違いが目立つ同一労働の考え
生産性の視点が要る「同一労働同一賃金」
日本経済新聞 2016/2/22
政府の言う同一労働同一賃金の意味はいまひとつ
はっきりしないが、賃金の決め方で重要なのは、その
人がどれだけ付加価値を生んでいるかという生産性
の視点である。
生産性の高い人には高い賃金を払うという原則を、
今後の政策で明確にしてもらいたい。
日本でも仕事が同じだからという理由で単純に賃金
を同じにするのではなく、賃金制度づくりでは働く人
の生産性向上を促す工夫が要る。
人が付加価値を生む力を高めることが、賃金の上昇や
経済の活性化には欠かせないからだ。
政府が同一労働同一賃金を掲げる背景には、正社
員と非正規社員の待遇格差が問題になっていること
がある。
だが格差の是正には、政策面では職業訓練の充実
などを通じて非正規社員の生産性向上を支援する
ことが確実な道だ。
<制度の定義、雇用のあり方>
労働者に流動化を、失業者には職業訓練、障害者に経済
的自立そして、同一賃金に対しては生産性向上を求めるの
が経済関係者の特徴です。
個別企業で、各人の労働生産性を把握しているのか、客観
的に仕事本位で評価しているかという疑問もある。
さらには、社会の情勢特に景気の良し悪しの方が個人の努力
より大事だという指摘がある。
機械化や経費節減が直ちに数値に反映しない、技能を身に
着けて効率的な働きをしても、顧客の懐事情にかなわないと
いうのが一般的な認識です。
正社員が非正規労働者よりも働きが良いとしても、その程度
の違いを明確に認められるかどうか。
賃金格差が広く認識され、社会的にも好ましくない影響をどう
するかということが問題になっている。
個別労働者の処遇以上に、主として経営側の人事システムが問わ
れている。
多様な雇用といって派遣を増やすという以外に解決はないの
か。 賃金、転勤や働き方の多様な道を揃えて、各労働者に
合った選択を認めるということにならないだろうか。
同一労働・賃金 非正規の待遇改善こそ
北海道新聞 2016/03/02
欧州各国では一般的に、雇用形態、性別、年齢に
かかわらず、基本的に職務に応じて賃金が支払われ、
正規と非正規の格差は小さい。雇用契約で職務内容
が決まっていることが背景にある。
これに対し、雇用契約で職務を限定しない日本では、
正社員は業務命令で事実上どんな仕事でもこなす。
異動や転勤も受け入れ、その代わり、長期雇用を前提
とした年功賃金が慣行となっている。
こうした事情はあるにしても、非正規社員の賃金の
低さはもはや放置はできない。
労働政策研究・研修機構によると、日本のパート労働
者の時間当たりの賃金水準はフルタイム労働者の56・
8%にすぎない。9割のフランス、8割のドイツに比べ、
その差は歴然としている。
仕事の内容、熟練度などを適正に評価して非正規の
底上げを図る仕組みが欠かせない。