願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

介護職に外国人労働者<オピニオン比較>



     介護の外国人材受け入れに長期展望を 
         日本経済新聞 2015/2/1

  外国人が働きながら日本の技能を学ぶ技能実習制度に
 「介護」を追加するための具体案が、政府の検討会でまと
 まった。

  介護の現場で、外国人が日本人とともに働くことが当たり前
 の時代が近づく。どこまで、どう外国人を受け入れていくのか。

 他の受け入れ制度の拡充も含め、より広範で、長期的な視野
 に立った議論を進める必要がある。

  技能実習制度は海外の労働力を安く使うための隠れみの
 とも批判され、違法行為も相次いでいた。介護を追加するの

 に先立ち、政府は立ち入り検査を行う監督機関の新設や実習
 生の保護の強化など、制度の抜本的な見直しをする予定だ。

  中国などでも高齢者が増え、優秀な介護人材の確保は国際
 的な競争になっている。今のままで果たして外国人は日本を
 選ぶだろうか。

 日本人が介護の職場で働きやすくすることはもちろんだが、
 外国人労働力の活用を一定の枠内でしっかり考えるときだ。

 外国人の生活インフラを整えることも含め、長期的な視野に
 立った戦略的な政策づくりが求められる。


      介護職の不足 外国人頼みには限界ある
           産経新聞 2015.1.24

  介護職の人手不足を外国人で補おうとしても、限界がある。
  政府が外国人介護職の受け入れ態勢拡大に向けた検討を
 進めている。

 介護福祉士資格を取得した留学生が働き続けられるように
 するだけでなく、外国人技能実習制度の対象に加える考えだ。

  だが、「安い労働力」に飛びついて大量に受け入れた場合、
 後になって外国人抜きには介護現場が回らなくなる危うさは
 ないだろうか。

 外国人の流入で、日本人職員の賃金が低く据え置かれること
 につながるのも困る。

  介護は人間の尊厳にかかわる仕事といえる。まず、日本人
 が誇りをもって働ける職種にするとの考えが抜け落ちてはなる
 まい。

 <受け入れ目的と介護職の待遇改善>

  まず、外国人介護職を受け入れる目的は何か、実習制度の
 主旨はいかされるかというところから、意見の違いがあると思う。

  現状と問題点をどうみるか、将来どうしていくと考えるのか。
 グローバルな時代であり、国内にこだわらず広く海外から人材を

 集めるべきだ。国際競争に遅れるようでは、経済成長が進まない。
 まず、外国人労働者の受け入れが必要だという立場もある。

  しかし、日本で介護職の希望者が少ないから、外国人労働者で
 補うとすると、介護の職場で待遇改善が進まない。

 介護職の実情は認識されており、年収、離職率の問題がよく話題
 になっている。それが悪化するようなことを採用することはできない。


  経済産業省の資料に、外国人労働者問題がどう認識されている
 かについて、次のような説明があります。

       外国人労働者問題
    課題の分析と望ましい受入制度の在り方について
       平成17年10月 経済産業省


 我が国が直面する外国人労働者問題の認識

 <外国人労働者に対する企業ニーズの実態>

  比較的単純な労働力に対するニーズは高いが、高度な外国人
 人材に対するニーズは低い。

  ○ 製造業を中心として事業活動を維持し、その技術・技能を
   絶やさないための人材の確保は切実な問題。

  ○ 自動車・家電を中心とする大企業の下請工場等における
   請負・派遣による柔軟な労働力は、競争力の源泉。

  この結果、「高度(専門的・技術的分野)な外国人労働者は
 積極的に受け入れるが、単純労働者の受入は慎重に行う。」

 との基本方針にもかかわらず、現実には、比較的単純な労働
 に従事する外国人労働者が増加し、他方、高度な外国人人材
 は我が国を敬遠する傾向にある。


 「外国人労働者問題」への基本的対処方針

  ① 比較的単純な作業を担う外国人労働者
    → あくまで一時的な存在であることを制度的に担保する
      仕組みを設計する。

  ② 高度な外国人労働者
    → 日本人と同等の処遇を行うとともに、その家族も含め
      最終的に我が国への永住を念頭に置いた環境整備
      を行う。


 <低賃金の問題>


      外国人介護実習 低賃金固定化しないか
         中日新聞 2015年1月31日

  厚生労働省は海外から「強制労働」とも批判される外国人
 技能実習制度の対象職種に介護職を加える方針だ。日本人

 の介護職員全体の待遇引き下げや、サービスの低下につな
 がりかねず、問題だ。

  米国国務省は一三年の人身売買報告書で日本の実習制度
 は「強制労働」と批判し、パスポートの取り上げや行動制限等
 を厳しく取り締まるよう勧告している。

  問題の多い制度の対象に介護職を追加する狙いは人材
 確保だ。介護現場は人手不足が深刻だ。

  介護現場の人手不足の要因は低賃金だ。常勤の施設職員
 の平均月収は全産業平均よりも約十万円低い。

 実習制度の対象になることで、介護職員全体の賃金引き上
 げが妨げられる恐れがある。