願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

労働者派遣制度で主張の違い

 

     派遣で働く場を狭めず処遇を良くしよう 
         日経新聞 2014/1/7

  労働者派遣法の見直しに向けた審議会の議論が続いて
 いる。大事なのは、派遣という働き方を選ぶ人が仕事に
 就く機会を狭めないことだ。

 その点で有識者らの公益委員が昨年末に示した案は問題
 がある。派遣は雇用が不安定だから制限するという基本
 姿勢だからだ。

  働き方の多様化を踏まえ、派遣労働を否定的にとらえ
 ないことが求められる。そのうえで賃金などの待遇を
 自助努力で改善できるよう、職業能力を高めやすい仕組
 みを整える必要がある。こうした二段構えで、派遣で働
 く場を制限せず、同時に派遣労働者の処遇も引き上げて
 いきたい。

 

     労働者派遣法見直し 企業重視の姿勢鮮明
     政権交代で政策転換
         共同通信 2014/01/30

  労働政策審議会が、派遣期間の上限撤廃を柱とする
 労働者派遣法見直しの報告書をまとめた。日雇い派遣を

 原則禁止した2012年の改正法施行から2年足らず。
 民主党から自民党への政権交代で、規制強化から緩和へ

 と大きく政策を転換した。「世界で一番企業が活躍し
 やすい国」を目指す安倍政権の意向を踏まえ、産業界
 のニーズを最大限にくみ取った形だ。

      (中 略)

  「派遣は採用や労務管理の手間がかからず、業務量
 が減ったら雇い止めもできる。法改正で使いやすくな
 るのは大歓迎」。

 製造業大手の労務担当者は話す。報告書に沿った法
 改正が実現すれば最長3年という派遣期間制限がなく
 なり、同じ業務を半永久的に派遣に任せることができる。

  派遣法改正は、成長戦略の柱である労働規制緩和の
 重要な施策の一つ。企業にとって雇用調整が比較的容易

 な派遣の活用範囲を広げ、事業転換しやすい体質づく
 りなどを支援する。

 労働者保護を目指し、日雇い派遣などを制限した12年
 改正とは目的が全く違う。

 

     働く人の3人に1人がパートやアルバイト、
     派遣などの非正規労働者だ…
      西日本新聞 2014年01月30日

  働く人の3人に1人がパートやアルバイト、派遣など
 の非正規労働者だ。バブル崩壊とともに増え続け、昨年
 2千万人を突破した。

  企業にとっては都合のいい雇用形態である。終身雇用
 の正社員を増やすと人件費がかさむ。短期契約の非正規
 社員は業況に応じた雇用の調整弁として使える。賃金や
 社会保障費などの経費抑制効果も大きい。

  そのしわ寄せは当然、働く側に。正社員に比べて賃金
 が低く雇用期間も不安定だ。非正規の割合が高い若年層
 からは、将来が心配で結婚・出産に踏み切れないとの声
 も聞く。

  労働市場を活性化する成長戦略だという。不安定な立
 場の労働者が増えるだけにはならないか。

 

 <主な相違点と疑問>

  派遣は、採用や訓練に要する費用が少なく、雇用調整が容易
 であること、低賃金の雇用で人件費抑制が図られるというのが
 企業の期待であろう。

  一方、労働者からみると賃金、能力開発などの待遇は低い、
 不安定な雇用が続き、将来的な展望を持ちにくい。

  結局、企業の活動を促進するためであり、労働者保護は目的
 とされていない。

  労働規制の緩和を主張する立場からは、派遣型の仕事を希望
 する人が困ることだという説明がある。

 仕事に就く機会を広げる、働き方を多様化すると利点を強調され
 ることが多い。

  しかし、多様な働き方ができるのはいいが、積極的に選ぶ場合と
 やむなく就くというのでは全く違う。


 <非正規雇用の問題点>

  厚労省のサイトに次のような解説があります。

   「非正規雇用の課題には、どういうものがあるの?」


  非正規雇用には、雇用が不安定、賃金が低い、能力開発機会
 が乏しい、セーフティネットが不十分等の課題があります。

 また、男性の非正規雇用の労働者の有配偶率は、正規雇用の
 労働者と比べて低くなっています。


 *雇用形態別の賃金をみると、「正社員・正職員」が 317.0千円、
  「正社員・正職員以外」が 196.4千円となっています。 

    また、非正規雇用の労働者の給与は、ほぼ全ての世代で
  正社員の給与を下回っており、年齢による変化も少なくなって
  います。

  非正規の賃金


 *正社員以外に教育訓練を実施している事業所は、
  計画的なOJT、OFF-JTのいずれも、正社員の約半数となって
  います。

  非正規の訓練