願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

相続人がいない場合の特別縁故者

 <特別縁故者の認定>

    入所者の全遺産、施設側が相続へ
    特別縁故者に認定、高裁金沢支部
      共同通信 2016/12/3

  福井県の障害者支援施設に35年間入所し、68歳で亡く
 なった身寄りのない男性の遺産を巡り、施設を運営する
 社会福祉法人特別縁故者への認定を求めた即時抗告審

 で、名古屋高裁金沢支部は訴えを却下した福井家裁の
 決定を取り消し、施設に全ての相続を認める決定を出し
 たことが3日、分かった。

  相続財産管理人の弁護士によると、施設側が特別縁故
 者に認定されるのは珍しい。「きめ細かなサービスが認
 定につながった。親身な介護を高裁が認めたことは、重
 労働の介護職の人の希望になる」と話した。

 男性には相続人がいないため、遺産の約2200万円は通常
 は、国庫に収納される。


    決定は、男性の財産形成は施設利用料の安さが大きく
 影響したと指摘。さらに、専用リフト購入や、葬儀や
 永代供養などのサービスが「人間としての尊厳を保ち、

 快適に暮らせるよう配慮されており、通常期待される
 レベルを超えていた。近親者に匹敵、あるいはそれ以上」
 だとした。

  男性は施設に1980年に入所。知的障害があり、歩行困
 難な状態だった。数年前からは寝たきりで、2015年2月
 に施設で死亡した。

  福井家裁への申し立てでは「施設と利用者の関係を超
 える特別なものではなかった」と却下されていた。

 

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  <特別縁故者の規定>   特別縁故者とは(コトバンク)   被相続人と生計を同一にしていた者や被相続人  の療養看護に努めた者など被相続人と特別の関係  があった者で、相続人が存在しない場合に、請求  により相続財産の分与を受けることができる者   民法は,1962年の改正の際,相続人がいない  場合に家庭裁判所はこれらの特別縁故者に清算  後残存する相続財産の全部または一部を分与する  ことができると規定した (民法958条の3) 。 (特別縁故者に対する相続財産の分与)  第958条の3   家庭裁判所は、被相続人と生計を同じくしていた者、   被相続人の療養看護に努めた者その他被相続人と   特別の縁故があった者の請求によって、これらの者   に、清算後残存すべき相続財産の全部又は一部を   与えることができる。  <特別の縁故があった者>   特別縁故者として、(1)生計を同じくしていた者、  (2)療養看護に努めた者と(3)その他被相続人と特  別の縁故があった者があげられている。  (3)その他被相続人と特別の縁故があった者について  は、申立があっても容易に認定されることはない。  生活の相談を受けたり、世話をしたことがあるなどの事  実があっても、単に親族として通常の交際をしていたに  過ぎないとして請求を認めない場合が多い。   否定した裁判で、次のような判断が示されている。    被相続人の従姉の養子であり、親戚づきあいが   あったが生前に特別の縁故があったといえる程度   に身分関係や交流があったとは認められない。    被相続人は婚姻もせず、子もなく、兄弟姉妹も   先に亡くなっており、請求者が被相続人の死後に   法要をし、庭木の伐採、掃除等をして労力と費用   をかけているが、被相続人との生前の交流の程度   から、「特別の縁故があった者」と認めることは   できない。  <老人ホームを特別縁故者と認めた>  那覇家裁石垣支部 審判 平成2年5月30日   申立人は県立の養護老人ホームであり、  被相続人は、申立人であるC園に入所措置が  とられ、その後死亡するに至るまでC園で生活を  していた。  衰弱が激しくなると、歩行、排便等の介助が必要  となり、職員がその世話をした。死亡後は葬儀を  同園の職員が行い、同園の納骨堂に遺骨を安置し  てその後の供養も行っている。   身寄りのない被相続人としては、その機会があれ  ば、世話を受けた申立人に対し、贈与もしくは遺贈  をしたであろうと推認され、申立人に所属する職員  も施設としてその療養看護に当たってきたものと  認められ、申立人には、民法958条の3第1項に  規定する特別の縁故があると認めるのが相当である。

 

