこの期間に、非正規雇用労
 働者が15%余り増えているという現象が並行している。

 厚労省が、40代が高齢者の社会保障充実のために犠牲
 になって、低所得化していると導くのであれば不適切
 である。

  世代間の不公平ではなく、各世代ともに所得格差が
 広がっているのを解決しなければならない。

 必要なのは、低所得層のかさ上げによる格差解消であ
 り、そのため高所得者に貢献を求めること。福祉削減
 の政策は、これと逆行している。

 

有期契約から無期労働契約に転換する

 ☆無期労働契約への転換を回避

  大手自動車メーカー、期間従業員の無期雇用を
   回避 労働契約法の「5年ルール」が骨抜きに
     朝日新聞 2017年11月04日

  トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーが、
 期間従業員が期限を区切らない契約に切り替わるの
 を避けるよう雇用ルールを変更したことが分かった。

 改正労働契約法で定められた無期への転換が本格化
 する来年4月を前に、すべての自動車大手が期間
 従業員の無期転換を免れることになる。雇用改善を
 促す法改正が「骨抜き」になりかねない状況だ。

  2013年に施行された改正労働契約法で、期間
 従業員ら非正社員が同じ会社で通算5年を超えて働
 いた場合、本人が希望すれば無期に転換できる「5
 年ルール」が導入された。

 申し込みがあれば会社は拒めない。長く働く労働者
 を無期雇用にするよう会社に促し、契約期間が終わ
 れば雇い止めされる可能性がある不安定な非正社員
 を減らす目的だった。

 施行から5年後の18年4月から無期に切り替わる
 非正社員が出てくる。

  改正法には企業側の要望を受け「抜け道」も用意
 された。

 契約終了後から再雇用までの「空白期間」が6カ月
 以上あると、それ以前の契約期間はリセットされ、
 通算されない。これを自動車各社が利用している。

 

 

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 ☆労働契約法改正

 *無期労働契約への転換

  平成25年4月1日から施行された労働契約法改正に
 より、以降に有期労働契約の締結もしくは更新をした
 場合には、その5年後の平成30年(2018年)4月1日か
 ら、労働者は使用者に対して無期雇用の申込みができ
 るようになる。

  厚労省の説明によると、この改正は「有期労働契約
 の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消」
 することを目的にしている。

  多くの会社で有期社員が戦力として定着しており、
 恒常的な労働力であることから、1年契約を毎年自動
 的に更新しているという実態を背景にしている。



 ☆無期転換で企業に負担感

  ところが、この無期転換のルールは企業側には負担
 が掛かることから、2018年問題として対策が検討され
 ているという。改正の趣旨に反する対応が問題になって
 おり、上の新聞記事はその典型です。


  景況などの理由で人員整理するにも解雇ができない、
 無期契約とする場合にどういう労働条件にすれば企業
 負担がやわらぐか。


 *無期転換を実施する労働者を制限するため、能力や
  貢献度を厳しく評価する

 *有期契約労働者の更新を慎重にして、無期転換を
  避ける



 ☆クーリング期間を利用

  無期転換を免れるために大手自動車メーカーが利用
 しているのが、クーリングという6カ月の「空白期間」
 です。

 今回の法改正で、有期労働契約の間に契約がない期間
 が6か月以上あるときは通算契約期間に含めないという
 例外規定が設けられた。

  これについて、厚労省は「無期転換ルールを避ける
 ことを目的として、無期転換申込権が発生する前に
 雇止めをすることは労働契約法の趣旨にてらして望ま
 しいものではない」と説明している。

 労働組合総連合は、雇止めの抑制策や法施行後の検証、
 制度の見直しを訴えている。



 ☆雇い止め、解雇の制限

   ただし、有期労働契約の雇止めが認められるかとな
 ると簡単ではない。雇止めについても解雇権濫用とし
 て無効となることがある。

 最高裁判決で示された次の場合に「客観的に合理的な
 理由を欠き、社会通念上相当であると認められないと
 き」は雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で
 有期労働契約が更新される。


 *過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止め
  が無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認
  められるもの
   (最高裁 昭和49年7月22日 判決)


 *労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時
  にその有期労働契約が更新されるものと期待するこ
  とについて合理的な理由があると認められるもの
   (最高裁 昭和61年12月4日 判決)

 

定額払い固定残業代制度の問題

 

