消費税増税延期について
<消費税増税推進> 消費税率10%への引き上げをどうするか、財政破綻のおそれ があり、延期すればリスクが高まるという意見。
消費再増税をここで延期していいのか 日本経済新聞 2014/11/12 わたしたちは、再増税を延期すれば、いずれ金融市場で 日本の国債に対する信認が失われ、長期金利が意図しない 形で急上昇するリスクがあると指摘してきた。 気になるのは、財政破綻リスクを取引する市場で、日本 の国債に対する信認の度合いが低下する兆しが出ているこ とだ。 日本の国と地方をあわせた借金は国内総生産(GDP) の2倍を超え、先進国で最悪の財政状態にある。 確率は低いかもしれないが、いったん長期金利が急上昇 すると国・地方の利払い費が大きく膨らみ、財政破綻の おそれが強まる。 そうなれば、年金や医療費を大幅に削減するといった激痛 を伴う策をいっぺんにとらざるを得なくなるだろう。日本 経済に破滅的な影響を及ぼし、デフレ脱却どころではなく なる。再増税をここで延期するリスクはあまりに大きい。 再増税延期ならば、子育て支援などの財源も十分に用意 できなくなる。仮に再増税の時期を2017年4月まで1年半延 ばすとしても、実現の保証はない。 安倍晋三政権は、本当に再増税を延期すべき経済状況か どうかを冷静に分析する必要がある。 世界経済は米国をけん引役に回復基調を保つ。日本も消費 の回復が遅れているとはいえ、政府・日銀の政策で景気下支 えは可能だ。
最新の経済統計では、消費や設備投資が低迷していることが 裏付けられたという報道がされています。
GDP下方修正:4月の消費増税後 から景気のけん引役不在 毎日新聞 2014年12月09日 内閣府が8日発表した7~9月期の実質国内総生産 (GDP)の改定値は前期比0.5%減、年率で1.9% 減となり、11月発表の速報値(年率1.6%減)から 下方修正された。 改善を見込んだ民間機関の予測は外れ、4月の消費増税 後、個人消費や企業の設備投資の低迷が続いて、景気のけん 引役が不在となっている実態が浮き彫りとなった。 今回の下方修正によって「消費や設備投資など民間需要 が総崩れ」であることが鮮明となった。 安倍晋三政権は増税後の景気の下支え役として設備投資 や輸出に期待していた。だが、設備投資は大企業から裾野が 広がらず、円安が進んでも輸出は伸び悩んでいる。
財政再建のために、消費税が最も有力な収入源であると見込ま れているが、経済効果を疑問視する意見では次のようなデータを 重く見ている。
(時事通信のグラフ)
(財務省のグラフ)
自体の収入は増えているが、税収総額は伸びない、財政に積極
的に貢献しているのかと問うている。
ヤフーのネットにおける意識調査には、次のようなコメントがある。
「 消費税の使い道が問題。
そして自民党は、さらなる法人減税を公約として出している。
つまり8→10%への増税分も法人減税に消える可能性が
高い。
それでは、単に国民の生活が苦しくなるだけで、それが社会
福祉や財政健全化として国民に還元されることは無い。
景気が良くなったとうたう大企業と宗教団体等の法人税を
元に戻してからが筋。 」
<消費税増税見直し>
消費税増税を見直すべきだという主張です。
消費税再増税先送り 社会保障 改革原点に立ち返れ 愛媛新聞 2014年11月19日 厳しい数字は、8%に消費税を増税して以降の景気低迷を 明確に裏付けている。夏場までに経済を成長軌道に戻す首相 のシナリオは崩れ、経済政策の失敗が露呈した。増税延期の 判断は当然だろう。首相は現状を直視し、いますぐ経済政策 全体を根本的に見直さなければならない。 消費の低迷はもっともだ。労働者の賃金増は、物価の上昇 に追いつかず、実質的にマイナスの状況が続いている。 全労働者の4割近くを占める非正規雇用者は、不安定な身分 と低賃金で生活を脅かされている。これでは財布のひもが 緩むはずがない。 安倍政権は企業の成長を優先するが、大企業をもうけさせ れば経済の好循環をもたらすとの図式が通用しないことは、 もはや明らかだ。 法人税を引き下げるより、格差を是正し、社会全体の底上げ をする政策こそを求めたい。 これまでの安倍政権の経済政策と、社会の現実の乖離は 著しい。円安による輸出拡大を狙っても、企業の海外生産が 進み輸出は伸びていない。かえって輸入原材料が高騰し 物価はますます上昇。大規模に財政出動した公共工事も、 資材価格上昇や人手不足で効果を上げられていない。 消費税増税については原点に立ち返った検証が必要だ。 増税は社会保障改革が前提だった。だが、充実への改革は 一向に進まない。 増税に加えて、医療費窓口負担増や年金減額など国民の 痛みは拡大の一途。一方、介護サービスは効率優先で縮小 が続く。 消費税は安定財源ではあるが、増え続ける社会保障費を すべて賄うことは難しい。将来世代へのつけ回しをなくす ためにも、もう一度、社会保障制度と税の使い道を論議し 直さなければならない。
<消費税増税反対>
消費増税先送り 景気条項削除で良しか 中日新聞 2014年11月21日 財政赤字を減らす王道は、景気を回復させて税収を増や す一方、歳出を削減することだ。 消費税は今春の8%への引き上げで明らかなように、事前 に五・五兆円もの経済対策を打っても景気後退を防げ なかった。 一九九七年以降の消費税増税の歴史は、増税に伴う経済 対策で逆に財政が傷み、そのためにまた増税、財政悪化 の悪循環だったといえる。 巨額の対策や軽減税率が必要になるなら増税などしなけ ればいい。その方がよほど赤字削減の近道である。 わたしたちは消費税増税に反対してきた。民主党政権 時に公約にないだまし討ちのような経緯があるうえ、消費 税には逆進性が強いなど根源的な問題を抱えるためだ。 財務省は、すべての人が広く薄く負担する消費税が社会 保障財源に適するというが、所得の低い人ほど負担が 重く、富裕層ほど低負担の不公平税制がはたして本当に 最適なのか。 一四年度予算では、消費税収が所得税収や法人税収を 上回り最大となった。さらに消費税は増税、空前の収益を 上げる企業も多い法人税は減税の方向である。 法人税に累進税率を導入したり、所得税の六段階ある 税率などを1%ずつでも引き上げれば消費税増税を不要に できよう。 税負担について根本的に考えなければならない。