混合介護と経済の活性化
<混合介護の規制緩和> 「混合介護」「転職支援」など議論へ 規制改革推進会議 産経新聞 2016.10.6 政府の規制改革推進会議は6日開いた第2回会合で、 今後、重点的に検討を進める課題として「介護サービス 改革」「転職支援」など計5分野を決めた。 介護保険と保険外サービスを組み合わせる「混合介護」 の規制緩和なども議論、安倍晋三政権が最優先に掲げる 構造改革推進に役立てる。来年6月をめどに答申を取り まとめる。 介護保険に関しては、介護報酬の対象とならない保険 外サービスを同時に提供する「混合介護」は原則禁止さ れている。ただ、規制が緩和されれば多様なサービスが 可能となり、競争市場の活性化が期待できる。 規制改革の再起動で成長の天井を破れ 日本経済新聞 2016/9/8 全国レベルの規制改革を担ってきた規制改 革会議は、農協改革や保険診療と保険外診療 を併用する「混合診療」の拡大を主導した。 これに対し、東京圏、関西圏などが指定さ れた国家戦略特区では、民家を宿泊施設とし て提供する「民泊」が実現した。 介護保険のサービスと、保険外のサービス をくみあわせた「混合介護」の弾力化も実現 すべきだ。第4次産業革命の進展をにらんだ 規制・制度改革も促進したい。 働き方改革として、安倍政権は長時間労働 の是正や同一労働同一賃金を重視しているが、 それだけでは足りない。 成長産業に人材を円滑に移動させるには、 人材紹介などの規制改革も必要である。 少子高齢化が進む中、低い潜在成長率という 天井を突き破るため、規制改革による生産性 向上を急がねばならない。
<社会保障制度の縮小> 規制改革の会議は農業や雇用、医療などの岩盤規制を 突破するという目的を持ち、農業では株式会社の参入を、 雇用では解雇規制の緩和などを求めている。 そして、医療では混合診療の全面解禁を目指しており、 混合介護を自由に利用できるようにというのも、その 一環です。 多様なサービスが提供されて、利用者の利便が向上する という解説がされているが、利用者側の要求に応える だけに考えられてはいない。 日本の財政事情は厳しいから、社会保障制度を縮小し て経済成長を促進する必要がある。公的保険の適用範囲 を見直し、公的支出を減らすとともに関連産業の活性化 を図るというのが主たる目的です。 混合介護の条件を緩和すれば、介護職の賃金を上げて 人材の流出を防ぐことができる。介護事業者は多様な ニーズに応えた保険外サービスを提供して収益を上げら れ、介護業界が成長していく。 <利用者と提供者側の立場> 積極推進の立場からは、こうした見方がされているが 一方、反対側からは、社会保障制度の介護保険を競争 市場に向けるのは問題だ、所得の差によりサービスに差 が出ることが懸念されるとしている。 要介護者の多くは基礎疾患を抱え、負担が過重であり、 自費サービスを使う余裕はない。 また、介護される人には認知症などで物事を判断でき ない人もあり、利用者側の立場は弱い。提供者側が有利 になれば、余計なサービスを使う可能性があると説明する。 現在の厚労省は、混合介護を進めて思わぬサービス料 を請求されることもあり、利用者保護が損なわれるおそれ があるとして慎重といわれている。
「混合介護」を大きく育てよ 日本経済新聞 2016/9/6 要介護者が増えるのにあわせ、介護給付費は 2015年度の約10兆円から25年度に約20兆円に増 える見通しだ。 一方で日本の財政事情は厳しく、介護人材の処 遇改善のために公定価格である介護報酬を大き く引き上げるのは難しい。 そんな状況下で混合介護が利用しやすくなれ ば、事業者は多様な保険外サービスを提供し、 収益を増やしやすくなる。 結果として民間の力で介護職員の賃金を上げ、 人材の定着により介護人材の不足を緩和しやすく なる。事業者の活発な競争を通じてサービスの 質は向上し、利用者の利便性も増すだろう。 厚労省は混合介護を利用できる条件を緩め、 必要なら法改正も検討してほしい。経済活性化 の効果が期待できる混合介護の弾力化措置に今 こそ踏み切ってほしい。