願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

違法な販売取引と被害者側の過失

 

 ☆化粧品の連鎖販売で「絶対にもうかる」

    「働かなくても稼げる」と若者勧誘
    化粧品会社の一部業務停止
      京都新聞 2018年12月05日

  滋賀県は5日、「絶対にもうかる」などとして化粧
 品の連鎖販売取引マルチ商法)に契約させたのは
 特定商取引法違反(迷惑勧誘など)にあたるとして、
 金沢市の化粧品販売会社「セリュール」に対し、県内
 での新規勧誘など一部の業務を3カ月間停止するよう
 命じた。

  1人紹介すれば8万円の報酬が得られると誘って、
 利益が確実であるかのように誤解させ、約50万円で
 会員登録を行っていた。

   

 f:id:ansindsib:20190213114913j:plain


 ☆連鎖販売取引   マルチ商法といわれる販売方法では、商品を購入した  者が販売員にもなって、新たな購入者を増やし販売網を  連鎖的に広げていく。 この場合、商品やサービスを提供する限りは合法とされ  ているが、金銭の配当だけを目的として無限に会員を集  める「ねずみ講」は違法である。(コトバンク)   ただ、ねずみ講ではなくとも不当な勧誘による連鎖  販売取引があり、特定商取引法違反として行政処分など  が行われる。  相手方に契約を解除させないようにするために嘘をつく、  威迫して困惑させる、勧誘目的を告げないなどの行為が  禁止されており、行政処分・罰則の対象になる。   行政上の規制とは別にトラブル解決のため、特定商  取引法は、クーリング・オフ制度、意思表示の取消し  制度を定めている。  ☆違法な取引と損害賠償請求   故意や過失にもとづく違法な行為により損害を受けた  場合、加害者に対して損害賠償を請求できる。  これに対して会社側は、違法な行為ではないと主張し、  被害者側に賠償請求権があるかなどを争うことがある。   さいたま地裁の裁判で会社側は、虚偽の事実を申告し  ていた被害者側が損害賠償請求をすることは信義則に  反すると主張している。   平成18年7月19日 さいたま地裁 判決   連鎖販売取引の裁判において、通信販売事業として確  実に利益を上げることができる等と勧誘していた業者に  対して違法な取引であると認めて損害賠償を命じられた。   通信販売事業としては実体がないのに、オーナー契約  を締結させて高額な契約金を支払わせていた。  次々とオーナー契約を締結し続けなければ、利益を確保  することもできないことが明らかであるのに十分な説明  を行っていない、と認定されている。  (被告会社の主張)   被告会社においては、未成年者や保護者の同意承諾の  ない学生はオーナーになれないとして取り扱っていたが、  原告らは学生でないと虚偽の事実を申告していたもので  あって、損害賠償請求をすることは信義則に反する。  裁判所の判断   被告らは犯罪行為と把握できるほどの違法性の高い  取引行為を持ちかけて、不当な利益を得ようと企てたの  であり、被告らの違法性に比して原告らのそれは非常に  軽微である。  被告会社が目論んでいた違法な契約自体が、原告ら第三  者に虚偽の事実を申し述べさせることを元々想定し、  それを前提として仕組まれていたともいえる。   被告らの責任を軽減することは、むしろ公平とは言い  難いと考えられる。