労働者に当たるかどうかの判断
☆NHK受信料徴収の地域スタッフは「労働者」 NHKの不当労働行為を認定 団交拒否、東京地裁 共同通信 2018/09/28 労働組合との団体交渉に応じなかったことを「不当 労働行為」と認定した中央労働委員会の判断には事実 誤認があるとして、NHKが取り消しを求めた訴訟の 判決で、東京地裁は28日、請求を棄却した。 団体交渉を求めたのはNHK受信料の徴収を担当す る地域スタッフでつくる「全日本放送受信料労働組合」。 NHKは、スタッフは独立した事業者で労働組合法 上の「労働者」には当たらないと主張。 佐久間健吉裁判長は、目標達成の報告を求めているこ となどから「労働者性が認められる」と判断し、正当 な理由なく団交を拒否したと結論づけた。 ☆労働者かどうか 一般の雇用契約でも、「労働者」に当たるかどうかの 問題があります。 例えば、管理職と呼ばれていても労働基準法にいう「管 理監督者」に当たるかどうかが争われる。 残業手当や休日の扱いが一般の労働者と管理監督者とで は異なるが、「名ばかり管理職」といわれて権限などが ないにもかかわらず、労働者保護を受けないような扱い をすることがある。 使用者に残業手当の支払義務があるかが問われて、管 理監督者ではない、「労働者」に当たると判断される ケースがある。 また、アルバイト店員らが加入する労働組合が労働組 合法で保護される労働組合であるかどうかの争いもある。
☆業務委託契約の受託者 今回問題になっているのは、雇用契約ではない。 業務委託契約を結んでいる受託者が労働組合法上の労働 者に当たるかどうかをめぐって訴訟になっている。 この「労働者に当たるか」については、契約の形式が どうか、雇用か業務委託かあるいは個人営業者の請負か ということにかかわらず、仕事の実態で判断されること になっている。 ☆「労働者」か否かの判断事例 (通常の雇用契約の形式を取らず、外部から業務 の提供を求める場合でも、その労働の実態を踏 まえて「労働者」か否かを判断されている) 民間放送会社の放送管弦楽団員が労働 組合法上の労働者に当たるかどうかが 争われた 昭和51年5月6日 最高裁 判決 (1)放送会社が一方的に指定して出演を求め、 楽団員はこれに応ずべき義務を負っていた (2)出演の報酬は演奏労務を提供する対価と認 められる こうした理由から、その楽団員は労働組合法が 適用される労働者である、と判断されている。 要 旨 民間放送会社とその放送管弦楽団員との間で 放送出演契約が締結されていた。 その楽団員には、その放送会社が必要とする ときに会社が一方的に指定して出演を求める ことができ、楽団員は原則としてこれに応ず べき義務を負うという関係が存在していた。 しかも、楽団員に対する出演報酬は演奏自体 の対価とみられるものであり、芸術的価値を 評価するとは認められない。 こうした場合には、その楽団員は労働組合法 の適用を受ける労働者に当たる。