願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

歩道で高齢者と衝突した中学生に賠償命令

 ☆歩行者にも問われる注意義務

 

  中学生が歩行上の注意義務を怠ったとして、高額の賠償

 金支払命令があった。

  事故は、中学生が急いで歩行する際、対向の高齢女性と

  衝突して転倒させ腰の骨折を負わせたもの。

  この裁判では中学生に故意、過失があったかが争われた。

  中学生側は危険な行為はしていないと主張したが、裁判
 所は安全に配慮して歩く注意義務を怠ったと認め、損害賠
 償を命じた。


 ☆高齢女性に790万円の賠償命令

 高齢女性に徒歩でぶつかった女子中学生
 「賠償金790万円」の理由
 NEWSポストセブン 2021/03/30

  歩道を歩いて人とぶつかった女子中学生に、約790万円
 の賠償命令。そんな判決が3月15日、大分地裁で下された。

  2017年9月、大分市の歩道で登校中の女子中学生と
 ぶつかって転倒した怪我で後遺症が残ったとして、
 同市の80歳代女性が約1150万円の損害賠償を求めていた。

  中学生は前を歩いていた4人の生徒を追い抜こうとした
 際、対向の高齢女性と衝突。両手に野菜を持っていた女性
 は転んで腰の骨を折り、腰が曲がりにくくなるなどの障害
 が残った。

  対向の高齢女性と衝突したが、中学生側は いきなり歩く
 速度を上げたり進路を変える危険な行為はしていない と
 主張した。しかし、歩行者同士が衝突する危険があったと

 して、地裁は 追い抜く際に安全に配慮して歩く注意義務

 を怠った過失がある と判断した。

 

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 ☆交通弱者に対する配慮義務

  事故防止のために、特に交通弱者に配慮するよう求めら
 れており、道路交通法などに次のような記述がある。

 〇視覚障害者が安全に歩行をするためには、周囲が視覚障害
  者の歩行特性を知り、事故を起こさない配慮が必要となる。

 〇車いす使用者の移動上の問題

  車いす使用者が歩道上にある店の立て看板,バス停の停車
  場名を記した看板などに通行を妨げられることがある。

 〇高齢者の移動上の問題

  高齢者は、加齢にともなう筋力やバランス機能、視機能、
  認知機能の低下などにより歩行に支障が出ることがある。

 

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 ☆裁判事例

 1)犬の飼い主が負う注意義務について

  ランニングをしていた男性が、路上で犬を
  避けようとして転倒した事故

  平成30年3月23日 大阪地裁 判決
  裁判所の判断

  動物は予想できない行動をとり、人の身体等に損害を
 及ぼすことがあり得るから、係留する義務を負う。

  犬のリードを放した飼い主の過失は、こうした基本的
 な注意義務に違反したもので過失の程度は重い。

 

 2)交差点で自転車と自転車が衝突した事故

  平成14年2月15日 さいたま地裁 判決
  裁判所の判断

  交差点では速度を調節し、左右の安全を確認して事故
 の発生を未然に防止すべき注意義務があったのに被告は
 これを怠った。

  一方、被害者も、交差点を左折する際に直進する左方
 車の有無、その動静を確認しながら道路左側端に沿って
 左折進行していたとすれば、避けられた事故であり、
 被害者も事故回避の注意が不十分であった。