有期契約から無期労働契約に転換する
☆無期労働契約への転換を回避 大手自動車メーカー、期間従業員の無期雇用を 回避 労働契約法の「5年ルール」が骨抜きに 朝日新聞 2017年11月04日 トヨタ自動車やホンダなど大手自動車メーカーが、 期間従業員が期限を区切らない契約に切り替わるの を避けるよう雇用ルールを変更したことが分かった。 改正労働契約法で定められた無期への転換が本格化 する来年4月を前に、すべての自動車大手が期間 従業員の無期転換を免れることになる。雇用改善を 促す法改正が「骨抜き」になりかねない状況だ。 2013年に施行された改正労働契約法で、期間 従業員ら非正社員が同じ会社で通算5年を超えて働 いた場合、本人が希望すれば無期に転換できる「5 年ルール」が導入された。 申し込みがあれば会社は拒めない。長く働く労働者 を無期雇用にするよう会社に促し、契約期間が終わ れば雇い止めされる可能性がある不安定な非正社員 を減らす目的だった。 施行から5年後の18年4月から無期に切り替わる 非正社員が出てくる。 改正法には企業側の要望を受け「抜け道」も用意 された。 契約終了後から再雇用までの「空白期間」が6カ月 以上あると、それ以前の契約期間はリセットされ、 通算されない。これを自動車各社が利用している。
☆労働契約法改正 *無期労働契約への転換 平成25年4月1日から施行された労働契約法改正に より、以降に有期労働契約の締結もしくは更新をした 場合には、その5年後の平成30年(2018年)4月1日か ら、労働者は使用者に対して無期雇用の申込みができ るようになる。 厚労省の説明によると、この改正は「有期労働契約 の反復更新の下で生じる雇止めに対する不安を解消」 することを目的にしている。 多くの会社で有期社員が戦力として定着しており、 恒常的な労働力であることから、1年契約を毎年自動 的に更新しているという実態を背景にしている。 ☆無期転換で企業に負担感 ところが、この無期転換のルールは企業側には負担 が掛かることから、2018年問題として対策が検討され ているという。改正の趣旨に反する対応が問題になって おり、上の新聞記事はその典型です。 景況などの理由で人員整理するにも解雇ができない、 無期契約とする場合にどういう労働条件にすれば企業 負担がやわらぐか。 *無期転換を実施する労働者を制限するため、能力や 貢献度を厳しく評価する *有期契約労働者の更新を慎重にして、無期転換を 避ける ☆クーリング期間を利用 無期転換を免れるために大手自動車メーカーが利用 しているのが、クーリングという6カ月の「空白期間」 です。 今回の法改正で、有期労働契約の間に契約がない期間 が6か月以上あるときは通算契約期間に含めないという 例外規定が設けられた。 これについて、厚労省は「無期転換ルールを避ける ことを目的として、無期転換申込権が発生する前に 雇止めをすることは労働契約法の趣旨にてらして望ま しいものではない」と説明している。 労働組合総連合は、雇止めの抑制策や法施行後の検証、 制度の見直しを訴えている。 ☆雇い止め、解雇の制限 ただし、有期労働契約の雇止めが認められるかとな ると簡単ではない。雇止めについても解雇権濫用とし て無効となることがある。 最高裁判決で示された次の場合に「客観的に合理的な 理由を欠き、社会通念上相当であると認められないと き」は雇止めが認められず、従前と同一の労働条件で 有期労働契約が更新される。 *過去に反復更新された有期労働契約で、その雇止め が無期労働契約の解雇と社会通念上同視できると認 められるもの (最高裁 昭和49年7月22日 判決) *労働者において、有期労働契約の契約期間の満了時 にその有期労働契約が更新されるものと期待するこ とについて合理的な理由があると認められるもの (最高裁 昭和61年12月4日 判決)