原発再稼働の推進論
川内原発が再稼働したことについて、産業界は歓迎して
いるが、新聞各社の論調には批判的なものが多い。
多くの意見では、次のような点を共通して主張している。
国民が望んでいるのは原発ゼロ社会である。電気料金
が高騰して経済への悪影響を指摘する声があるが、
原発利用による低料金化は疑わしい。
省エネや太陽光、風力、地熱など再生可能エネルギー
に切り換えるべきだと。
これに対して、積極的に原発再稼働を推進すべきとする
立場では、どういう論拠になっているのか。
まず、新聞の主張から、
電気料金の重荷 上昇抑制は政府の責任だ
産経新聞 2015.7.20
電気料金の相次ぐ値上がりが、日本経済の再生に向けて
安倍晋三政権が進める成長戦略の障害となる恐れが強い。
経済産業省がまとめた今年度のエネルギー白書は、コスト
上昇の分析を通じ、率直に懸念を表明した。
現状認識は正しいが、コストを引き下げるための処方箋は
打ち出していない。料金上昇をめぐる原因は、原発再稼働の
遅れにほかならない。国内で稼働する原発が一基もない
「原発ゼロ」は2年近く続いている。
白書によると、昨年度の全国平均の家庭用料金は、東日本
大震災前に比べて25%、産業用は38%上昇した。
原発の長期停止に伴い、火力発電依存が強まり、海外から
輸入する燃料コストが増えているためだ。
料金上昇の影響がとくに深刻なのは、日本企業の9割以上
を占める中小・零細企業だ。日本商工会議所のアンケート
では、料金上昇への対応策として5割以上が「人件費の削減」
をあげた。こうした厳しい環境では、好循環実現に向けた賃上
げなど期待できまい。
続いて、代表的な識者の意見です。
「今の選択肢では、原発を動かしていくほかにない。
福島の事故から4年がたって、電気料金が家庭用で25%、
産業用で40%近く上昇した。温室効果ガスの排出量も著し
く増えている。これをずっと続けていくのは難しい。データを
みるとやはり、再稼働はここでやらなければならない。」
「原子力が他の電力供給源に比べてコストが安い、CO2を
出さないから環境に優しいという論点で原子力をやるので
あればやめた方が良い。
日本が専門性の高い人材基盤や技術基盤を維持しなけれ
ば、原子力の安全について語るにも、国際社会における
発言力はない。」
「平和利用における原子力の技術基盤を持ちこたえて、専門
性の高い技術者を蓄積し、世界に発言力と信頼できる技術
基盤を持っているということが、非核政策を展開していく上に
おいても重要じゃないか。」