反グローバル化批判にも怪しさ

 <世界経済が停滞する>

       「トランプ大統領」の衝撃
       保護主義に利はない
        朝日新聞/2016/11/11

    世界経済は低成長に陥り、国際的な経済摩
   擦が相次ぐ。英国の 欧州連合(EU)離脱

   決定に続き、トランプ氏の言動と政策が反
   グローバル化をあおることになれば、世界経
   済は本格的な停滞に陥りかねない。

    今世紀に入って世界貿易機関WTO)で
   の多国間交渉が行き詰まるなか、自由化の原
   動力は二国間や地域内の自由貿易協定(FT

   A)に移った。 とくに規模が大きい「メガ
   FTA」が注目され、その先陣を切ると見ら
   れてきたのがTPPだった。

    貿易や投資の自由化には、競争に敗れた産
   業の衰退や海外移転による失業など、負の側
   面がともなう。恩恵を受ける人と取り残され
   る人との格差拡大への不満と怒りが世界中に
   広がる。

    だからといって、自由化に背を向けても解
   決にはならない。

   新たな産業の振興と就労支援など社会保障の
   てこ入れ、教育の強化と課題は山積する。大
   企業や富裕層による国際的な税逃れへの対応
   も待ったなしだ。

    自由化で成長を促し、経済の規模を大きく
   する。同時にその果実の公平な分配を強める。
   トランプ氏を含む各国の指導者はその基本に
   立ち返るべきだ。

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    <批判する側の成長論>

  反グローバル化の対応策として、自由化で成長を促し、
 経済の規模を大きくする。同時にその果実の公平な分配
 を強めると説明している。

 「自由化に背を向けても解決にはならない」とするが、
 その表現はかつて「企業負担を重くして労働者の利益が
 増えるわけではない」という説明を呼び起こす。

 これまで成長促進のため法人税減税など企業負担を軽減
 し、競争力を高めるという政策を採ってきた。企業利益
 を増やして従業員の待遇改善に回すことになると主張し
 て既に長期間を経過している。

  「自由貿易を推進し経済成長を図ろうとするのは、
 国民一人一人の暮らしを豊かにするためではないのか。
 成長は手段であり、目的ではない」(河北新報 11/25)
 
  いわゆるトリクルダウン効果があれば「富める者が富
 んで、貧しい者にも自然に富が浸透する」ことになり、
 国民全体の利益になるはずではなかったか。

 結果が伴っていれば、不満と怒りが世界中に広がること
 はない。


  グローバル化は世界の貧しい人々に恩恵をもたらした
 が、「政府の怠慢で職を失った人が多い、欧州では法人
 税率が高止まりしている」(ロイターのコラムニスト)
 と、今どき強調しても説得力はない。

 社会保障のてこ入れや教育の強化のほか大企業や富裕層
 による国際的な税逃れを急げと対策を説くのも空しい。

  セーフティネット充実の重要性、中間層の強化そして
 個人消費で貢献の大きい所得層こそ優遇するという主張
 が以前からあった。

 しかし、労働者保護や社会福祉を削減してでも企業負担
 を軽減するという姿勢を続けている。



 <富の集中と貧困層の拡大>

       そろそろ真面目に考えたほうが
      山陰中央新報 明窓 '16/11/29

    何か世界が浮足立っているように思えてな
   らない。トランプ次期米大統領の出現以降、
   各国首脳たちもアメリカの変化を予測できず
   疑心暗鬼が満ちている。

    過激な言説で米国内の人種や宗教を分断し
   ないか。一国主義、孤立主義的「トランプ主
   義」が、他国にも伝播しないか。

   いわば、融和の求心力を失い、解体の遠心力
   が働く心配。中でもグローバル経済が危機に
   陥ると叫ぶ人が多い。

    確かにそうだが何にでも裏表はあり、日の
   当たる所に日陰はできる。グローバル経済は
   良いことずくめではなかった。

   国籍不明の金融資本主義はリーマン・ショック
   を教訓とせず、資産バブルとバブル崩壊の爆弾
   を抱えたままだ。

    アメリカ経済はここ40年、莫大な貿易赤字
   を出し続けながら行き詰まらなかった。それを
   上回る資金を新興国に投入し、金融によって
   利益を上げていたからだ。