 ☆残業手当の新制度

    トヨタ自動車が新人事制度導入へ
      CBCテレビ 2017/10/14

  トヨタ自動車は入社10年目以降の社員を対象に、
 実際の残業時間に関係なく、毎月17万円を残業
 手当として一律に支給する制度を導入することを決
 めた。

  新しい制度は、入社10年目以降の主任職は本人
 が希望し承認されれば、実際の残業時間に関係なく
 17万円を支給される。

  これは主任職の平均で残業手当45時間分にあた
 り、残業を少なくすればするほどメリットがある
 仕組み。残業が45時間を超えた場合、手当は上乗
 せされる。

  導入は今年12月の予定で、トヨタ自動車は
 「賃金は労働時間の対価であるという考えを払拭し、
 メリハリある働き方につなげたい」としている。

 

 

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 ☆固定残業代制度の特徴   固定残業代(定額払い)制度は、基本給や手当など  に一定時間分時間外労働等の割増賃金を含めて支給す  る制度。  労働基準法に反することはないが、使用者側が残業代  等の割増賃金を支払わないようにするための方策に  悪用されているケースが多い。   残業を少なくすると利点をいう人もいる。「脱時間  給」と報道する新聞もある。  ただ、企業としては主に給料計算のコストを抑える効  果を期待している。  残業代を削減するために悪用されるケースも多いと言  われている。  実際に残業を行っていてもその割増賃金を正当に支払  わず、「固定残業代として残業代を払っている」と  主張し争いになっている。  ☆労基法の割増賃金との関係   この固定残業代制度が認められるためには、次の  ような要件を備えなければならない。   *固定残業代制度を採用することが労働契約の内容    となっていること   *通常の労働時間に対する賃金部分と固定残業部分    が明確に区別されていること   *通常の労働時間に対する賃金により計算した割増    賃金とを比較対照できること   *実際の残業時間数が、標準残業時間数を超えた場    合には、労働基準法によりその超えた部分の割増    賃金を支払うこと  ☆裁判事例   労基法の割増賃金に代わる定額払いの   固定残業代とは認められないとされた   平成25年2月28日 東京地裁 判決  概 要   I T 関連の企業に正社員として入社していたが、  会社の給与規程には、超過勤務手当に代えて精勤  手当を定額で支給すると規定していた。  労基法の割増賃金に代えて基本給などに含めて定額  払いの残業代とする制度が有効か争われた。  判決理由  次の要件を備えているか  (1)当該手当が実質的に時間外労働の対価として    の性格を有していること  (2)定額残業代として労基法所定の額が支払われ    ているか否かを判定することができるよう、    その約定(合意)の中に明確な指標が存在して    いること  要件(1)について   精勤手当は年齢、勤続年数等により数回変動して  おり、時間外労働の対価としての性質以外のものが  含まれているものとみるのが自然である。  また、時間外労働の対価以外に合理的な支給根拠、  目的を見出すことができない性質の手当であるとは  いい難い。  要件(2)について   支給額に固定性(定額制)が認められ、かつ、  その額が何時間分の時間外労働に相当するのかが  指標として明確にされていることが必要である。   ところが、固定性(定額制)に疑問がある。  また、その合意中に支給額が何時間分の時間外労働  に相当するものかを明確にする指標を見出すことは  できない。

 

こんなはずではなかった、動機の錯誤

 

 ☆契約の前提が違う

  婚約相手の前妻と離婚が成立していると信じて婚約
 したのに未だ成立していなかった、というケース。

 独身であると認識していたことは当然の前提であり、
 この婚約は錯誤無効と認められている。

  また、新築マンションを購入した買主が、耐震強度
 に偽装の疑いがあることが発覚したために、分譲契約
 の錯誤無効を主張して提訴した。

 裁判では、耐震性不足があったことは売買契約を締結
 する上で極めて重大な問題であり、錯誤の要素性を満
 たしていると認められた。

  売買契約において原告らの意思表示は無効であり、
 被告は売買代金を返還する責任を負う、とされた。

 

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  ☆動機の錯誤とは   民法では、法律行為の要素に錯誤があるときに限り  無効としている。(95条)   ところで、動機の錯誤については裁判で無効と認め  る例は少ないといわれている。  認められるのは、動機が相手方に対して表示されてい  たり相手方も承知しているなど、もし錯誤がなかった  らその意思表示をしなかったであろうと認められる場  合である。  動機が明示されていないが、黙示的に表示されている  ときでも要素の錯誤として無効となる場合がある。  ☆錯誤無効が認められた事例   平成22年4月22日 札幌地裁 判決    本件各売買契約においては、売主である被告は、   建築基準法令所定の基本的性能が具備された建物   である事実を当然の大前提として販売価格を決定   し、販売活動を行った。   原告らもその事実を当然の大前提として分譲物件   を買い受けたことに疑いはない。    ところが、本件各売買契約においては、客観的   には耐震偽装がされた建物の引渡しが予定されて   いた。   であるのに、売主も買主も、これが建築基準法令   所定の基本的性能が具備された建物であるとの誤   解に基づき売買を合意したことになる。   売買目的物の性状に関する錯誤(いわゆる動機に   関する錯誤)があったことになる。    新築マンションにあっては、耐震強度に関する   錯誤は、錯誤を主張する者に契約関係から離脱す   ることを許容すべき程度に重大なものというべき   であり、民法95条の錯誤に該当するものと認め   るのが相当である。   したがって、本件各売買契約に係る原告らの買受   けの意思表示は無効であり、被告は原告らに対し   売買代金を返還する責任を負う。

