願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

外国人実習で補完できるか

 <介護職に外国人>

      介護職に外国人材拡大 関連
      2法案が衆院通過
      日本経済新聞 2016/10/25

    人手不足が深刻化する介護現場での外国人材
   の受け入れを増やす出入国管理・難民認定法
   改正案が、25日午後の衆院本会議で自民、公明、
   民進など各党の賛成多数で可決された。

   日本の介護福祉士の国家資格を持つ外国人を対
   象に介護職の在留資格を新設。働きながら技術
   を学ぶ技能実習制度の対象職種にも介護を新た
   に加える。

    技能実習の期間を最長3年から5年に延長す
   る外国人技能実習適正実施法案と併せて可決し
   た。実習先の団体や企業を監督する組織も新設
   し、実習生に対する人権侵害を防ぐ。

    現在、看護・介護の分野で外国人の受け入れ
   が認められるのはインドネシアなど3カ国と結
   ぶ経済連携協定(EPA)の枠組みのみ。

   法整備後はEPA締結国以外からも留学生とし
   て日本に入国し、介護福祉士の資格取得後に
   就労ビザに切り替えて正式に働くことが可能に
   なる。技能実習生には日本の介護サービスを学
   びながら就労に従事してもらう。

   厚生労働省の試算では2025年に日本国内で約
   38万人の介護職が不足するとされ、政府は外国
   人材の登用が不可避とみている。


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 <実習生の受入れ目的>

  技能実習制度については、劣悪な労働環境や賃金不払
 いが問題になっている。

 外国人技能実習生の受入れ先を調査した結果、7割以上
 で違反が見つかったという。

  技術移転による途上国の発展という目的は形ばかりで、
 実態は安い労働力として実習生を利用していると批判さ
 れている。

 国連や米国政府からは「人身売買」「強制労働」などと
 指摘されているという。

  今回受け入れの拡大で、実習生に対する人権侵害を防
 止する姿勢を見せている。監視機関を新設して、立ち入
 り調査ができるという。

 しかし、現在の制度的な問題を残したまま実習生の不当
 待遇が解決することはない。

  成長戦略の一つにしている目的は、低賃金や重労働を
 理由に日本人が避け、人手不足となっている職場に穴埋
 めとして使うことにある。

  こうした厳しい労働環境を改善して、まず日本人も
 好んで就労できる条件に変えることが必要である。

 でなければ、現在従事する労働者の賃金などは一層悪化
 していくおそれがある。

 人手不足が深刻で外国人材が必要という、その現場の
 労働環境を変えることこそ急ぐべき課題である。



 <人権軽視の構造問題>

       外国人介護職拡大へ
      人権軽視の「使い捨て」危惧する
       愛媛新聞 2016年10月26日

    2025年には介護職員が約38万人不足す
   るとされ、対策が急務であることに違いはない。

   だが、日本人でも賃金が安く抑えられ、厳しい
   労働環境から人手不足に陥っている現状を変え
   ることが先決だ。その抜本改革なしに外国人で

   安易に労働力の穴埋めをしようとしても解決に
   ならない。コミュニケーションの難しさから
   介護事故やサービス低下にもつながりかねない。

    このままでは働く外国人の人権が守られず
   「使い捨て」にされることを危惧する。技能
   実習制度に関してはかねて、劣悪な労働環境や
   賃金不払いが問題になっている。

   日本の技術を途上国の経済発展に生かすという
   本来の目的は形骸化しており、低賃金労働者の
   確保に利用されているとして海外からも批判が
   絶えない。

   制度自体廃止すべき時機がとうにきているにも
   かかわらず、拡大へ逆行することに異議を唱え
   たい。

    新たな「外国人技能実習適正実施法案」では、
   不正監視機関を設置し、受け入れ団体や企業を
   立ち入り調査するという。だがこれまで同様、

   実習生が働く場所を変更することは原則できず、
   実習期間の途中に受け入れ先の都合で強制的に
   帰国させることも禁じていない。

   実習生を弱い立場に押しやる構造的な問題の
   放置は看過できない。

    さらに政府は、現在フィリピンなど3カ国か
   ら経済連携協定(EPA)に基づき受け入れて
   いる介護職員についても、就労先を拡大する
   方針だ。

    だがEPAで来日した多くが仕事を辞めて
   帰国している現実を忘れてはならない。他職種
   に就いている実習生の失踪も後を絶たない。