   その結果、鉄鋼、自動車、真面目にものを作る
   人々は居場所を失った。

    金融の世界で成功した一握りの人に、途方も
   ない富が集中し、貧困層が拡大。今や「富は積
   もれど民は窮す」の様相だ。

   タックスヘイブン租税回避地)に富を隠した
   不届き者も暴かれて、若者が抱く格差社会への
   不満は発火寸前。

    日本が後ろ姿を追い続けたアメリカという国
   は、偉大な反面教師でもあり続ける。「忘れ去
   られた人々をなくす」と訴えたトランプ氏で
   変わるのか。グローバル化に取り残された人の
   敗者復活はどうか。そろそろトランプ出現の
   意味を、真面目に考えた方が良さそうだ。

 

内部告発者に報復人事


 <公益通報者保護制度>     消費者庁が見直し 刑事罰導入も検討       毎日新聞 2016年6月5日   官庁や企業に関する不正の内部告発者が不利益な処遇  や報復を受けないよう守る「公益通報者保護制度」を  見直す作業が進んでいる。  告発や通報を理由にした解雇や降格、減給などに対して、  刑事罰や行政措置の導入を検討。 「司令塔」役である  消費者庁に通報の総合窓口を設け他省庁が所管する事案  も調査の対象に加えようと動いている。  <トナミ運輸損害賠償事件>   公益通報者保護法制定のきっかけを作ったといわれ  る有名な事件です。  運輸業界のヤミカルテル公正取引委員会内部告発  したのに対して、報復人事を行い仕事らしい仕事を与  えず、30年もの間空き地の草むしりなどを業務とし  たという。  *富山地裁 平成17.2.23 判決   内部告発には公益性があり、発言力が乏しかった   原告が外部の報道機関に告発したことは無理からぬ   ことだった。   原告に雑務しか行わせず、昇格を停止して賃金格差   を発生させたことは人事権の裁量の範囲を逸脱する   違法なものであり、雇用契約に付随する義務につき   債務不履行の損害賠償責任がある。  <オリンパス配転命令事件>   精密機器メーカーの社内に不正があると、社内の  通報窓口に伝えた社員が不当に異動させられ、人事  評価も大きく下げられた。  不当な配置転換だと訴えた裁判で勝訴した社員が、  配転を無効とした判決が最高裁で確定した後も処遇  改善がないとして、更に損害賠償などを求めた裁判  で解決金支払いなどによる和解が成立したという。  公益通報者保護法が制定され、この制度を利用した  内部告発にも関わらず不利益な扱いを受けている。  

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 <通報者を守る仕組み>     公益通報者保護    宮崎日日新聞 2016年11月25日  (勇気ある告発生かす制度を)   企業などの不正を内部告発した人を、解雇や降格  といった不利益な扱いから守る公益通報者保護制度  の見直しに向け、消費者庁有識者検討会が年内に  も最終報告書をまとめる。   その中で、通報を理由に不利益な扱いをした企業  に対し行政機関が是正を勧告し、改善措置が取られ  ないときは、企業名を公表するという新しい制度の  導入を促す。  「勇気ある通報」を守り、生かすための仕組みを  つくりたい。  *嫌がらせや不当扱い   通報は組織への「裏切り」とみなされることが  多い。上司から嫌がらせをされたり、閑職に追い  やられたりする人もいる。   こうした不当な扱いは法律で禁じられているが、  違反しても罰則がないため「通報者を守れない」  との指摘が相次いでいた。   新たな制度をつくるのは簡単ではない。関係省庁  は保護に値する通報か、本当に不当な扱いかを判断  するのに詳細な調査をしなければならず、そのため  の人員も予算も必要になる。   企業から「報復人事など不当な扱いはないのに、  処分によってダメージを受けた」と裁判を起こされ  ることも考えられ、十分な態勢で臨まなければなら  ない。   勧告・公表が実現すれば、通報者保護は一歩前進  する。ただ課題はそれだけにとどまらない。 最終  報告書の見直し案は多岐にわたり、今回は先送りさ  れた項目もある。  公益通報を機能させ、定着させていくには不断の  見直しが求められよう。

 

