40代の貧困と高齢者の社会保障
☆働き盛り世帯で低所得化 働き盛り世帯で年間所得300万円 未満の割合が増加 TBS 10/24 世帯主が40代の働き盛り世帯で年間の所得が 300万円未満の割合が増加していることが、厚生 労働省の調査で分かりました。 24日公表された厚生労働白書によりますと、世帯 主が40代で年間の所得が300万円未満の世帯の 割合は1994年の11.2%から20年間で5.4 ポイント増加し、16.6%でした。 一方、世帯主が65歳以上の高齢者世帯では100 万円未満の割合が減少し、200万円以上500万 円未満の割合はおよそ6ポイント増加し、48.2% でした。 白書では、社会保障が高齢者に手厚い仕組みになって いて、今後は現役世代の所得の向上を支援し、全世代 型の社会保障へ転換していくべきと指摘しています。 ☆所得の分布状況 基礎資料となっている国民生活基礎調査を比較する と年齢別、所得金額階級別分布は次表のようになって いる。
年間所得200万円未満の割合は 平成9年 → 平成28年 (総数で)14.8 → 19.6% = 1.32倍 (40代で) 5.3 → 9.5 = 1.79倍 (65歳以上)26.4 → 28.2 = 1.07倍
☆40代の高所得者 20年間の推移をより詳しく比較すると
40代で高所得者の割合が目立っている。 (1)たしかに、40代で低所得者の割合が上昇し逆に 65歳以上は、上昇が少ない。 (2)しかし、総数で見ても300万円未満、100万円未 満ともかなり上昇している。 この間に1世帯当たり平均所得金額は17%減少し ており、所得の中間を表す中央値は21%減少して いる。 低所得化は全世代に及んでいることを示している。 (3)一方、高所得者の割合を比較すると、40代では 500万円以上の高所得者の割合は他の年代に比べ 堅調である。総数での減少に比べ緩やかになって いる。 (40代は0.9倍、総数で0.79倍) (4)要するに、40代では低所得者が増加している反 面高所得者の減少があまりない。 (5)所得格差が40代において、顕著になっているこ とが分かる。 ☆所得格差の広がり 40代で低所得化しているこの期間に、非正規雇用労 働者が15%余り増えているという現象が並行している。 厚労省が、40代が高齢者の社会保障充実のために犠牲 になって、低所得化していると導くのであれば不適切 である。 世代間の不公平ではなく、各世代ともに所得格差が 広がっているのを解決しなければならない。 必要なのは、低所得層のかさ上げによる格差解消であ り、そのため高所得者に貢献を求めること。福祉削減 の政策は、これと逆行している。