 

公務員の違法行為で被害者の賠償請求は

 ☆体罰自殺で損害賠償負担

    桜宮高の元顧問に半額負担請求へ
    体罰自殺で大阪市
       共同通信 2017/8/29

  2012年に大阪市立桜宮高のバスケットボール部
 顧問の男性から体罰を受けた男子生徒が自殺した

 問題で、大阪市が、遺族に支払った損害賠償の半額
 を負担するよう元顧問に求め、大阪地裁に提訴する
 方針を固めたことが29日、分かった。

  遺族は13年12月、大阪市に約1億7千万円の損害
 賠償を求めて東京地裁に提訴。同地裁は16年2月、
 市に約7500万円の損害賠償と遅延損害金の支払いを
 命じ、遺族側、市側の双方が控訴せず確定した。



 ☆公務員による違法行為

  公務員による違法行為によって被害を受けた場合は
 公務員個人でなく、国や自治体に賠償責任を求めるこ
 とになっている。


 国家賠償法

  第一条

  1.国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員
   が、その職務を行うについて、故意又は過失
   によって違法に他人に損害を加えたときは、
   国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずる。



  この場合の公務員個人の賠償責任については規定さ
 れていないが、過去の裁判で次のような考えが示され
 ている。


  職務の執行に当たった公務員は、行政機関としての
 地位においても、個人としても、被害者に対しその
 責任を負担するものではない。

   (昭和30年4月19日 最高裁 判決)


  資力のある国又は公共団体から賠償を受けられれば、
 公務員から直接賠償を受けなくても、被害者は被った
 利益は填補され、被害者の救済に欠けることはなく、

 加害者たる公務員も求償を受けることがあるから、
 公務員が特に個人責任を免除され不公平に優遇されて
 いるとはいえない。

   (平成23年7月25日 大阪地裁 判決)


  我が国の不法行為に基づく損害賠償制度は、被害者
 に生じた現実の損害を金銭的に評価し、加害者にこれ
 を賠償させることにより、被害者が被った不利益を

 補填して、不法行為がなかったときの状態に回復させ
 ることを目的とするものであり、加害者に対する制裁
 や将来における同様の行為の抑止、すなわち一般予防
 を目的とするものではない。

   (平成9年7月11日 最高裁 判決)

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 ☆損害賠償金の求償権   公務員個人に被害者から賠償責任を求めることは  できないが、国又は公共団体が支払った賠償金を、  その公務員に求償する権利が認められている。   第一条   2.前項の場合において、公務員に故意又は重大    な過失があったときは、国又は公共団体は、    その公務員に対して求償権を有する。   公務員に重大な過失があった場合は、その違法行為  により損害を加えた公務員に対して賠償金を負担させ  ることができると定めている。   故意又は重大な過失があったかどうか、認められれ  ば、その個人に負担が求められる。  ☆担当者の重大な過失が認定された判決      元県土建部長らの過失認定      7100万円請求 知事に求める     八重山毎日新聞 2017年07月20日  *識名トンネル訴訟で那覇地裁判決   識名トンネル建設の虚偽契約問題をめぐり、県内  在住の住民が仲井真弘多前知事や当時の県土木建築 部長らで国への補助金返還額のうち利息分の7千百  万円余りを連帯して支払わせるよう翁長県知事に求  めた住民訴訟の判決が19日、那覇地裁であった。  剱持裁判長は、建設工事契約の一部の違法性を認め、  元県土木建築部長と元南部土木事務所長に計7千百  万円余の賠償を請求するよう翁長知事に求める判決  を言い渡した。   この問題で県は、会計監査院から「虚偽の契約書  などを作成し工事の実施を偽装。不適正な経理処理  を行い補助金の交付を受けた」との指摘を受け、  国庫補助金5億7百万円と利息分7千百万円余を返  還している。   判決では、元南部土木事務所長が虚偽契約の締結  に積極的に関与したと認定。元県土木建築部長に  ついては「しかるべき調査をして、これを認識すべ  き義務があったにもかかわらず、これを怠り、注意  義務に違反して阻止しなかった重大な過失があると  言わざるを得ない」とした。

 

