健康食品の機能性表示<オピニオン比較>
健康食品の表示 緩くしすぎていいのか 北海道新聞 2015年03月10日 健康食品をめぐるトラブルは絶えない。それなのに来月 からメーカーが食品の健康への効果についての論文など を提出すれば販売できる制度が始まる。 健康の維持や増進に役立つ情報の発信が狙いだろうが、 あまりに条件が緩ければ、科学的な根拠の曖昧な表示が まかり通る懸念は拭えない。 問題は企業に頼る「性善説」に立っているように見える ことだ。 トクホは厳格な審査のため申請から許可まで 2年前後かかる場合もある。だが、機能性表示食品は 届け出から60日後には販売できる。 こんな短期間の確認で、健康への効果や適正な表示か どうかについて十分な評価ができるのか。 それでなくても消費者は「健康に良い」との情報を うのみにしがちである。 だが、消費者庁は業者が提出した資料をホームページ で公開するだけだ。適切か否かの判断を消費者に丸投 げしているように映る。こんなことでいいわけがない。
食品の効能表示/安全性が保たれる制度に 神戸新聞 2015/03/16 知っておきたいのは、表示は事業者の自己責任に委ね られ、国がデータなどを検証した上で“お墨付き”を与える 制度ではない、という点だ。 「曖昧な根拠で効能をうたう業者が現れるのでは」といった 消費者団体などの懸念は当然だろう。 虚偽表示など食品をめぐるトラブルは後を絶たない。その たびにリスクを負うのは消費者だ。優先されるべきは機能 性より安全性である。 悪用や健康被害を防ぐ仕組みまで事業者任せにしては ならない。 消費者庁も、事業者が提出したデータなどをホーム ページで公開した上で、商品を抜き打ちチェックし、問題 があれば改善を指導する、などのガイドラインを示しては いる。 だが、専門的な資料を適格に読み取り、表示が妥当か どうかを判断できる消費者はどれだけいるだろう。 消費者庁は監視体制を強化し、不正に厳しく対処する 姿勢を明確にすべきだ。情報を公開するだけでなく一定 の判断基準を示し、相談窓口を充実させるなど、消費者 が安心して利用できる制度にしていかねばならない。
<消費者団体の反対> 消費者団体の反対理由は次のように説明されて いる。 1)消費者被害の実態から目をそらし、企業活動のみ を優先させている。 2)科学的根拠が不確かなものに表示を許せば市場は 混乱し、消費者被害を拡大することになる。 3)悪質事業者の違法行為を合法化させることにつな がりかねない。 4)むしろ、根拠も不十分なままに健康増進に寄与する かのようなイメージだけで流通している 「いわゆる 健康食品」についての規制の強化を求めたい。 <消費者保護の必要性> 企業は情報の質、量において消費者よりも圧倒的に 優位な立場にある。交渉能力にも消費者との間に大き な格差があるので対等な取引が難しい。 このため消費者の利益を擁護する必要があり、法律など 制度が整備されている。消費者に過大な商品知識や 判断力を求めるのは、適切ではないと思われるが。
機能性表示食品 消費者にも「目利き力」が要る 読売新聞 2015年03月17日 体のために良いとうたった食品が、続々と登場すること になりそうだ。消費者には、自分に合ったものを選ぶ目利 きの力が求められる。 機能性表示食品制度が4月から始まる。健康への効果 について、科学的根拠を消費者庁に届け出れば、事業者 の責任で容器などに表示できる制度だ。 「おなかの調子を整える機能があります」「目の健康を 維持する機能があります」などと、身体の特定の部位へ の作用に関する表示が認められる。消費者の体調管理 の一助になるだろう。 加工食品だけでなく、生鮮食品までもが対象となる。 食品業界にとっては、ビジネスチャンスとなろう。 「科学的根拠が不明確なままに効果をうたう悪質業者が 出てくるのでは」と不安視する声が、消費者団体から出て いる。 公開された商品の成分や効果をあらかじめチェックした 上で、購入するよう心がけたい。