金沢市役所前広場の使用不許可
<憲法記念日の集会> 憲法集会で市役所前広場 の使用認めず 金沢市 NHK 4月21日 金沢市の市民グループが、来月3日の憲法記念日 に市役所前の広場で憲法に関する集会を計画し、 広場の使用を申請したところ、金沢市は特定の政策 や主義に対し威力や気勢を示す行為に当たるとして 認めなかったことがわかりました。 金沢市の市民グループ、石川県憲法を守る会は、 憲法記念日に合わせて市役所前の広場で、憲法施行 70周年集会を計画し、先月末、広場を管理する 金沢市に使用を申請しました。 これに対し市は、特定の政策や主義に対し威力や 気勢を示す行為に当たり、施設の管理規則で禁じら れていると判断し、今月14日、広場の使用を認め ませんでした。
<広場使用を許可しない理由> 市の中立性という立場から、庁舎管理に支障があると 説明しているが、何を意味するのかよく分からない。 憲法集会だから、憲法を守ろうと主張し改憲を阻止する と大きな声を上げることがあろう。そういう行動を公共 的な広場で認めることができないとは、おかしな話。 政治的な批判が好ましくないというのは理解できない。 むしろ、金沢市が積極的に憲法を守る集会を主催しても よかろう。 逆に改憲を主張する団体が集まっても、それだけで不許 可とする理由にならないだろう。 <施設利用の許可、不許可> 行政施設の使用を許可するか否か、管理者の判断 が裁量権の逸脱又は濫用として違法となるのは、 判断過程に合理性を欠くか、その判断が社会通念に 照らし著しく妥当性を欠く場合である。 (最高裁 平成18年2月7日 判決) この裁判では、妨害行動などにより施設の周辺や地域 に混乱を招き管理に支障を来すことが予想されるとする 理由で行われた不許可処分は、考慮した事項に対する 評価が合理性を欠いており、他方当然考慮すべき事項を 十分考慮しておらず、結果社会通念に照らし著しく妥当 性を欠いたものと断定している。 <市役所前広場の利用> 憲法集会で使用を申請した市役所前広場は、金沢市 庁舎の敷地ではあるが面積は4000㎡と広大で、イベント 等に使用できる広場として整備されているという。 従って、公民館等と同様に公衆の共同使用を目的とした 公共的な広場という性質を併せ持つ公の施設といえる。 この使用許可については、市庁舎管理規則だけでなく、 地方自治法の規定に基づかなければならない。 正当な理由がないのに施設を利用することを拒否する こと、不当な差別的取扱いをすることは許されない。 <施設管理の支障> 公の施設について、管理に支障があるという場合 は許可権者の主観により予測されるだけでなく、 客観的な事実に照らして具体的に明らかに予測され る場合に初めて、使用を許可しないことができると いう裁判事例がある。 (最高裁 平成8年3月15日 判決) 市の説明では、政治への批判や拡声機、プラカード などを使うことを指摘している。 過去の事例で、施設使用の不許可を妥当とした裁判が あるが、このケースでは、主催者グループが違法な 実力行使を繰り返し、暴力抗争を続けていた。 暴力行使を伴う衝突が起こるなどの事態が客観的 事実によって具体的に明らかに予見された、とし ており不許可の決定を限定的に是認している。 公共の安全が損なわれる危険をいうには、明らか な差し迫った危険の発生が具体的に予見されること が必要との判断を示している。 (最高裁 平成7年3月7日 判決)