労災認定請求を認められない労働者がある?
☆非常勤職員の労災請求が認められない 公務災害 申請に「格差」 非常勤職員 認められないケースも 東京新聞 2018年8月6日 自治体で働く非常勤職員が、常勤ならできる公務 災害の認定を申請できないケースがある。福岡地裁 では、北九州市の非常勤職員として働いていた女性 が自殺した後、パワハラなど不適切な労務管理が 原因だと考える両親が申請を認められなかったこと の不当性を問い訴訟中だ。 非常勤職員などの労働問題に取り組むNPOの調査 によると、自治体の対応はまちまちで、国に法改正 を求める声が上がる。 両親が一六年八月、労災認定について市に尋ねる と、市は「申請は認められていない」と回答。市に よると、非常勤の労災について本人や家族からの 認定請求の規定を条例や施行規則で定めておらず、 事実上、職場が認めた場合以外は申請の道が閉ざさ れる。 佃弁護士は「非常勤であれば、公務災害に遭って も労災隠しさえできてしまう制度で、他自治体でも 起こり得る」と批判する。 非常勤の労災請求、認定の仕組みを 総務省が全国に要請 朝日新聞 2018/8/31 自治体で働く職員が仕事上の原因で病気やけがを した際の公務災害(労災)認定について、総務省は、 非常勤職員も認定を請求できる仕組みを整えるよう 全国の自治体に求めた。 一部の自治体では非常勤職員に認定請求の権利を認 めない運用をしており、常勤職員との格差が問題と なっていた。 うつ病になり、2015年に亡くなった北九州市 の元非常勤職員の事例でも、市が遺族の労災請求を 拒んでいた。 一方、常勤職員は、第三者機関の地方公務員災害補 償基金に労災請求の手続きをとるよう法律で定めら れている。
☆制度の不備 この件は格差問題というよりも制度の不備と いう認識です。 北九州市の元非常勤職員の場合、本人や家族から の申請を受け付けず、市だけの判断で上司らへの 聞き取りを行い「パワハラはなかった」という。 これでは市の都合により運用する危険性があり、 上の佃弁護士が言われる労災隠しを招きやすい。 労災保険は、本来労働者の負傷、死亡等に対し て迅速かつ公正な保護をするための制度であり、 労働者であれば全てが対象となる。 対象は正社員かどうか、仕事の内容などを問わな い。アルバイト、日雇、外国人労働者でも適用さ れる。 <労災認定請求の手順> 労働者災害補償法では、労災の判断は労働基準署長が 判断することになっている。 事業主であれば、マイナスになるような判断は避けたい から、労災を認めたくない。 従って、この認定には不服申立てが制度化されている。 決定に不服のある場合は、各都道府県労働局に置かれる 労働者災害補償保険審査官に審査請求ができる。 <地方公務員の災害補償> 地方公務員については、別に地方公務員災害補償 法に規定されている。 非常勤職員についても労災補償法の補償制度と同様の 保護規定を定めるよう求めており、認定請求から認定 結果の通知までの手続制度を定めなければならない。 その際、労災隠しが起こらないよう第三者機関に不服 申立てができるようでなければ公正な保護制度として の意味がない。 基本が、全ての労働者に対して迅速、公正な保護を するための制度であるから、特定部門の職員について 認定制度がないことは考えられない。