アルツハイマー病を抑制する薬
<認知症を抑制する薬> 明るいニュースです。アルツハイマー型認知症を抑制する薬剤 が確認されたという発表がされている。 認知症の進行を止めることはできないと考えられていたので、 大きな望みになる。しかも、既に他の病気治療に使われている薬 に効果が認められるということです。
不整脈薬に抑制効果=アルツハイマー病、 長寿医療センターなど 時事通信 2015/12/16 不整脈などの治療に使われる薬が、アルツハイマー型認知 症の原因となる神経細胞の脱落を抑制することが分かったと、 国立長寿医療研究センターなどが16日発表した。 マウスを使った実験で異常行動を抑制する効果が確認され、 認知症治療薬の開発につながる可能性があるという。 論文は英科学誌ネイチャー・コミュニケーションズに掲載さ れた。 アルツハイマー型認知症は、脳の神経細胞にあるたんぱく 質「タウ」が集まって「神経原線維変化」が起き、神経細胞 が脱落することで発症すると考えられている。 同センターと理化学研究所、同志社大の研究チームは、 タウの凝集を阻害する化合物を調査。 脈が遅くなる「徐脈」や気管支ぜんそくの治療に使われる 薬剤「イソプロテレノール」をマウスに3カ月間投与した ところ、タウの凝集を妨げ、神経細胞の脱落を抑える効果が あることが分かった。 神経活動の低下や異常行動についても、改善が見られたと いう。 同センターの高島明彦部長は「心臓に負担が掛かるなどの 副作用を克服し、人間でもマウスと同様の効果が得られるの か確かめたい」と話した。
<アルツハイマー病の原因物質> これまでの報道で、アミロイドβというタンパク質が脳に蓄積さ れて神経細胞が侵され、アルツハイマー病をひきおこすことが知 れていた。 また、アルツハイマー病を発症する前の早い段階に、脳の神経 細胞のタンパク質に異常が起きることが発見されたという報道が あった。 そして、今回の発表は、アルツハイマー病の原因物質タウ蛋白 質を標的として、その凝集を抑制するという研究です。 アルツハイマー病では、脳の神経細胞に「タウ」と呼ばれる蛋白 質が異常に集まって、細胞が死んでしまうとされている。 このタウ蛋白質が凝集するのを抑制するメカニズムが明らかに なったということです。 国立長寿医療研究センターのホームページに解説があります。 (2015年12月16日) これまでの研究から神経細胞脱落は、タウ蛋白質が原因と なって引き起こされると考えられてきたが、その相関は明確 にはわかっていなかった。 共同研究グループは、理研の天然化合物ライブラリーから、 認知症の原因物質とされるタウ蛋白質が体内で凝集すること を抑制する化合物をスクリーニングした。 この凝集阻害剤のうち、ドーパミンやアドレナリンのような カテコール核をもつ薬剤が、タウ蛋白質の凝集を阻害すること を見出した。 この結果は、アルツハイマー型認知症に直接関与するタウ 蛋白質を標的として、その凝集抑制のメカニズムを初めて 明らかにした報告であり、認知症の治療薬開発に新たな道を 切り開くものとして期待される。