消費者の利益を不当に害するか

 ☆がん治療中止でも費用を返還せず

   がん治療中止しても事前支払い費用は一切
   返還せず  消費者団体「不当な内容」と
   契約条項差し止め求め提訴へ
       産経新聞 2017.7.21

  がんの治療を中止しても、事前に患者が支払った
 費用を一切返還しない契約条項は消費者契約法に反
 する不当な内容だとして、岡山市の適格消費者団体

 「消費者ネットおかやま」が21日、広島県福山市
 の「花園クリニック」に対し、契約条項の差し止め
 を求めて広島地裁福山支部に提訴した。

  訴状によると、問題となったのは「樹状細胞療
 法」と呼ばれる先端治療。患者が途中で中止したり、
 死亡したりした場合でも事前に支払った百数十万円
 の費用を一切返還しないという契約を結び、必要
 以上の報酬を得ていると主張している。



 ☆消費者側の主張

  治療費不返還条項には、「樹状細胞は成分
  採血後一度にまとまった量を作製するため、
  その時点で全額負担になる」としている。

  しかし、樹状細胞療法の治療には、成分
  採血後に、樹状細胞の培養、管理及び培養
  検査、ワクチン投与等が予定される。

  また、成分採血に要する時間はわずか2時
  間程度との説明がなされている。

  少なくとも成分採血の終了時に解除がなさ
  れても、明らかに「平均的な損害」の発生
  が治療費全額に相当することはない。


   成分採血後は治療費が全く返還されない
  とする治療費不返還条項は少なくともその
  一部が消費者契約法9条1号の規定に反し
  無効である。

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 ☆消費者契約法の目的

  消費者と事業者との間には情報の質、量そして交渉
 力の格差が大きいので、消費者の利益を不当に害する
 契約が締結されるおそれがある。

 このため消費者契約法は、消費者の利益を擁護し消費
 者の被害を防止する必要上制定された。

  具体的には、消費者が誤認した場合等に契約の申込
 みを取り消すことができる、消費者の利益を不当に害す
 ることとなる条項を無効とするなどの規定をしている。



 ☆契約解除で高額な損害賠償金

  消費者に不利な契約の例として、特約などによって
 事業者の義務が緩和されたり、消費者の権利が制限さ
 れることがある。

 こうした消費者に一方的に不利な条項は無効とする
 規定がある。

  裁判で争いが多いのは、消費者契約法9条の関連
 です。

 契約解除によって事業者に損害が発生しない、また
 は少ないのに高額の違約金、損害賠償金を消費者に
 求める場合です。

  法律は、契約解除に伴う損害賠償額の予定につき
 事業者に生ずべき平均的な損害の額を超える部分は
 無効としている。


 *「平均的な損害」とは(消費者庁)

  契約の類型ごとに合理的な算出根拠に基づき算定
 された平均値であり、消費者契約においてあらかじ
 め算定することが可能なものである。

  解除の事由、時期等が同一の区分に属する複数の
 同種契約において、解除されることにより生じる損害
 額の平均値である。



 ☆契約解除の損害事例

 1)登録済未使用車(新古車)の売買契約の
  キャンセルについて、販売会社が消費者に
  違約金を請求した

  平成14年7月19日 大阪地裁 判決

 (1)売買契約の撤回(解除)は契約締結の翌々日
  であった。

 (2)担当者は売買契約締結の際、代金半額の支払
  を受けてから車両を探すと被告に言っていた。

  対象車両を既に確保していたとしても、他の
  顧客に販売できない特注品ではない。

 (3)従って、被告による契約解除のため販売業者
  に通常損害が発生しうるものとは認められない。

  本件違約金請求は消費者契約法9条1号により
  許されない。  2)大学入学辞退者の学納金返還訴訟   平成18年11月27日 最高裁 判決   大学に合格し入学手続きをした後、入学を   辞退した者が、入学金および授業料の返還   を大学側に求めた  (1)入学金は入学できる地位の対価であり、辞退   者でもその地位を得ているから入学金の返還義務   がない。  (2)授業料を返還しない特約は、消費者契約法   9条に規定する損害賠償額の予定などに該当する。  (3)授業料は返還すべきである。   理由   大学が合格者を決定する際に織り込み済みのもの   であれば、在学契約の解除によって大学に生ず   べき平均的な損害は生じない。   従って、客観的に学生が入学すると予測される   時点(入学時期である4月1日)よりも前の時期に   おける在学契約の解除については、授業料の全額   を返還すべきである。   上記時点以後のものであれば、学生が年度に納付   すべき授業料等に相当する損害を大学が被ると   いうべきで、大学に生ずべき平均的な損害を超え   る部分はない。(その場合は返還の必要がない)