退職勧奨、いやがらせ
<業務命令権の乱用> 教科担当外しは無効 須磨学園教諭の訴え認める 神戸新聞 2016/5/26 教科担当を外されるなど不当な待遇を受けた として、須磨学園高校の教諭後藤芳春さんが 学校法人須磨学園と理事長、学園長を相手取り、 約630万円の損害賠償などを求めた訴訟の 判決公判が26日、神戸地裁であった。 倉地康弘裁判長は担当を外した業務命令を無効 とし、慰謝料など約180万円の支払いを命じた。 判決などによると、後藤さんは2011年3月、 教員としての勤務成績が悪いなどとして教科担当 を外され、図書室での日本史の教材研究を命じら れた。その後、「辞めた方がいい。居残るなら 退職金を減らす」などと退職を迫られ、12年 12月から約7カ月間、自宅待機をさせられる などしたという。 倉地裁判長は「(担当を外したのは)特段の 理由がない。自主退職に追い込む不当な動機で、 業務命令権の乱用」と指摘。 「一連の行為は社会通念上、相当と認められる 範囲を超える不法行為。嫌がらせともいえる」と して慰謝料の請求を認めた。 * * * * * * * * * * * <退職勧奨と解雇> 経営不振や企業の再編、人員削減などの必要から、 従業員に自主的な退職を求めるという退職勧奨が話題 になります。 退職勧奨にとどまらず、強要やいやがらせを行って解雇 に至るというケースが問題になる。 <退職勧奨は違法か> 退職勧奨行為が許容されるか、違法となるかについて、 その判断基準を示した判決がある。 「労働者の自発的な退職意思の形成を目的として、その 実現のため社会通念上相当と認められる限度を超えた 不当な心理的圧力や名誉感情を不当に害する言動を することは許されず、そのような退職勧奨行為は不法 行為を構成する。 しかし、退職勧奨対象社員が消極的な意思を表明し た場合でも、在籍し続けた場合におけるデメリット、 退職した場合におけるメリットについて、更に具体的 かつ丁寧に説明又は説得活動をして、再検討を求めた りすることは、社会通念上相当と認められる範囲を 逸脱したものでない限り、当然に許容される。」 <退職勧奨が違法とされた事例> 自発的な退職意思の形成を促す限度を越えて いると判定した裁判例 第一回の勧奨以来一貫して勧奨に応じないことを表明 しており、退職する意思のないことを理由を示して明確 に表明している。 それ以上交渉を続ける余地はなかったものというペきで ある。 六人の勧奨担当者が一人ないし四人で、長いときには 一時間半にも及ぷ勧奨を繰り返したもので、明らかに 退職勧奨として許容される限界を越えている。 また、原告らに際限なく勧奨が続くのではないかとの 不安感を与え、心理的圧迫を加えたものであって、許さ れないものといわなければならない。 本件退職勧奨はその本来の目的である被勧奨者の自発 的な退職意思の形成を促す限度を越え、心理的圧力を加 えて退職を強要したものと認めるのが相当である。 労働相談Q&A 退職勧奨・退職強要 福岡県労働局労働政策課 2016年3月31日 退職の意思がないのに、一旦、退職届を出してしま うと、取消しや無効の立証が難しくなります。 退職強要に労働者が対抗する主な方法としては、 上司や使用者に対し退職の意思がないことを明確に伝え、 退職強要は不法行為に当たるのでただちに止めるよう 内容証明郵便で通告する方法があります。 退職強要を止めない場合は、ひとりで悩まず、最寄りの 労働者支援事務所に早めにご相談ください。