製造物責任、使用上の警告は適切か
<運動器具に欠陥か> ワンダーコア使用中に窒息死 親族提訴「器具の欠陥が原因」 東京新聞 2016年10月20日 腹筋を鍛える運動器具「ワンダーコア」を使用中に 死亡したのは器具の欠陥が原因として、名古屋市の男性 =当時(46)の親族女性が、ワンダーコアの輸入販売 会社「オークローンマーケティング」に七千万円の損害 賠償を求め、名古屋地裁に提訴した。 訴状によると、男性は昨年五月九日未明、自宅でワン ダーコアを使用中、首につけていたネックレス二本が、 器具のヘッドレストか背もたれ部分のピンに引っかかり 首を締め付けられて窒息死した。 ワンダーコアは背もたれが倒れることで、腹筋を鍛え る効果があるとされる運動器具。 親族女性は「器具には突起物が複数あり、ネックレス をした状態であれば、部品などに引っかかり首を締め付 ける。運動器具として安全性を欠いている」と主張。 製造物責任法などに基づいて損害賠償する義務があると した。 「ネックレスをつけて使用しない」との表示がないとし て、注意や警告をする法的義務があったと訴えている。
<製造物責任法の欠陥> 製品の欠陥によって損害を被ったことを証明した場合 に、被害者は製造会社などに対して損害賠償を求める ことができる。 製造物責任法は、「欠陥」について通常予見される 使用形態などの事情を考慮して、通常有すべき安全性を 欠いていること、と定義している(2条2項)。 そして、具体的には設計上、製造上の欠陥があるが、 ほかに指示・警告上の欠陥がある。 *指示・警告上の欠陥 例えば、製品によっては表示や取扱説明書中に、 設計や製造によって完全に除去できないような 危険について、それによる事故を回避するため の指示や警告が適切に示されているかどうかも 考慮されます。(製造物責任法 消費者の窓) となっている。 <被害発生を防止する警告義務> 製造物に設計、製造上の欠陥があるとはいえない場合 であっても、使用方法によっては通常そなえるべき安全 を欠き、人の生命等を侵害する危険がある。 この場合には、製造者等は被害発生を防止するための 注意事項を指示・警告することを求められる。 例えば、 給食用食器である強化耐熱ガラス製の食器 を床に落下させて生徒が受傷したという裁判事例がある。 食器を落とした生徒の不注意が原因かどうか争われた が、奈良地裁は、床に落下させ飛び散った場合の危険 性を取扱説明書等に十分な表示をしなかったことは、 製造物責任法三条にいう欠陥に当たる、 と判断している。(平成15.10.8)