消費喚起など、政府と経済界の構想とは
<プレミアムフライデー> 政府・経済界に「プレミアムフライ デー」構想 国内の個人消費喚起へ 経団連、10月にも実行計画策定 産経新聞 2016.8.13 政府や経済界で、個人消費を喚起するため、 月末の金曜は午後3時に仕事を終え、夕方を 買い物や旅行などに充てる「プレミアムフライ デー」構想が検討課題に浮上していることが 12日、分かった。経団連は政府に先行して、 10月にもプレミアムフライデーの実行計画 を策定する方針だ。 政府は平成32年をめどに名目国内総生産 (GDP)の600兆円実現を掲げている。 経団連は、実現には現在300兆円にとど まっている個人消費を360兆円に引き上げ ることが欠かせないとみている。 プレミアムフライデーは、早い時間の終業を 受けて夕方に流通業界や旅行業界、外食産業 などが連動してイベントを開催するという内容。 流通業界には商品の価格を引き下げる「セール」 への抵抗があることを踏まえ、イベントにする ことで消費喚起を前面に押し出していく狙いが ある。 <柔軟な働き方> 副業・兼業解禁へ研究会 働き方改革推進 政府 時事通信 2016/10/19 政府は19日、働き方改革の一環として柔軟 な働き方を広げるため、「副業・兼業」の解禁 に関する研究会を新設する方針を固めた。雇用 関係によらない「フリーランス」の働き方を 議論する研究会とともに、11月中に経済産業 省内に設置する方向で調整する。 副業・兼業は、多くの企業が就業規則などで 禁止しているが、最近では容認する動きも出て きた。2014年の中小企業庁の調査では、 3.8%の企業が容認していた。 政府が副業・兼業の解禁を検討するのは、企 業が抱える有能な人材を広く活用するのが狙い。 複数のキャリアを積むことで従業員の成長につ ながるとの期待もある。一方、労務管理が困難 になったり、長時間労働を誘発したりする懸念 も指摘されている。 フリーランスは雇用契約を結ばず、仲介業者 などを通じて仕事を受注し、収入を得る働き方。 専門性を生かせる好きな仕事を選びやすいとさ れるが、収入が不安定になる問題もある。 * * * * * * * * * * * <イベント開催> 個人消費が長く低迷しているのは賃金、勤労収入の 減少が主な原因であるというのが一般的である。 更に、社会保険料など負担の増大、不安定な雇用、社会 保障の削減など将来不安の影響が指摘されている。 商品券の発行やイベント開催といった一時しのぎの策 が効果あるとは見られていない。 <人材を広く活用> 「コスト削減のため、企業が非正規労働者を増やした 結果、低所得世帯の割合が上昇した。 賃金を引き上げて個人消費の拡大を促し、経済を活性 化させるべきだ」 というのは、数年前に労働経済白書が指摘したところ です。 また、人口減少問題については「若者の仕事の不安定 化・非正規化は、結婚しない人を必然的に増やすこと になった。 結果として出生率・出生数の低下傾向に も歯止めがかかっていない。」 という内容の提言を経団連が発表している。 ところが、企業は雇用形態の柔軟化、残業代の引き下 げ、解雇規制の緩和を求める。 そうすると、労働者の収入は減少し生活が不安定になる。 優先課題とすべきは、総賃金の下落傾向を止め、労働 者の安定的な雇用を実現して将来展望を明るくすること だといわれている。 今回の「働き方改革」として柔軟な働き方を広げると いうのは、内容としては企業が非正規労働者を広げ、 人材を流動化していくことを促しているのではないか。 「人材を広く活用する、勤め先に縛られない自由な発想 で従業員が成長することを期待する」 というよりも、 労働規制の緩和を図っていると見られている。 労働者の処遇改善や従業員の成長よりも、狙いは企業 から雇用に関する束縛を開放して経済の活性化につなげ ることではないか。 <総人件費を増やす> 働き方論議始動 総人件費増やす努力を 北海道新聞 2016/10/02 政府の「働き方改革実現会議」の論議が始 まった。 社会の活力を高めるには、古い労働慣行を 見直し、性別、年齢、雇用形態にかかわらず、 働きやすい環境に変えることが必要だ。 今回の会議では、長時間労働の抑制と同一 労働同一賃金の実現が大きなテーマとなる。 大企業の意識改革も欠かせない。近年、抑制 傾向にある総人件費を増やすことに努め、多様 な働き方を支えていってほしい。 一方、国会では、時間ではなく成果で賃金を 決める労働基準法改正案が継続審議中だ。野党 が「残業代ゼロ法案」と批判するように、残業 と一緒に人件費を削る方向に進むのならば問題 である。 働き方改革を、企業の人件費削減の道具にし てはならない。大企業は1990年代後半の 金融危機などの経験から、企業の蓄えに当たる 内部留保を積み増し、人件費を抑制する傾向を 強めた。 蓄えを優先し、人材への投資を軽んじた代償 は大きい。その象徴が外資に買収されたシャー プや、粉飾決算問題を起こした東芝など、製造 業の競争力低下だ。 労働者への公正な報酬の配分こそが、企業の 生産性を高め、持続的成長をもたらすはずで ある。