願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

大学定員抑制法で一極集中の是正か

 ☆東京一極集中是正法案

    東京一極集中是正法案:23区内の
    大学の10年間定員凍結
      毎日新聞 2018年1月19日

  政府は、「東京一極集中」を是正する法案の概要
 をまとめた。東京23区内の大学の定員増を10年
 間認めず、地方の大学や中核産業の振興計画を作成
 した自治体に助成する。

 梶山弘志地方創生担当相は19日、法案概要を示し、
 「東京の一極集中をしっかり是正していくことが
 地方創生にもつながる。政策総動員であたりたい」
 と述べた。安倍政権は2019年の統一地方選や
 参院選対策として、地方創生に注力する方針だ。

  東京圏(東京、千葉、神奈川、埼玉の1都3県)
 に地方から若者が流入していることを踏まえ、東京
 23区内の大学を対象に、10年間の時限措置とし
 て「学部などの学生の収容定員を増加させてはなら
 ないと規定する。

  「ただ、定員増を法律で凍結する方針に対しては、
 日本私立大学連盟の鎌田薫会長、、、東京都の小池
 百合子知事も「東京の国際競争力を低下させる」と
 撤回を求めた経緯がある。政府は時限措置にする
 ことで関係者の理解を得たい考えだ。


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 ☆何を優先するか

    一極集中是正/地方大振興と言うなら
       信濃毎日/2018/1/17

  東京の大学の定員を抑えれば地方は活性化する。
 そんな短絡的な発想で法律をつくっては困る。

  政府は東京23区内の大学定員増を原則10年間
 認めないとする一極集中是正の関連法案をつくり、
 22日召集の通常国会に提出する方針である。


  だが、東京の大学を出た若者があまり地方に戻ら
 ないのは、希望する就職先が少ないことが大きな
 要因だ。大学定員を抑えて解決する問題ではない。

  一極集中是正のため優先すべきは地方の雇用の確
 保である。企業の本社機能の地方移転や地方採用枠、
 地域限定社員の導入などを促す施策を強く進めるべ
 きだろう。

  大学が多い都会で学生が学ぶことは地方にとって
 マイナスではない。さまざまな勉強をした若者たち
 がUターンできれば、地域の活力になる。定員抑制
 は時代に合った学部・学科の新設を妨げ、学生の選
 択の幅も狭めてしまう。



 ☆東京一極集中をどうするのか

  東京の大学定員を抑制して、一極集中を是正すると
 いうのは短絡的で困ったことだと思う。

 大学を卒業しても、他に魅力的な都市がなければ東京
 へ東京へと集まる。

  人口と産業の集積が多様な魅力と吸引力をもたらし、
 モノ・カネを呼び込んでいる、と最近の首都圏白書は
 認めている。

 更に国際競争力を強化して日本全体を牽引しなければ
 ならないという。

  国際競争のために東京へ資金、人材、企業を更に集
 中すべきだという主張は、そのまま逆に地方が不利で
 ある理由を表している。

 収益性が低いのは地方の努力不足が主因ではない、
 だから政府や企業の機能を地方に移転しなければなら
 ないと決めたはずである。

  首都機能の移転が実現するまでは、首都税のような
 国税をかけて地方に渡しても良さそうだが、東京都は
 独自財源を侵すべからずと、主張しているらしい。



 ☆一極でなく多極を目指す

    東京一極集中 このままじゃいけない
       朝日新聞 2017年2月20日

  東京一極集中に歯止めがかからない。 総務省の
 人口移動報告で、東京圏の1都3県は昨年も12万
 人弱の転入超過になった。

  過度の一極集中は日本全体の未来を揺るがしかね
 ない。どうすれば是正できるか。地方創生の5カ年
 計画の折り返しを迎える今、政策を練り直すべきだ。

  根本的な問題点は、東京に集まり過ぎている行政
 や経済の機能を、国土全体にどう分散していくか、
 という骨太の理念がいっこうに見えないことだ。

  地方創生の目玉だったはずの中央省庁の地方移転
 が、その典型だ。 全面移転するのは文化庁のみに
 とどまった。


  「東京一極でなく、多極を目指す」という理念を
 明確かつ具体的に示すべきではないか。

  今の地方創生はもっぱら国が交付金で自治体の奮
 起を求める相変わらずの中央集権型だ。政府は昨年
 末から、東京都心部の大学の新増設を抑える検討も
 始めた。だが卒業後も働きやすく、住みたいと思わ
 せる地方を増やさないと、若い世代の流入を抑える
 効果は期待薄だろう。

  地方の魅力を高めるには、核となる都市を中心に、
 各地域の特性を踏まえた策を実行していくしかある
 まい。そのためには、地方が自主性を発揮できる
 権限と財源が欠かせない。