混合介護と経済の活性化


 <混合介護の規制緩和>       「混合介護」「転職支援」など議論へ       規制改革推進会議         産経新聞 2016.10.6   政府の規制改革推進会議は6日開いた第2回会合で、  今後、重点的に検討を進める課題として「介護サービス  改革」「転職支援」など計5分野を決めた。  介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」  の規制緩和なども議論、安倍晋三政権が最優先に掲げる  構造改革推進に役立てる。来年6月をめどに答申を取り  まとめる。   介護保険に関しては、介護報酬の対象とならない保険  外サービスを同時に提供する「混合介護」は原則禁止さ  れている。ただ、規制が緩和されれば多様なサービスが  可能となり、競争市場の活性化が期待できる。          規制改革の再起動で成長の天井を破れ        日本経済新聞 2016/9/8     全国レベルの規制改革を担ってきた規制改 革会議は、農協改革や保険診療保険外診療    を併用する「混合診療」の拡大を主導した。     これに対し、東京圏、関西圏などが指定さ    れた国家戦略特区では、民家を宿泊施設とし    て提供する「民泊」が実現した。     介護保険のサービスと、保険外のサービス    をくみあわせた「混合介護」の弾力化も実現    すべきだ。第4次産業革命の進展をにらんだ    規制・制度改革も促進したい。     働き方改革として、安倍政権は長時間労働    の是正や同一労働同一賃金を重視しているが、    それだけでは足りない。    成長産業に人材を円滑に移動させるには、    人材紹介などの規制改革も必要である。    少子高齢化が進む中、低い潜在成長率という    天井を突き破るため、規制改革による生産性    向上を急がねばならない。    

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 <社会保障制度の縮小>

  規制改革の会議は農業や雇用、医療などの岩盤規制を
 突破するという目的を持ち、農業では株式会社の参入を、
 雇用では解雇規制の緩和などを求めている。

 そして、医療では混合診療の全面解禁を目指しており、
 混合介護を自由に利用できるようにというのも、その
 一環です。

 多様なサービスが提供されて、利用者の利便が向上する
 という解説がされているが、利用者側の要求に応える
 だけに考えられてはいない。

  日本の財政事情は厳しいから、社会保障制度を縮小し
 て経済成長を促進する必要がある。公的保険の適用範囲
 を見直し、公的支出を減らすとともに関連産業の活性化
 を図るというのが主たる目的です。

  混合介護の条件を緩和すれば、介護職の賃金を上げて
 人材の流出を防ぐことができる。介護事業者は多様な
 ニーズに応えた保険外サービスを提供して収益を上げら
 れ、介護業界が成長していく。


 <利用者と提供者側の立場>

  積極推進の立場からは、こうした見方がされているが
 一方、反対側からは、社会保障制度の介護保険を競争
 市場に向けるのは問題だ、所得の差によりサービスに差
 が出ることが懸念されるとしている。

  要介護者の多くは基礎疾患を抱え、負担が過重であり、
 自費サービスを使う余裕はない。

  また、介護される人には認知症などで物事を判断でき
 ない人もあり、利用者側の立場は弱い。提供者側が有利
 になれば、余計なサービスを使う可能性があると説明する。

  現在の厚労省は、混合介護を進めて思わぬサービス料
 を請求されることもあり、利用者保護が損なわれるおそれ
 があるとして慎重といわれている。



      「混合介護」を大きく育てよ        日本経済新聞 2016/9/6     要介護者が増えるのにあわせ、介護給付費は    2015年度の約10兆円から25年度に約20兆円に増    える見通しだ。    一方で日本の財政事情は厳しく、介護人材の処    遇改善のために公定価格である介護報酬を大き    く引き上げるのは難しい。     そんな状況下で混合介護が利用しやすくなれ    ば、事業者は多様な保険外サービスを提供し、    収益を増やしやすくなる。     結果として民間の力で介護職員の賃金を上げ、    人材の定着により介護人材の不足を緩和しやすく    なる。事業者の活発な競争を通じてサービスの    質は向上し、利用者の利便性も増すだろう。     厚労省は混合介護を利用できる条件を緩め、    必要なら法改正も検討してほしい。経済活性化    の効果が期待できる混合介護の弾力化措置に今    こそ踏み切ってほしい。

 

教育再生のため家庭のあり方を


  <家庭や地域の役割>      自民党「学校・家庭・地域の役割分担」      議論へ部会設置        産経ニュース 2016/10/14   自民党教育再生実行本部(本部長・桜田義孝元文部  科学副大臣)は14日の会合で、「学校・家庭・地域の  教育部会」などの部会を設ける構成案を了承した。  政府の教育再生実行会議は教師の長時間労働が問題だと  して家庭や地域との役割分担に関する議論に近く着手す  る予定で、党も政府と連動して検討を進める。

