政権と連携する連合の姿勢
☆首相と連合の思惑一致と伝える新聞 成果型労働制 首相と連合、思惑一致 戸惑い広がる民進 毎日新聞 2017/7/14 政府と連合が13日、「高度プロフェッショナル 制度」の導入に向けて歩み寄ったのは、「働き方改革」 の具体化で政権の再浮揚を目指す安倍晋三首相と、 労働政策で存在感を示したい連合の思惑が一致した ためだ。神津里季生会長は制度容認を「方針転換では ない」と繰り返したが、安倍政権の助け舟になったの は間違いない。一方、「蚊帳の外」に置かれた民進党 には戸惑いが広がっている。 報道各社の世論調査で内閣支持率の下落が止まらず、 安倍政権は焦りを強めている。秋の臨時国会で残業 時間の上限規制などを含めた法改正を実現するには、 民進、共産両党が「残業代ゼロ法案」と批判してきた 高度プロフェッショナル制度に連合の協力を得る必要 があった。 首相官邸幹部は「民進党は連合の意向を無視できない」 と述べ、連合が容認に転じれば、民進党も政府案に乗ら ざるを得ないとの見方を示した。
☆修正内容について批判 連合側が示している修正案と、各紙の批判 1)年104日以上かつ4週間で4日以上の休日取得 を義務付け → 年104日は祝日を除いた週休2日制に過ぎない。 → 8週で最初と最後に4日ずつ休めば48日連続 の勤務も可能になる。 2)2週間連続の休日取得、臨時の健康診断を条件と して労使に選ばせる → 診断を受ければ働かせても構わないと受けとれ る。長時間労働を助長させるおそれ。 ☆労組の役割を問う 労働組合は政権の諮問機関ではない。働く者を守る 原点に立ち返り、労組としての一線を守るべきだ。 (神戸新聞 2017/07/15)
連合の姿勢 原点を忘れてないか 信濃毎日新聞 2017年7月15日 連合は、水面下で安倍政権に制度の撤回を求めた。 政府側は残業規制を引き合いに「全部パーにするか、 清濁併せのむか」と容認を迫ったという。 過労自殺も過労死も後を絶たない。働き方の改革は、 不満と不安を募らせている労働者と家族の要請だ。 「できるものならパーにしてみろ」と言い返せばいい。 連合の幹部は「テーブルに着けば政権の思惑にのみ 込まれ、着かなければ何も実現できない」と嘆く。 労働者の意思を背景に主張を貫くことを忘れ、言葉通 り政治にのまれている証しだろう。 連合執行部への批判が強まっている。働く者・生活 する者の集団として世の中の不条理に立ち向かい、 克服する。原点に返らねば求心力を失うことになる。 ☆誰のため、何のため 「残業代ゼロ」 誰のための連合なのか 北海道新聞 2017/07/15 神津会長が、修正点として要求した働き過ぎの防止 策が、長時間労働の歯止めになるかどうか、極めて疑 わしい。 連合側の修正は「年104日以上かつ4週間で4日 以上の休日取得」を義務付けた上で、「2週間連続の 休日取得」「臨時の健康診断」といった条件の中から 労使に選ばせるという内容だ。 104日の休日は週休2日とほとんど変わらない。 臨時の健康診断に至っては、「診断を受ければ働かせ てもいい」とも受けとれ、むしろ長時間労働を助長さ せるのではないか。 しかも、いったん導入されれば、突破口となって、 対象が拡大する恐れがある。 かつて経団連は「年収400万円以上」での導入を提言 していた。 残業規制を巡っても、今春、神津会長と、経団連の 榊原定征会長とのトップ会談の結果、「月100時間 未満」で決着した。 これは厚生労働省の過労死ラインと同水準で、上限規制 と呼ぶに値しない。 労働者の代表としての存在意義さえ疑われる状況だ。 誰のため、何のために連合はあるのか、突き詰めて問い 直すべきだ。