まずは労働規制改革、成長戦略を、、
<将来不安を解消>
景気失速/個人消費を喚起するには
神戸新聞 2016年04月06日
首相は、5月の主要国首脳会議や夏の参院
選をにらみ、経済対策で国内景気を下支えし、
世界経済の持続的な成長に向けた国際協調
を主導する考えを示している。
経済対策は5兆円規模を見込むが、10兆円
規模を求める声もある。即効性の高い対策と
して、購入額以上の買い物ができるプレミアム
付き商品券の発行や低所得者層への給付金
などが浮上している。
景気停滞の最大の要因は、個人消費の不振
にある。だが、商品券などのばらまき政策で
持続的な経済成長の実現は難しい。財政健全
化も阻害しかねない。
個人消費の底上げには、非正規雇用の待遇
改善や社会保障制度の抜本改革などにも取り
組み、将来不安を解消することが欠かせない。
<雇用格差の是正>
望まぬ非正規 雇用格差是正に本腰を
南日本新聞 2016/02/10
非正規雇用は賃金や雇用の安定性など労働
条件が低く、本人の生活はもとより経済、社会
の不安定化につながるリスクがある。
政府は雇用格差がさまざまな弊害をもたらす
ことを重視し、格差是正に本腰を入れるべきだ。
非正規雇用には、柔軟な働き方のニーズに応え
る面があるともいわれる。だが、望まない形で
非正規を選ばざるを得ない人たちの現状を直視し
たい。
非正規が増える背景には、企業が人件費や賃金
を抑制し、「雇用の調整弁」として活用していること
などがある。
これを非正規の側からみれば、身分が不安定で
人員調整の対象にされやすいことを意味する。将来
の生活設計が描けず、結婚や子育ての障害にもなり
うる。
ただ雇用格差の是正に向けた課題は山積している。
退職金や賞与など給料を補完する制度の普及や、
雇用保険や厚生年金の加入率向上は欠かせない。
企業内の教育訓練の機会を確保することも必要だ。
<個人消費をどうするか>
景気停滞の原因は個人消費の不振にある、しかし、商品
券発行や低所得者層への給付金では解決しない。
雇用制度の改善や社会保障制度を充実させて、将来不安
を解消する必要があるという意見が多い。
企業が賃金を抑制して労働者の生活は苦しく、経済、社会
の将来が見通せない。
企業内の教育訓練などを充実させて、雇用の安定化を進め
ることが大切だと認識されている。
一方、個人消費が伸び悩んでいるのは改革の遅れという
ことか、労働規制の改革が重点課題だという主張は根強い。
時間によらず、成果に対して賃金を支払う制度に改革する、
それが労働生産性の向上、経済成長に欠かせないという。
ただ、成果主義ということが盛んに取り上げられたことが
あったが、制度には長短がある。実際に採用された事例の
紹介でも、好結果は多くないといわれている。
少なくとも、成果を強調するばかりでは逆効果になる、また
本来人件費抑制を意図するものであって、個人消費の促進
につながらないという見方が定着しているのではないか。
<TPPと労働規制改革>
まずは成長戦略関連の法案成立を急げ
日経新聞 2016年03月30日
2016年度予算が成立した。最大の歳出である
社会保障費への切り込みが足りず、問題の多い
予算である。
一方で、国民の関心の高い待機児童対策など
も盛っている。 政府は公共事業を含めて円滑な
執行に全力を挙げ、当面の景気を下支えしてもら
いたい。
昨年10~12月期の実質経済成長率はマイナス
になり、個人消費は伸び悩んでいる。
だが、経済対策以前に政府・与党が今国会でやる
べきことを忘れてもらっては困る。
第1に、日米など12カ国が合意した環太平洋経済
連携協定(TPP)案を承認するとともに、関連法案を
成立させることだ。
TPPは世界最大の自由貿易圏をつくる野心的な
取り組みだ。日本企業に多くの収益機会を提供し
成長戦略の切り札ともいえる。
第2に、労働基準法改正案の成立だ。働いた時間で
はなく成果に対し賃金を払う「脱時間給」制度の新設
は、労働生産性を高める労働規制改革の柱だ。
政府が方針を打ち出してから2年近くも放置している
のは問題だ。 与党が昨年の通常国会に続き、再び
成立をあきらめるならば、成長戦略への本気度が疑わ
れる。