電子マネーを不正利用された
<スマホを紛失して損害> 楽天Edyに賠償命令 電子マネー不正利用被害 共同通信 2017/1/19 スマートフォンをなくして電子マネー約290万円を 不正利用された千葉県の男性が、サービスを提供する 「楽天Edy(エディ)」などに損害賠償を求めた訴訟 の控訴審判決で、東京高裁は18日、請求を棄却した 一審東京地裁判決を変更し、同社に約224万円の賠償 を命じた。 小野洋一裁判長は「当時のホームページなどに紛失 時に会員が取るべき対応を周知していなかったことに 注意義務違反がある」と判断した。 判決によると、男性は2012年11月、スマホを紛失。 携帯電話会社に連絡して通信サービスを停止したが、 楽天Edyには連絡せず13年1月までの約2カ月間に不正 利用された。 <裁判の争点> 端末を紛失した際、通信サービスを停止する連絡は したが、電子マネーを停止する手続きが別途必要だと 知らなかった。そのため他人に290万円を不正に 使用された。 1審の東京地裁は「電話と電子マネーの運営会社は 別個のものであり、通信サービスを停止するだけで 電子マネーの利用ができなくなると考えることはない」 と男性の請求を棄却した。 高裁では、「通信サービスを停止すれば電子マネー は不正に使われないと考える利用者がいることを発行 会社は想定できた」として、紛失時の手続きについて 会員に周知する注意義務を怠ったと、逆転の判決をした。
<売買契約などの注意義務> 住宅の売買契約で、売主を仲介する取引業者は、建物 の瑕疵があって居住できない可能性があるような情報を 認識していれば、買主に積極的に告知すべき注意義務が ある。 怠った場合には、不法行為責任が認められるとされた 裁判事例がある。 (大阪地裁 平成20年5月20日 判決) また、証券会社の従業員が証券購入を勧誘する場合 には、顧客に対して元本割れなどリスクについて十分 説明する義務があり、違反すれば損害賠償責任が問わ れる。 <注意義務違反の裁判> 契約関係のない事業者と顧客の間で、注意義務違反 が認められた事例として知られているのは、店舗や 銀行の中で顧客が転倒したという事故があります。 特に建物に構造上の欠陥がない場合でも管理者の責任 が問われることがある。 商品を販売するなど社会的な関係を保つ上で、当事 者に信義則上の義務が求められる。 「ある法律関係に基づいて特別な社会的接触の関係に 入った当事者間で、その法律関係の付随義務として 相手方に対して信義則上負う義務である。」(昭和50 年2月25日 最高裁 判決) <顧客の転倒事故> 顧客が銀行支店で足滑らせ転倒 2014年3月13日 東京高裁 判決 顧客が銀行の出入り口に敷いてあったマットに足を 乗せたところ転倒し、頭などを打撲した事故で、「足 ふきマットが滑りやすい状態だったのに銀行側が見過 ごしていた」と銀行側の注意義務違反を認めている。 「銀行側は顧客の安全を確保する必要があるのに、 管理を業者に任せきりにしていた」として、損害賠償 を命じた。 小売店の店外階段で顧客が転倒 平成11年11月17日 札幌地裁 判決 大規模小売店の店外階段が、雪で凍っており、その 階段を利用した顧客が転倒し負傷した事故で管理会社 に損害賠償責任を認められた。 多数の顧客の出入りが予想される商業施設を提供・ 管理している場合に、歩行者に自己責任があるからと いって、通常予想される態様で施設を利用する歩行者 に対し、その安全性を確保した施設を提供するととも に安全性を確保できるように施設を管理すべき注意 義務があることを否定することはできない。