日本で植物工場の経営は
<植物工場の閉鎖>
東芝、植物工場を閉鎖=価格高で赤字続く 時事通信 2016/10/06 東芝は6日、レタスなどの野菜をほぼ無菌状態で育て る植物工場「東芝クリーンルームファーム横須賀」を 12月末で閉鎖し、野菜の生産から撤退すると発表した。 露地栽培の野菜より価格が高いため販売が伸びず、赤字 が続いていた。 植物工場は、旧フロッピーディスク工場の建物を転用 し、蛍光灯の光でレタスや水菜などを栽培していた。 2014年秋に生産を始め、当初は1日約8400株を 出荷したが「露地物と差別化できず顧客が付かなかった」 (広報)という。
<厳しい経営状況> 野菜工場で有名なベンチャー企業「みらい」が経営 破綻したという記事もあり、植物工場の経営が厳しい 現状が報道されることが多くなった。 実態調査では、黒字経営は3割どまりともいわれている。 過去には、「植物工場で強い農業へ」、「無農薬の 野菜を安定した価格と品質で生産できるため、企業の 新規参入が相次いでいる」と称えられた。 「天候の影響を受けずに生産できるので、安定供給が 可能」、「人体への悪影響や土壌汚染のリスクがない」、 「植物工場は期待の産業からもうかる産業へ」等など。 <植物工場の起り> 日照時間が非常に短い北欧において発達してきたと いわれており、露地栽培での作物が少ないことを補うと いう性質があった。 日本では民間の研究機関が始め、経産省など政府で 予算化、拡大の方針が示されて多くの企業が関心を持つ ようになった。 電機メーカーなどが自社技術を活かして、植物工場の 光源を供給するケース、空き空間の活用策として事業の 低迷する工場を閉鎖して跡地を利用する例も紹介されて いる。 <限定的な利用法> 「都市型の新しい農業」、「合理的、効率的で安全」が 強調されているが、科学技術に偏重して自然を生かす ことを蔑ろにしていないのだろうか。 以前から行われてきたモヤシ、納豆、きのこ類の室内 栽培のように適した作物に限定した利用を考えるべきな のか。 農林水産省の資料によると、植物工場で栽培を試した い植物として、嗜好品、香料、色素、医薬品があげられ ている。 最近では、漢方薬の原料が不足しているので、薬用植物 を栽培することも考えられているという。 専門家の話では、植物工場のシステムを輸出すること、 農業に全く適さない災害被災地などに技術を提供する ことも可能と言われている。 <特殊な事例> 富士通、北欧で植物工場 短い日照でも安定生産 (日本経済新聞 2016/11/26) 千葉・幕張新都心の地下に巨大野菜工場誕生へ 企業進出低迷で共同溝有効活用 (産経新聞 2016/04/20) こうした動きもあるようですが、それにしてもなぜ これ程注目されるのだろうか。 量産も難しい、高価格で供給することになるから農業 全体に与える影響は少ない、にもかかわらず。