地方創生とは稼ぐこと
山本地方創生相「学芸員はがん。一掃を」 毎日新聞 2017/04/16 山本幸三地方創生担当相は16日、大津市での講演後、 観光やインバウンドによる地方創生に関する質疑で、 「一番のがんは文化学芸員だ。観光マインドが全く無く、 一掃しないとだめだ」と述べた。 法に基づく専門職員の存在意義を否定する発言で、波紋 を広げそうだ。 講演は滋賀県が主催し、山本氏は「地方創生とは稼ぐ こと」と定義して各地の優良事例を紹介した。 発言は会場からの質問への回答。山本氏は京都市の世界 遺産・二条城で英語の案内表示が以前は無かったこと などを指摘した上で、「文化財のルールで火も水も使え ない。花が生けられない、お茶もできない。そういうこ とが当然のように行われている」と述べ、学芸員を批判 した。 <学芸員の役割> 今回の出来事によって、博物館等で学芸員がいかに 重要な仕事をしているか広く知れ渡ることになった。 学芸員の役割や文化遺産の保存、資料の収集、保管など の意義が理解できたことは、かえって効果的な発言とも 言える。 しかし、一大臣の個人的な問題ではなく、歴史や伝統 を重んずるという政府の施策、実際の姿勢こそ問われて いる。 <観光と文化財保存> 文化と観光 経済効果ばかり見ないで 京都新聞 2017年04月23日 観光客が増え、文化資産や地域の文化環境が損なわれ る恐れは、繰り返し指摘されている。 観光による、いわば「文化の商品化」で、文化の本質 的な価値が失われかねない。文化保護と観光開発は往々 にして相反する。そうした衝突を乗り越える理念が、 「持続可能な文化観光」だ。世界遺産の諮問機関である 国際記念物遺跡会議(イコモス)が打ち出している。 文化観光は、体験する価値を保証する一方で、次世代 のために持続可能な方法で文化資産を管理しなければ いけない、という考えだ。
<稼げるまちづくり> 山本大臣が「地方創生とは稼ぐこと」と発言している が、これはこの政府が全体で取り組んでいる総合戦略 です。 稼げるまちづくり取組事例集 平成29年3月31日 内閣府地方創生推進事務局 平成28年12月12日に閣議決定された「まち・ひと・ しごと創生総合戦略2016改訂版」に基づき、地域の 「稼ぐ力」や「地域価値」の向上を図る「稼げるまち づくり」を推進するため、地方都市における「稼げる まちづくり」の有望事例を紹介する事例集「地域の チャレンジ100」を取りまとめた。 倉吉市のレトロ&クール 「稼げるまち」国のお墨付き 日本海新聞 2017年4月3日 内閣府の「稼げるまちづくり取組事例集『地域のチャ レンジ100』」の有望事例として、鳥取県倉吉市の 「白壁土蔵の街並み(レトロ)とポップカルチャー (クール)を組み合わせた集客拡大」が選ばれた。 市が進める「レトロ&クールツーリズム」が、国から お墨付きをもらったかたちだ。 <地方創生の政策> 東京一極集中のために地方の人口が減少し、地方都市 の衰退が日本全体を沈滞させると、認識されたために 集中是正が課題とされてきた。 このため、国は政府関係機関の地方移転、民間企業の 本社機能を地方にということを掲げていたが、無力にも 失速した。 しかも、政府機関の移転は、国が積極的に決めるべき であるのに、対象機関を地方に選ばせて自治体がメリット を説明しなければならないという手法を採った。 <地方の衰退> 地方創生の「稼げるまちづくり」も、政府機関の移転 と同様に国よりも地方に努力を求めるという逆転した考 えであろう。 集積の経済といわれ、人口が多い都市には多様なサー ビス産業が集まる。特に高度情報産業、金融サービス業 は関連産業に波及し地域を活性化させる特徴があると 説明されている。 人口が少ない地方で産業を振興するといっても難しい。 それは地方の問題ではないし、稼ぐ努力を求められる 性質のものではない。