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願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

過労でうつ病、解雇の裁判

 <過労で損害賠償の裁判>

       過労で鬱病東芝に6千万円
       賠償命令 東京高裁
        産経新聞 2016.8.31

    長時間労働鬱病になり、東芝を解雇された
   元社員、重光由美さんが約1億円の損害賠償を

   求めた訴訟の差し戻し判決で東京高裁は31日、
   差し戻し前から賠償額を増額し、東芝に計約
   6千万円の支払いを命じた。

    差し戻し前の東京高裁判決は、神経科への
   通院などを早く申告していれば、東芝が悪化を

   防ぐ措置ができたと判断したが、最高裁は
   「申告がなくても会社は労働者の健康に配慮す
   る必要がある」として差し戻していた。

    今回の判決は重光さんの過失を否定し、差し
   戻し前の判決が320万円とした慰謝料を
   400万円に増額。

   そのほか、東芝が過重な労働を軽減しなかった
   ことに基づく休業損害などを認めた。

    判決によると、重光さんは深谷市の工場で液
   晶生産ラインの開発などを担当。平成13年4
   月に鬱病を発症して10月から欠勤し、16年
   9月に解雇された。


  * * * * * * * * * * *


 <争点が複数>

  主に次の三点について争われ、裁判所は原告(労働者)
 の主張を認めた。


 (1)使用者には、過重労働で労働者の心身の健康を損な
  うことがないよう注意する義務があるのに、違反した。
  (安全配慮義務違反)


 (2)労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養の
  ために休業する期間等は解雇してはならない(労働
  基準法19条)にもかかわらず、これに違反した。


 (3)労働者が自らの精神的健康に関する情報を申告し
  なかったことをもって過失相殺をすることができない。

   使用者は、必ずしも労働者からの申告がなくても、
  その健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき
  安全配慮義務を負っている。



 <判決理由>

 (1)安全配慮義務違反

  使用者は、業務の遂行に伴う疲労や心理的負荷等が過度
 に蓄積して労働者の心身の健康を損なうことがないよう
 注意する義務を負う(最高裁判所平成12年3月24日
 判決)。

  原告はうつ病の発症以前数か月において、各月60時間
 以上の時間外労働を行っており、しばしば休日や深夜の
 勤務を余儀なくされていた。

  その間、プロジェクトのリーダーとしての重責を担う中
 で、業務の日程短縮、業務の内容につき上司からの厳しい
 督促などの経緯等を考えると、原告の業務の負担は相当
 過重なものであった。

  にもかかわらず、被告は原告の業務を軽減することなく、
 引き続き新しいライン立上げプロジェクトに従事させ、
 原告を12日間連続して欠勤させるという事態に陥らせた。


  原告が平成13年4月にうつ病を発症し、症状が増悪し
 ていったのは、被告が、原告の業務の遂行に伴う疲労や
 心理的負荷等が過度に蓄積して心身の健康を損なうことが
 ないような配慮をしない債務不履行によるものである。


(2)労働基準法19条違反

  原告の業務とうつ病の発症との問には相当因果関係が
 あり、当該うつ病は「業務上」の疾病であると認められる。

  本件解雇は、原告が業務上の疾病にかかり療養のために
 休業していた期間にされたものであって、労働基準法19
 条に反し無効である。


(3)自主申告しなかったことをもって過失相殺をすること
 ができない。

  使用者は、必ずしも労働者からの申告がなくても、その
 健康に関わる労働環境等に十分な注意を払うべき安全配慮
 義務を負っている。

  労働者が過重な業務によってうつ病を発症し増悪させた
 場合に、使用者の安全配慮義務違反等を理由とする損害

 賠償の額を定めるに当たり、当該労働者が自らの精神的
 健康に関する情報を申告しなかったことをもって過失相殺
 をすることができない。

  労働者にとって過重な業務が続く中でその体調の悪化が
 看取される場合には、労働者本人からの積極的な申告が期待

 し難いことを前提とした上で、必要に応じてその業務を軽減
 するなど労働者の心身の健康への配慮に努める必要がある。