クーリング・オフ期間経過の場合
☆高齢者に押し買い 高齢者標的に強引に安く買い取り 押し買い容疑で6人逮捕 河北新報 2018年09月20日 貴金属の訪問購入の際、客に適切な説明をしな かったとして、宮城、岩手、山形、福島4県警の 合同捜査本部は20日、特定商取引法違反(不実 告知など)の疑いで、仙台市青葉区の訪問買い取り 会社「リサイクルセンター東北」社長佐瀬常太容疑 者と現・元従業員5人を逮捕した。 6人は被害者宅を訪問して不要な貴金属を買い取 る際、売買時の契約に必要な書面を渡さなかった上、 クーリングオフの説明もしなかった。 「クーリングオフはできない」と虚偽説明したケー スもあったという。 *特定商取引法は、訪問販売についてクーリングオフ制 度を認めているが、25年2月から押し買い=訪問購入 にもクーリングオフ制度が適用されることになった。
☆クーリングオフ=契約申込みの撤回 特定商取引法に規定する訪問販売等の契約では、消費 者保護のためのクーリングオフ制度がある。 この制度は、理由を問わず無条件に、一方的に申込みの 撤回ができるという特徴がある。相手の同意も必要ない。 特定商取引法に定める契約で、消費者が冷静な判断が できないような場合リスクの高い取引を行うことがある。 このため、消費者が頭を冷やして考え直せるというのが 制度の趣旨です。 ただし、書面により契約申込みの撤回等を行うこと、定 められた期間内に行うことが必要とされている。 ☆クーリングオフの期間 訪問販売等では8日間、連鎖販売取引等では20日間の 期間内であれば、無条件で契約申込みの撤回等を行うこ とができる。 この期間の始めはいつからか、契約を承諾した日から起 算するのか、ということが争いになることが多い。 また、事業者が誤った説明をしたまま契約したという場 合もある。 特定商取引法には、「契約内容を明らかにする書面を 受領した日から起算して」と規定している。 そこで問題になるのは、事業者がこの書面を交付してい ない場合、書面に不備がある場合や虚偽の説明を行って いる場合です。 こうした場合は、書面を受領したことにならないので、 クーリングオフの期間は進行しない。事業者がクーリン グ・オフの期間が過ぎていると主張できない。 事業者から法律で定めた書面の交付を受けた日が期間の 起算点となる。 ☆契約から2か月以上経過して認められた事例 平成17年5月25日 京都地裁 判決 リフォーム工事と浄水器の販売を業とする会社が訪問 販売により、商品の販売と水道管洗浄作業請負の契約を 原告と締結し、契約金として116万円を受領した。 原告は契約から2か月以上経過して契約解除の意思表示を したが、これが有効かどうかが争われた。 判決理由 被告が原告に交付した水道管洗浄作業請負契約書、工 事請負契約書は法5条2項、1項1号、4条に定める記載事 項に不備がある。 水道管洗浄作業請負契約書において、役務提供契約に もかかわらず、法4条4号に定める事項の記載がなされて いない。 工事請負契約書において、法4条4号の記載を欠いている だけでなく、支払方法について単に「ローン」とあるの みであり、法4条2号の記載も欠いている。 、、、 したがって、被告が原告に交付した前記書面は、法5条 の書面に該当しないというべきである。 そうすると、旧法9条1項に基づく解除の期間は進行し ていないから、原告の行った解除は有効である。