沖縄基地移設で、国と県の話し合い
<本土と沖縄の間に信頼関係> 沖縄は何に憤っているのか 日本経済新聞 2016/6/21 日米両国政府は沖縄県の要望を踏まえ、地位 協定における軍属の範囲の見直しを進めている。 特権が縮小すれば犯罪抑止効果が見込める。 ぜひ実現させてほしい。 問題は本土と沖縄の間に信頼関係がないこと だ。日米がいくら努力しても「どうせ小手先の 対策」と受け止められかねない。 沖縄の地理的重要性を考えれば一定数の米軍 が沖縄に駐留することは日本の安全保障にとって 不可欠だ。沖縄県民にもそう考える人は少なく ない。にもかかわらず反基地運動が盛り上がる のは、安倍政権の姿勢が県民の心情を硬化させ ているからではないか。 安倍政権は沖縄との話し合いの糸口をまず探 すべきだ。県民のために一生懸命に動いている と思われない限り、どんな対策を実施しても 効果は生まない。 * * * * * * * * * * * <話し合いの姿勢> 沖縄の米軍基地移設について、沖縄県では強く反対され ているが、政府は日本の安全保障にとって必要不可欠だと して強硬に推進しようとする。 推進側の主張は、米軍が沖縄に駐留する重要性は県民も 理解しているはず、沖縄の基地負担を軽減すれば反発も和 らぐに違いない。 日米の地位協定の見直しを進めている、政府は県南部の米 軍基地を早期に返還する努力を続ければ政府と県が連携し ていけるだろう、という。 問題は、政府の姿勢が県民の心情を硬化させていること、 沖縄との話し合いの糸口をまず探すべきだ。 一方反対側は、普天間の危険性を取り除くために辺野古 以外の選択肢を探る必要がある。仮に政府が裁判で勝った としても、県民の理解なしに移転が進むとは考えられない、 と主張する。 推進側、反対側双方とも話し合いを求めているが、その 内容には大きな違いがある。 推進側は、適地が他にあり得ない以上沖縄県の理解を得て 国の安全保障を確保しなければならない。粘り強く交渉し ていく以外に方法がない、という立場。 他方は、これ以上沖縄に基地を押し付けることは許され ない、沖縄県の民意は明確になっている、これを尊重して 解決を図るべきだ。 <沖縄の歴史を考える> 辺野古移設 沖縄の歴史向き合って 京都新聞 2016年06月23日 米軍属女性殺害事件を受けた琉球新報などに よる世論調査で防止策に4割強が全基地撤去、 3割近くが基地整理縮小を求めた。辺野古移設 反対は8割超にもなる。 事件に抗議する県民大会で聞かれた「怒りは 限界を超えた」の声に、政治は応えられるのか。 与党の自民は基地負担軽減、辺野古移設の推 進を掲げるが、公明は公約では触れていない。 民進党は、米軍再編に関する日米合意や日米 地位協定改定の提起を挙げる。共産、社民両党 は辺野古移設反対を打ち出している。 沖縄に在日米軍専用施設の74%が集中し、 住民の生命や生活を脅かす現状を放置するのは、 政治の怠慢だ。各党は公約から踏みだした議論 を交わす必要がある。 そもそも本土で反基地運動が盛り上がり、海 兵隊などが米軍施政下の沖縄に移されてきた。 そうした沖縄の歴史を本土の人間はどれほど 知っているだろう。明治政府によって琉球処分 (併合)が行われ、戦後はサンフラシスコ条約 で日本が主権回復した際に沖縄は切り離された。 近年、沖縄では「差別」や「独立」「自己 決定権」という言葉が切実に語られるという。 本土の選挙で沖縄が議論されることは少ない。 本土の多数が日米安保を支持しながら基地問題 を避けることで、小さな沖縄に押しつける。 それで民主主義と言えるのか。 暮らしや経済 だけでなく、一票を投じる前に考えたい。