願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

契約約款の規定など民法を改正

 <契約関係の民法改正>

      改正民法、消費者保護に力点
      明治以来の大改正
      時事ドットコム 2017/05/26

  改正の目玉は、インターネット通販サービスの利用
 規約など、事業者が不特定多数の利用者と契約を結ぶ際
 に用いられる「約款」の項目の創設だ。

  膨大で難解な約款を利用者が読み飛ばすことも多く、
 解約時に意図せぬ違約金を請求されたり、一方的な約款
 変更で料金が値上げされたりといった消費者トラブルが
 相次いでいる。

  このため、「消費者の利益を一方的に害する」条項は
 無効であることを明記。内容変更は限定的に容認する。

  保険や銀行預金など契約が長期にわたる業態に配慮し、
 消費者利益への適合性と、必要性や妥当性などの事情に
 照らして合理的な場合は可能とした。

  約款に関するルールを確立することで、「利用者が
 約款を読まないことを前提にした悪質な事業者を抑止
 する」(法務省)のが狙い。ただ、経済界は利便性の
 高い約款への規制強化に抵抗したため、「利益を一方的
 に害する」以上の具体的な規制は見送られた。



 <改正の特徴>

  「大改正」と報道されているが、契約ルールを明文化
 して、一般に分かりやすくするのが目的だという。

  特に大きな変化が起こるというものではなく、裁判など
 で長い間に練られ、既に定着したものが法律になる。

  この改正の中で、日ごろの生活に関係するのが約款に
 ついて新たに規定されることです。

   約款は保険、運送、銀行取引などにおいて、多数の
 顧客と同じ内容の契約を締結する際に用いられる、統一
 した様式の契約条項。


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 <約款についてトラブル>

  約款の内容については、契約の一方である企業などが
 意図するところを作成して顧客に示すだけであって交渉
 の余地がない。

 細かく、難しい条項を読むということも少ないので、後
 でトラブルになり易い。免責条項や解約条項、違約金
 など顧客が不利益を受けることが問題になっている。

  今回改正の法律に、消費者が一方的に不利になる内容
 の条項は無効とする、と規定される。

 ただし、契約であることを消費者に示されて、合意すれ
 ば内容を理解していなくても契約が成立すると明記される。


  約款の免責条項が有効かが争われたケースで、最近
 話題になった裁判で判断が出されています。

  札幌ドームでプロ野球の試合中にファウルボールが
 観客に当たり、女性が失明した事故で球団に損害賠償を
 求めた裁判の控訴審判決です。



 <約款について争われた事例>

  平成28年5月20日 札幌高裁 判決

  争点(免責条項適用の有無)について

  (1) 控訴人ファイターズは、被控訴人との
   間においては、契約約款中の本件免責
   条項により主催者及び球場管理者は、

   観客が被ったファウルボールに起因する
   損害について責任を負わない旨の合意が
   成立していた。

   従って、控訴人ファイターズは本件事故
   について責任を負わない旨主張する。


  (2) しかしながら、以下のとおり本件に
   おいて上記合意が成立したとは認められ
   ない。

   本件のような具体的な法的紛争において
   て免責条項による法的効果を主張する
   ためには、

   観客である被控訴人において、その条項
   を現実に了解しているか、仮に具体的な

   了解はないとしても了解があったものと
   推定すべき具体的な状況があったことが
   必要である。

   本件においてはかかる状況は認められ
   ない。