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  <社会化に逆行>   貧困、医療、高齢者介護などを、家庭内に閉じ込めず  社会全体で支えていく「社会化」が進行しているはずが、  最近は個人の責任を強調する姿勢が目立っている。  教育についても奨学金の充実を目指すのは、親の貧困に  左右されぬよう子供を社会で育てるということではな  かったか。   学校や教員の負担が増しているから、家庭や親が責任  を果たすべきだという。全く逆転した発想ではないか。  様々な家庭の事情に配慮せずに教育を担わせる、子供の  権利を削減し、生活に干渉するとは理解できない。  仕事のために教育に時間を割けない家庭の子は一層不利  になる。格差を広げる原因を作り、教育の機会均等精神  にも反している。  <家庭のあり方>     わが家は共働きで2人とも時間は不規則     沖縄タイムス 大弦小弦 2016年11月22日   わが家は共働きで2人とも時間は不規則。口が裂けて  も「子どもへの家庭教育はしっかりやっている」なんて  言えない。自民党はそんな家族を「公的に助ける」とし  て、来年の通常国会に法案を出す。その名は「家庭教育  支援法案」。   一見聞こえがいいネーミングだが、家庭教育を「国家  と社会の形成者として必要な資質を備えさせる」と規定。  自治体はそれに沿った方針を立て、地域住民は協力する  「責務」を負うという内容だ。   「自主性の尊重」は明示されるが、国が「家庭のあり  方」を一律に決め、できなければ自治体や地域が介入す  る。今、盛んに言われている「困っている家には周囲が  手を差し伸べよう」とは似て非なるものだ。   そもそも法案は、子育てに困難を抱える親が求めてい  るものなのか。保育園の充実、現状の支援活動への助成  や人員増など、国がやるべきことは山積している。   識者から「法案は家庭での個の尊厳をうたう憲法24  条改定への布石では」と危ぶむ声が出ている。麻生太郎  副総理が理想とする改憲の手口を「ある日気付いたら変  わっていた」と言ったとおり、法案がすんなり成立し  そうなのが怖い。   国が単一の価値観を法で規定すれば、そこから外れる  人にとっては生きにくい社会になる。周囲に頼りっぱな  しで子育て中の身だが、大きなお世話だ。

 

収賄事件で退職金の返還は?

 

 <退職金返還命令>

     伊勢崎市 収賄有罪判決の元部長に
       退職金返還命じる
       東京新聞 2016年10月29日

  伊勢崎市は二十八日、市発注の工事を巡る贈収賄事件
 で一審で有罪判決を受けた金井哲夫元建設部長(61)

 に対し、条例に基づき既に受け取った退職金を全額返還
 するよう命じた。市は金額を明らかにしていないが、約
 二千五百万円程度とみられる。

  市が元職員に退職金返還を命じるのは、この条例が制
 定された二〇〇八年以来初めて。条例では、在職中に

 懲戒免職に相当するような行為があったり、在職中の
 行為で禁錮以上の刑事処分を受けたりした場合は退職金
 返還を命じることができる。

  金井元部長は一三年五月と七月、道路などの補修工事
 を市内の土木工事会社が受注できるよう便宜を図った見
 返りに、同社の元役員=贈賄罪で有罪確定=に車購入代

 金や車検代を支払わせ、現金計七十四万六千百五十円を
 受け取ったとして収賄罪に問われた。先月三十日、前橋
 地裁は金井元部長に対し、懲役一年六月、執行猶予三年
 追徴金七十四万六千百五十円の判決を言い渡した。

