企業の地方移転
本社の地方移転、9割が否定 経団連の企業調査 北海道新聞 09/15 経団連は15日、東京に本社を置く企業455社を対象に、 本社機能の地方移転を検討しているか尋ねたアンケートの 結果を公表した。 回答した147社のうち、移転について「検討中」と答えた のは2社、「可能性がある」としたのは9社にとどまった。 92・5%に当たる136社が「検討していない」と回答 した。 政府は東京への一極集中を是正し、地方経済の成長を促す ため、企業の本社移転や地方拠点の拡充を経済界に呼び掛 けているが、企業が利便性の高い東京を好む傾向が浮かび 上がった。 消極的な理由として最多の112社(複数回答)が東京の 「機能・利便性」を挙げた。
<企業の集中傾向> 企業に対して、東京から地方への移転を呼び掛けても、それに 企業が応えることはできない。 東京には大きな魅力があり、逆に今でも地方から東京進出を目指 すのが常識になっている。 理由は利便性といわれるが、何よりも官庁や高度サービス業が 集積していること。この集積の利益が大きいがゆえに一極化という 現象が止まらない。 情報の発達にともなって、距離的な近接性は必要ない、地方で あっても企業活動が不利になることはないという学者が多かった。 しかし、ことは逆に進行している。金融業や情報サービス業も中枢 管理機能の集中する東京圏でなければ、業務が進まない。 <効果的な地方分散> アメリカでは政治のワシントン、金融ビジネスはニューヨークなど、 各都市で機能分担がされており、多様な社会が発達している。 東京に集中している中枢管理機能を大胆に分散させずして、 一極集中の是正は解決されない。 首都機能移転の国会決議がされたのを、思い起こして取り組む ことではないか。
政府機関の移転/地方創生に結び付くのか 河北新報 2015年09月25日 東京一極集中是正と地方の活性化に、どれだけの効果を もたらすのか。期待以上に疑問が膨らむ。 地方創生の柱の一つに掲げられた、政府機関の地方移転の ことだ。 政府が東京圏(東京、埼玉、千葉、神奈川の4都県)以外の 道府県から募った誘致提案が8月で締め切られ、鹿児島を除 く42道府県から計69機関の誘致要望が出そろった。 ほとんどが研究、研修機関に集中した。組織の一部門に 絞った提案も多いのは、中央省庁ほど移転のハードルが高く ないとの計算だろう。その分、直接的な経済効果や地元産業 への波及効果は未知数といえる。 政府は、2020年時点の地方から東京圏への転入を、 13年に比べて7万人減らす目標を掲げている。 地方で安定した働き口を確保するため、企業に対して本社 機能の地方移転や地方拠点の拡充を求めており、国が政府 機関の移転で範を示すことで企業の決断を促す狙いもある。 中途半端な規模に終われば、この程度でいいという誤った メッセージを企業に送ることにもなりかねない。