願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

忖度する人とされる人

 <忖度を上司は知らない>

  忖度(そんたく)という言葉が話題になっている。

 他人の気持ちを推し量ることに過ぎないが、今議論され
 ているのは官僚が上司の意向を伺って先回りの行動を
 すること。首尾よく運べば評価が良くなる。

  しかし、問題は失敗や不正などが疑われた場合にどう
 扱うかということになる。

  専門家の説明によると、(1)忖度をされる上司は知ら
 ない。

 (2)忖度で不正、不当な行為は行われない。

 (3)不正、不当な行為となった場合は、勝手にした者
 が悪いだけになる。

  この説明で納得できないのは、(1)上司に認められる
 ためには、結果も途中経過も気付いてもらわなければ
 意味がない。

 (2)責任は下位者が負うことになるからといって、誰も
 がする常識的な行動で、高い評価がもらえるか。

  一番の問題は、忖度して行った結果が失敗して不正な
 どの追及を受ける場合。(3)勝手にした者が悪いだけと
 いうことになるのか。
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 <使用者と労働者>   労働事件では、上司の黙認ということがよく争点に  なっている。  残業時間の割増賃金にも、労災認定の際の労働時間に  ついて争いになる場合にも、裁判所は明示と黙示をほぼ  同等に扱っているのではないか。   就業規則等に、残業許可制を定めている場合や上司が  口頭で残業を禁止していることがある。  ところが、従業員が残業をしているのを黙認、放置して  いる場合、使用者の黙示の命令があったとみなされて  いる。  また、業務上の必要がある、残業をせざるを得ない状況  であるのに、残業を許可しないという場合にも同様に  扱われる。  <黙認の重さ>   上司が部下に対してする「黙認」がどう扱われるかと  いう問題がある。  口頭や書面で明示しない場合に、何も関係なしとされる  かというと、そうではない。   労働事件だけではない。「黙認」を軽く扱われない  ことがある。  法律によって違うだろうが、刑事事件においても「黙示  的な意思連絡があった」、「黙示の依頼があった」と  認定して有罪判決をしている事例がある。  <犯罪の黙認>   2度目差し戻し審で懲役6年=組員銃所持、   元幹部の共謀認定 大阪地裁       時事通信 2017/03/24   警護役の組員に拳銃を持たせたとして、銃刀法違反  (共同所持)罪に問われた指定暴力団の元幹部滝沢孝  被告の差し戻し審判決が大阪地裁であった。   芦高裁判長は「滝沢被告が抗争相手から襲撃される  危険を認識し、組員の銃所持を当然として受け入れて  いたと推認できる」と指摘。  同被告と組員との間で黙示的な意思連絡があったとし  て共謀を認めた。    飲酒運転同乗に有罪判決    懲役1年10月執行猶予4年     読売新聞 2012/07/06  *地裁、「暗に依頼」認定   長野市で昨年(2011)11月、女性2人が飲酒運転の  車にはねられて死傷したひき逃げ事件で、当時19歳  の元少年の飲酒運転と知りながら同乗したとして、  道交法違反(酒気帯び運転同乗)に問われた同市三輪、  無職宮沢翔幸被告の判決が5日、長野地裁であった。   高木順子裁判官は、被告が言葉に出さずに暗に運転  を依頼した場合も同法が適用されると認定し、懲役  1年10月、執行猶予4年を言い渡した。   判決は、飲酒運転への同乗を重く罰する立法趣旨  も検討し、「送ってほしいという被告の意図を運転者  が了解しており、明示的な依頼の言葉はなかったが、  『黙示の依頼』があったと認定するべきだ」と判断  した。