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願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

労働環境を整備する、企業の責任

労働
 <過労死白書>

     過労死白書 悲劇の防止にどうつなぐ
        高知新聞 2016.10.10

    問われているのは、新たな犠牲を出さないた
   めの具体策だろう。政府は長時間労働の抑制に
   向けた「働き方改革」の議論を始めたが、導き
   出した結論で、国民に本気度を測られることに
   なる。

    悲劇が表面化するたびに長時間労働の弊害が
   叫ばれ、労働者を使い捨てにする「ブラック
   企業」が批判されてもなお、過酷な労働環境に
   変化は乏しい。

    政府の働き方改革には実効性が求められる。
   長時間労働の是正に向け、労働基準法が定めた
   残業に関する労使協定(三六協定)の見直しが
   焦点となろう。

   現行は事実上、労使が合意すれば残業が無制限
   となるため、上限の設定などを検討するという。


    一方で安倍政権は、長時間労働を助長しかね
   ない労基法改正案も国会に提出している。

    高収入の専門職を労働時間規制から外す新制
   度や、事前に定めた以上の残業代が支払われな
   い裁量労働制の対象を拡大させる内容だ。

   長時間労働抑制と矛盾するとの指摘にも、政府
   は見直す気配をみせない。

    財界の要望に沿った経済政策を進めてきた安
   倍政権が、企業側の反発も予想される労働者の
   待遇改善にどこまで踏み込めるか。これまでの
   方向性とちぐはぐさが否めないだけに不透明感
   が漂う。

    労働環境の改善は労働者の命を守り、育児や
   介護との両立にも通じる重要なテーマだ。
   パフォーマンスで終わらせることは許されない。


 <過労自殺で労災認定>

     電通新入社員自殺 繰り返された悲劇
     長時間労働是正、道半ば
       東京新聞 2016年10月10日 

    電通では一九九一年にも、入社二年目の若手
   社員が過労自殺し、遺族が起こした訴訟は過労
   死の企業責任の原点となった。長時間労働の

   是正が叫ばれる中、それに逆行するように、
   高橋さんの残業時間は月八十時間超の過労死
   ラインをはるかに超えていた。

    「会社は過労で社員が心身の健康を損なわな
   いようにする責任がある」。九一年に電通で起

   きた過労自殺をめぐる二〇〇〇年の最高裁判決
   はこう指摘し、電通の責任を認めた。

   過労自殺に対する会社の責任を認める司法判断
   の基準となった。

    過労死問題に詳しく白書作成にもかかわった
   森岡孝二関西大名誉教授は「過重労働に対する
   企業の責任が厳しく問われるようになっている

   にもかかわらず、日本を代表する企業で、しか
   も過去に司法にとがめられた電通過労自殺が
   繰り返されたことは深刻な問題だ。」


  * * * * * * * * * * *


 <企業の安全配慮義務>

  過労による自殺について「電通事件」は、特に社会的
 に注目され、後の労災認定基準などに大きな影響を与え
 たことが知られている。
     (最高裁平成12年3月24日判決)

 これを契機に、精神的面での安全配慮義務が特に注意さ
 れるようになったというものです。


  この裁判で会社側がした主張には、次のようなものが
 ある。

 (会社側の主張)

  *うつ病はあくまでも感情上の苦悩が問題となる病気
   であり、過労等の肉体疲労で疲憊性うつ病になるこ
   とはない。

  *本人の個人生活、家庭環境等の事情が自殺の原因で
   ある。

  *自殺は自ら死を選択するものであり、会社側には
   それを予見することも、回避することも全く不可能
   である。本件死亡につき、安全配慮義務が成立する
   余地がない。


 (裁判所の判断)

  慢性疲労が自律神経失調症状と抑うつ状態を招き、
 反応性うつ病を引き起こすことがあるとするのは神経
 医学会の定説である。

  継続的に長時間にわたる残業を行わざるを得ない状態
 になっていた本人の上司らは、本人の残業や健康状態の
 悪化を知っていたものと認められる。

  本人がうつ病等の精神疾患にかかり、その結果自殺す
 ることもあり得ることを予見することが可能であったと
 いうべきである。

  使用者は、雇用する労働者が労働によって健康を害さ
 ないように、労働時間などの労働条件や労働環境を整備
 する義務を負う。