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 <元職員の生活は>   退職金の返還を命じるといっても、市と元職員に法律  関係はないから、返還を請求して応じない場合は裁判を  起こすものと考えられる。  たしかに収賄事件で有罪になったから、市に大きな損害  を与えた人ですが、本人にも生活がある。   懲戒解雇などで退職金を支払わない、返還を求めると  いうケースはよく報道されています。  ただ、裁判では退職金返還について慎重な判断がされて  いる。 問題は退職金の性格です。  退職金には功労報償的な面もあるが、賃金の後払い的な  意味があり、退職後の生活保障的な機能を果たすことも  あると理解されている。  <懲戒処分と退職金不支給>   例えば、飲酒運転で懲戒免職となった岩手県の元教諭  への退職金の支払いなどを巡って争われた裁判で仙台高  裁は、懲戒免職の取り消しは認めなかったが、退職金を  支給しなかった処分を取り消した。  「学校教育への長年の功績を考えれば、退職金を支給し  ないほどの違法行為とは言えない」と判断している。  この場合の判断基準は、問題が特に背信的であって、  永年勤続の功を抹消してしまうほどの行為と言えるか  にある。  その程度によっては、退職金の全額又は一定割合を支払  うべきだとされることがある。就業規則に不支給の規定  があっても全面的には適用されない。  <犯罪行為で処分>   収賄事件ではないが、痴漢行為で執行猶予付き判決を  受けた鉄道会社職員について、東京高裁が懲戒解雇は  有効としたが、退職金は、職員の行為に相当程度の背信  性があったとはいえないことから、全額不支給ではなく  3割を支給すべきであるとした事例がある。   伊勢崎市の件は公務員の犯罪行為であり、組織の規律  市民の信頼等を考慮して、勤続の功も抹消するほどの  行為だと判断されるかどうか。

 

就職率が好調、早期離職も多い

 <3年以内の離職率>

       3年以内の離職、31.9%
       13年春の大卒者 厚労省
        時事通信 2016/10/25

    厚生労働省は25日、2013年3月に大学
   を卒業し、就職した人の離職状況調査を発表し
   た。卒業後3年以内に勤め先を辞めた人の割合
   は前年比0.4ポイント低下の31.9%とな
   り、2年連続で減少した。

   ただ、雇用情勢の改善を背景に希望する仕事を
   求めて転職する人が引き続き多いとみられ、
   3年以内の離職率は4年連続で30%を超えた。

   離職率は1年目が12.8%と最も高く、2年
   目は10.0%、3年目は9.1%。

    3年以内の離職率を事業所の規模別で見ると
   5人未満は59.0%に上るが、1000人以
   上では23.6%にとどまり、規模が大きい
   ほど離職率は低い。

   業種別では、宿泊・飲食サービス業が50.5
   %と最も高く、電力・ガス・熱供給・水道業が
   8.5%と最も低かった。



 <退職理由は>

  理想と現実のギャップと表現されているが、具体的に
 は仕事が合わないこと、労働時間・休日の問題やノルマ
 の重さなどをあげているという。

 つまり、会社側か求職者側かいずれかに情報が十分では
 なかったということ。知識不足が原因になる場合もある
 が、極端にいえばブラック企業のように適切な情報を示
 さず契約する場合がある。

 本来、合意に至ることがないようなケースがあるという
 ことは、就職後3年にならなくとも就職すら避けても
 おかしくない、不本意な就職といえる。



 <その後の再就職は>

    年長者が、「若者には我慢が足りない」ということが
 あるが、事情を知っていないと批判される。

 まず、企業側の事情として人件費を使う余裕がない、
 新入社員に研修などスキルを着けるためのコストを惜し
 むようになっている。

 スキルを必要としない企業、単純作業の多いサービス業
 など離職率の高い業界への就職率が高いのが現実である
 のに、好況を反映して全体に求人が伸びているかの報道
 は偏っていると指摘されている。

  従って、早期離職後の再就職は厳しく、もっと条件の
 悪い企業、ブラック的な業界に行ってしまうという状況
 があるという。

 キャリアを積めず、「キャリアがない」と扱われるから
 次の就職先を探すのは容易でない。

 一方、離職率の低い会社は、コストをかけても教育して
 いるので辞められない、定着する傾向がある。


  * * * * * * * * * * *


 <就職率は最高を更新>

     大卒就職率97.3% 1997年
     以降で最高
       朝日新聞 2016年5月20日

    今春卒業した大学生の就職率は97・3%で
   前年同期から0・6ポイント増え、調査を始め
   た1997年以来最高となった。文部科学省と
   厚生労働省が20日発表した。

   2011年に最低(91・0%)を記録した後
   5年連続で改善し、これまでの最高だったリー
   マン・ショック前の08年3月卒(96・9%)
   を上回った。

    就職率が改善した理由について、文科省の担
   当者は「景気が良くなって企業側の求人需要が
   非常に高まっている」と説明。


    全国の高校に実施した調査では、今春卒業し
   た高校生の3月末時点の就職率は97・7%
   (前年同期比0・2ポイント増)と6年連続で
   改善。調査は1977年から続けており、24
   年ぶりの高水準だった。

   特に製造、建設、小売業の求人数が伸びたと
   いう。