願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

老朽原発の運転延長、核燃料サイクル


 <原発運転期間の延長>


       原発40年超運転
      「時間切れ廃炉」は許されない
       読売新聞 2016年02月25日


    運転開始から40年超の原子力発電所とし
   ては初の「合格証」である。

 

   原子力規制委員会は、再稼働に向けて詰め
   の審査を円滑に進めてもらいたい。

   

    関西電力高浜原発1、2号機について規制
   委は新規制基準に基づく安全性を確認したと
   する審査書案をまとめた。1か月の意見公募
   後に決定する。

 

    安全対策にお墨付きを与えたにもかかわら
   ず、時間切れで廃炉になる現行の仕組みに問
   題があるのは明らかだ。

 

   そもそも、原発の運転期間を40年とした
   ルールに科学的根拠はない。原子炉等規制法
   を再度、見直すべきだろう。

 

    政府は、2030年の電源構成で原発比率
   を20~22%とする目標を掲げている。

 

   「40年廃炉」が相次ぎ、新増設もなければ、
   30年の原発比率は15%前後にとどまる。
   49年にゼロとなる。

 

    発電コストなどに優れた原発の活用は日本
   経済の再生に欠かせない。原発を主要電源と
   して活用し続けることが重要である。

 

    政府は、安全が確認できた原発の運転延長
   だけでなく、新増設の方針を明確に打ち出す
   べきだ。

 

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 原発積極推進の主張は、次のようになっています。

 

  日本経済の再生のためには、発電コストなどに優れた
 原発の活用が欠かせない。そして、地球温暖化対策上、
 CO2を排出しない原発は、重要なエネルギーである。

 

 原発の再稼働を急ぎ、エネルギー自給を高めなければ
 ならない。

 

 原発の運転延長だけでなく、新増設も必要である。


 そこで、大きな課題は核燃料サイクルの実用化。

 

  核燃料サイクルを実現させないと、各原発に保管されて
 いる使用済み核燃料の行き場がなくなり、原発の稼働に
 支障を来す。


  プルトニウムを通常の原発で燃やすプルサーマル計画を
 軌道に乗せねばならない。高速増殖炉もんじゅ」の再起
 動もなお必要ではないか。

 となる。


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        核燃料サイクル
       米国への丁寧な説明が必要だ
       読売新聞 2016年03月23日

 

    原子力発電所の使用済み核燃料を再利用す
   する核燃料サイクル事業は、日本の原子力
   政策の柱だ。深刻なエネルギー事情を踏まえ、
   内外の理解を得る努力が欠かせない。

 

    1988年に発効した現行の日米原子力協
   定は、日本が使用済み核燃料の再処理やウラン
   濃縮を行うことを例外的に認めている。


    日本が保有するプルトニウムは約47・8
   トンで、核兵器約6000発分相当との指摘も
   あるが、燃料として再利用する目的だ。


    日本の課題は核燃料サイクルの実用化だ。
   再処理が進まないと原発の貯蔵プールは使用済
   み核燃料であふれ、運転不能になる。

 

    原発の再稼働を急ぎ、プルトニウムを通常の
   原発で燃やすプルサーマル計画を軌道に乗せね
   ばならない。高速増殖炉もんじゅ」の再起動
   もなお必要ではないか。

 

    日本は2年前の核安全サミットで、不要な核
   物質を米国に引き渡すことで合意した。プルト
   ニウムを積んだ専用船が日本を出港した。
   核物質の厳格管理をアピールする機会となろう。

 


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 これに対して、脱原発の主張は


 1)福島第1原発事故の教訓から、原発の運転期間を
  「原則」40年に制限するルールが設けられた。

 

 2)老朽原発の運転延長を認めて「原発依存」への回帰を
  加速させるべきでない。40年廃炉の原則を守ることが
  必要だ。

 

 3)政府は原発依存度を可能な限り下げるとした。40年
  ルールを守れば、30年の電源構成比率で原発比率は
  15%程度となる。

 

 4)ところが、政府は、原子力発電を将来にわたり堅持す
  る方針で、原発の割合を「20~22%」と決めた。

 

  この矛盾した政策のため、原発を再稼働させるだけで
  なく、原子炉の寿命を40年から、60年に延長する
  ことが必要となった。

 

 5)使用済み核燃料を生み続ければ、処分に窮する。
  核燃料サイクル政策は経済負担が過大であり、展望は
  ない。速やかに撤退するべきである。

 

 6)原子力発電は安全性、経済性、環境負荷のいずれにも
  優れた技術といえない。

 

 

 <原発依存を批判>


     老朽原発の合格 ルールが形骸化しないか
        高知新聞 2016.04.23


    原子力規制委員会は、関西電力の高浜原発
   1、2号機が新規制基準を満たすとする「審査
   書」を正式に決定した。運転開始から40年を
   超える原発では初めての合格となる。

 

   福島第1原発事故の教訓から、原発には運転
   期間を「原則」40年に制限するルールが設け
   られたが、事故から5年余りで早くも「特例」
   への道が開かれた格好だ。

 

    これが「先例」となってルールが形骸化し、
   運転を延長する老朽原発が相次ぐ恐れはないの
   か。なし崩し的に「原発依存」への回帰が加速
   する事態を懸念せざるを得ない。


    2014年に策定したエネルギー基本計画で、
   安倍政権は原発依存度を可能な限り下げるとし
   たものの、30年の電源構成比率では原発の割
   合を「20~22%」と決めた。

 

    実現には相当数の原発で「寿命」を延ばす必
   要がでてくる計算だ。あくまで特例である延長
   規定を、当初から「抜け道」にする方針だった
   とみて間違いあるまい。

 

    規制委の審査にも、政府方針の影響はなかった
   のかという疑問を禁じ得ない。

 

 

 <核燃料サイクルに展望がない>


        核燃料サイクル
       展望なき政策の抜本的見直しを
       愛媛新聞 2016年05月24日


    原発から出る使用済み核燃料の再処理事業の
   枠組みを変更する「再処理等拠出金法」が成立
   した。

 

   政府の関与を強めて事業継続を図るのが目的で、
   核燃料サイクル政策を「延命」させるための法
   といえよう。

 

    核燃サイクルは要となる再処理工場の完成が
   遅れ、再処理して抽出したプルトニウムを使う
   はずの高速増殖炉もんじゅも、相次ぐトラブル

 

   で運転実績はないに等しい。消費のめどが立た
   ないプルトニウムを蓄積するばかりで、政策は
   事実上破綻状態にある。

 

   にもかかわらず政府は事業継続のため巨費を投
   じ続ける。

 

   問題の先送りは許されず、政策を抜本的に見直
   すべきだ。


    政府が核燃サイクルに固執するのは、使用済
   み核燃料の処分に困っているからだ。再処理せ
   ず埋設する直接処分などへの転換を真剣に検討

 

   する必要があろう。核燃サイクルから速やかに
   撤退するとともに、新たな核のごみを生み続ける
   原発と決別しなければならない。