不当な勧誘、広告による被害
<誇大広告、不当表示> 化粧品広告85%が国基準に抵触 「感激続々」は問題あり 共同通信 2016/10/24 「たくさんの感激のお便り」と題し、体験談 として「シミが薄く」などと効果・効能を強調。 化粧品の広告でのこうした表示は国の基準で禁 じられているが、日本広告審査機構(JARO)な どがインターネット広告やウェブサイトを調べ た結果、85%が基準に抵触していたことが24日 分かった。 <消費者保護の強化> 誇大な広告、詐欺的な広告が横行して消費者が被害を 受けるという話が多い。 特に化粧品や薬品、健康食品などの広告は氾濫して いるが、現行の誇大広告禁止規定などの効果は限られる。 消費者保護の強化が求められ、専門家の間で消費者契約 法の改正が議論されている。法律の「不当な勧誘」の 規制の中に広告による勧誘も含めるべきかの検討もある という。 <事業者側の反対> 副作用大きい消費者契約法改正の再考を 日本経済新聞 2015/8/10 政府の消費者委員会の専門調査会が、消費者契約法 改正に向けた中間報告をまとめた。 消費者保護の強化を狙うあまり、事業者に過大な負担 を強いる法改正を進めるのではないか、と心配だ。 経済への副作用が大きすぎる規制強化は再考してほしい。 今回の消費者契約法改正論議の焦点は、事業者による 不適切な勧誘の範囲拡大だ。 契約を取り消せる「勧誘」の対象を「特定の取引を 誘引する目的をもってした行為」に広げ、不特定多数 に向けられた広告も場合によっては含める案が示された。 事業者にとってはビジネスに大きな影響が出る公算が 大きい。 たとえば、自動車のイメージ広告に、事業者が「乗り 心地やハンドルの重さは個人の感覚によって異なります」 といった注意書きを限りなく載せる必要が生じる、と みる専門家がいる。 また、消費者が「広告に書いていない」という理由だけ で返品や別商品への交換を要求する事態が頻発しかねない、 との懸念が事業者から出ている。 事業者に法令順守のための膨大な負担が生じ、経済活動が 萎縮する危険がある。
<消費者契約の取り消し> 消費者契約法では、消費者が契約の申込み等を取り消し できる場合を規定している。 不当な勧誘があったとされれば、消費者の取り消しが認め られることがある。 この勧誘について、広告の場合にも規制対象に含めるか どうかが議論になっている。 消費者側は、広告による勧誘が重要な原因となって誤認 するケースが多い、広告も対象に含まれるべきであると 主張している。 これに対して事業者側は、広告に不利益な事実の説明が ないことだけを理由に取り消しできるとすれば、事業者に は酷である、という。 事業者に厳しい法的規制は負担を増大させ、経済活動が 萎縮する危険がある、と主張する。 しかし、些細な説明ミスや不足を理由に事業者の責任を 問うことになってはいない。 消費者契約法4条には、事業者が勧誘をするに際し、 「重要事項」について消費者の利益になることを告げる とともに不利益となる事実を故意に告げなかったがため に、消費者が誤認した結果契約の申込み等をしたときは、 これを取り消すことができると、定めている。 「重要事項」に限っており、「故意」に告げなかった、 そのことにより消費者が「誤認」したという要件が明確 に規定されている。 消費者契約法は、消費者を保護するため立法化された ものであり、背景には消費者が事業者と対等に交渉でき ない、情報力などの大きな格差が認識されている。 社会的な弊害が明らかになれば、それに対応した措置 を考え、ある程度の負担は必要でなかろうか。 <最高裁の新しい判断> うそ広告なら契約取り消し 法規制対象、 消費者の救済を拡大 最高裁初判断 東京新聞 2017年1月25日 新聞折り込みチラシの配布を差し止められるかどうか が争われた訴訟の上告審判決で、最高裁第三小法廷は 二十四日、チラシを含む広告も「契約の勧誘」に当たり、 内容がうそだったり重要事実を隠したりした場合、消費 者契約法に基づき、商品購入契約の取り消しや、広告の 差し止めの対象になり得るとの初判断を示した。 不当な勧誘による被害は後を絶たない。顧客に契約を 直接勧める店頭や個別訪問での販売だけでなく、新聞や 雑誌といった紙媒体からテレビ、インターネットまで 広告全般が消費者契約法の規制対象となり、救済が図り やすくなりそうだ。 消費者庁は広告を勧誘とみなしていなかったが、内閣 府消費者委員会が定義の範囲を広げるよう求めている ことも踏まえ、解釈を見直す考えだ。