電源構成、原発比率は<オピニオン比較>
2030年電源構成 エネルギーの安定 に資するか 読売新聞 2015年04月29日 *原発新増設の必要性を明示せよ 電源構成の将来像は、安全性はもとより経済性やエネ ルギー安全保障、地球環境への影響を総合的に判断し て定めるべきだ。 *高コスト体質が心配だ 問題なのは、震災前より家庭で2割、企業は3割も 上がった電気料金が、30年になってもあまり下がらない 見通しであることだ。 発電費用の高い再生エネの拡大によって、電力の 高コスト体質が改善されないためである。 発電費用が低く、二酸化炭素を排出しない原発は、 料金抑制と環境保全の両面で貢献しよう。 *最終処分場確保も急務 *費用対効果の検証を 国内で自給できるクリーンな再生エネはできるだけ 伸ばしたいが、費用対効果の面で今回の比率目標が 現実的かどうか、さらなる検討が必要だろう。 現在、再生エネの大半を占める大規模水力は、ダムの 新規開発が見込めず、大幅な上積みは望み薄と見られる。 このため、比率を22~24%に高めるには、発電単価が 原発の2~3倍も高い太陽光や風力などを中心に増やさ ねばならない。
各種電源別のライフサイクルCO2排出量 中部電力
電源別発電コスト比較 コスト等検証委員会 (単位: 円/kWh)
電源構成案 原発活用は現実的選択だ 産経新聞 2015年04月29日 電力の安定供給を確保し、電気代の上昇を抑制して 地球環境対策を進めるうえで原発は不可欠だ。政府は 方針に従って原発に向き合い、安全性を確認した原発の 早期再稼働を主導すべきだ。 国内では東京電力福島第1原発事故後、一昨年9月 から稼働原発がゼロの状態に陥っている。現状では電源 の9割近くを火力に依存しており、料金上昇や温室効果 ガスの排出増を招いている。 太陽光や風力は供給安定性に欠け、発電コストが高い など多くの課題を抱える。 固定価格買い取り制度の導入で、家計や企業の負担金 も急増している。
<原発の積極的利用を主張する意見> *原発は不可欠の電源 電力の安定供給には、原発は不可欠であり、他に替える ことができない。 コスト面、温室効果ガスの排出においても有利である。 *再生エネルギーを使うには多くの問題があり、克服は 容易でない。 太陽光や風力は供給安定性に欠ける。 発電コストが高く、家計や企業の負担が大きい。 <原発依存度を下げると主張する意見> *代替電源は 原発が停止しても、電力が足りている。 再生エネの導入と省エネで雇用と技術革新が生まれる。 *再生エネ普及に注力 電力の「地産地消」で地域振興、新ビジネスと技術革新が 期待できる。 原発が安価な電源か疑問である。 安全対策費、放射性 廃棄物処分の負担は計り知れない。
原発回帰の電源構成 依存低減の方針と矛盾 中国新聞 2015/4/30 大きな矛盾を抱えている。 おととい発表された2030 年の電源構成比率の政府案からは、古い原発の運転 延長や新増設の思惑が透けて見える。 昨年閣議決定したエネルギー基本計画は「原発依存度を 可能な限り低減させる」としているだけに、首をかしげざる を得ない。 政府案では原発ウエートを20~22%にするという。 福島第1原発事故前の28・6%より低く抑えたものの、 現状のゼロを考えれば、時計の針を4年前に戻そうとして いるように映る。 政府が原発回帰の姿勢を鮮明にするのは、事故後に 電気料金が家庭で2割、企業で3割上がっているためだ。 確かに電力は経済や社会を支える重要なインフラである。 経団連も、製造業のコストが膨らむとして、原発比率を 25%にするよう求めた。 しかし暮らしの安全・安心と経済をてんびんに掛けられ ないことは、福島の事故からも明らかだ。 再生エネを大胆に拡大できない理由として、政府はまず 固定価格買い取り制度による電気料金の上昇を挙げる。 しかし、31年以降になると徐々に買い取り期間を終え、 設置費用を回収した発電所で安く電力供給ができるよう になる。 そもそも発電コストの試算では原発のコストが再生エネ や石炭火力、水力に比べ「最安」とされたが、事故対策 や安全対策の費用が十分に反映されているかどうか 疑問が残る。 使用済み核燃料など「核のごみ」の処分方法も置き去り となっており、単純には優劣は付けがたい。
電源構成比率 原発回帰ありきの議論だ 新潟日報 2015/04/14 国際評価尺度で最悪の「レベル7」とされた東京電力 福島第1原発事故を経験したのは、わずか4年前である。 原発回帰ありきの議論と言わざるを得ない。 自民党は2030年の電源構成比率に関する提言を、 安倍晋三首相に提出した。 原発や石炭火力、水力、地熱の「ベースロード電源」を、 現在の約4割から東日本大震災前の約6割に戻す内容 だ。 多くの住民がいまだ避難生活を強いられているにも かかわらず、経済優先を理由に原発依存をなし崩し的に 続けるとしたら、国民の反発は免れないだろう。 国は今夏も節電の数値目標を見送る方針だ。これは 国内の全原発が停止していても、電力が足りていること にほかならない。 必要なのは、二酸化炭素といった温室効果ガスの排出 を削減することだろう。 30年の電源構成比率に占める再生可能エネルギーの 割合で、20%台半ばとする経済産業省と、最大35% まで高められるとする環境省が対立している。 世界の潮流は、再生エネの拡大と言っていい。 再生エネの導入と一層の省エネを進めれば、大量の 新規雇用と多様な技術革新を生み、いずれ電気料金が 下がるとの見方がある。 ビジネスチャンスにつながる 可能性もあろう。 火力発電は最新鋭の天然ガス発電やコージェネ レーション(熱電併給)を取り入れれば、高効率化できる はずだ。 大規模な発電所でつくるエネルギーに頼らなくても、 各地域に豊富にある海や川、温泉といった再生エネの 資源を有効活用する方法も考えられよう。 問われるのは将来をいかに見据えるかだ。原発への 依存度を着実に下げていきたい。