願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

高齢者と若者の社会保障負担

 <若者に厳しい政策>

    社会保障費の偏り 若者が声を上げる番だ
       毎日新聞 2016年2月14日 

  若い世代の社会保障費が極端に少ないのが日本の特徴
 だ。人口減少を食い止め、持続可能な社会にするために
 は「支える側」を拡充する必要がある。


  日本の社会保障の給付費は年金と医療で約8割を占め
 る。医療費のうち65歳以上が全体の58%を占め、
 現役世代とは1人当たりで4倍の開きがある。


 日本の高齢化は世界で最も進んでおり、高齢者向け経費
 がある程度かさむのはやむを得ないとしても、若者への
 支出は少な過ぎる。 


  現在は低賃金の非正規雇用が4割を占め、共働き世帯
 が専業主婦世帯より多くなった。


 非正規社員の待遇改善やひとり親家庭への支援、保育の
 拡充などが不可欠となっているのだ。 

  財政規律を守り、社会保障費全体を抑制する中で若い
 世代に予算を投入するには、働き続けられる人への年金
 支給を遅らせ、経済的に余裕のある高齢者の医療や介護
 の自己負担を引き上げるなどの政策が必要だ。 

  これまで政府は高齢者に厳しい政策を検討はしてきた
 が、実行は後回しにされることが多かった。高齢者の方
 が若者より投票率がはるかに高いうえ、高齢化の進展で
 年々高齢者の数が増えていくため、選挙のたびに高齢者
 に歓迎される公約が掲げられてきたためだ。


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 <世代間対立と社会保障削減>   世代間の対立を煽るような改革論が、若者に受けて  いた時期があった。経済関係者に多い議論でしたが、  単に世代間の不公平を指摘するのではなく、社会保障費  削減の主張につながっていたようです。   「社会保障亡国論」とか、労働分野の構造改革を主張  する立場。医療や介護を民間企業にゆだねて、社会保障  から成長産業に変えるという。   しかし、この議論は一面的な印象がある。現実の社会  で、どういう結びつきを考えてのことか。  家族では高齢者と、社会では先輩とも向き合っている。  相続遺産の多寡を云云しなくとも、世代間の関係は軽視  できない。   具体的に考えて、父母や祖父母の介護をする場合、  介護給付金がなければ困る。年金も充当しなければ若い  人は生活費に不足が出て父母の世話はできない。   高齢者の社会保障費を削減すれば、若者の負担が減る  とばかりは言えない。   むしろ、子どもの貧困、若年労働者の低収入、そして  低年金の高齢者など世代内に所得格差があり、そのため  の社会保障を充実させなければならない。  <高齢者か若者かではない>     高齢者の定義 見直しは慎重に論議せよ         高知新聞 2017.01.10   「高齢者」の定義を現在の65歳以上から10歳引き  上げ、75歳以上にするよう求める提言を日本老年学会  などが発表した。   だが、高齢者の年齢定義の見直し論議は慎重でなけれ  ばならない。社会保障や雇用制度と不可分の関係にある  からだ。方向性を誤れば、老後の穏やかな暮らしを揺る  がすことになりかねない。   退職後や老後に望む生活形態は人それぞれである。  高齢化が進むにつれ、さらに多様化するだろう。  「生涯現役」として働き続けたい人もいれば、趣味や  家族との時間を大切にしたい人もいるはずだ。  多様な価値観を認め合う余力がなければ、豊かな社会と  は言えまい。   現状の格差も深刻な課題だ。高収入を得ている人がい  る一方で、無年金や低年金で苦しんでいる人は少なくな  い。困窮者や健康を害した人には社会の支援が不可欠だ。   目指す社会の方向を見定めながら高齢者の定義も幅広  い観点から論議を重ねることが望まれる。