願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

賃金制度に欠陥あり?

 <企業の制度変更>

 

     日立が管理職1万人超の賃金制度を見直し
     「年功」廃止し成果主義に
          SankeiBiz 2014.9.26 

  日立製作所は26日、国内の課長級以上に当たる管理職社員
 約1万1千人の賃金制度を来月改定すると発表した。現行制度

 に残る年功的な部分を完全になくす。いま担っている仕事内容
 や責任の重さ、成果を直接的に反映する仕組みに見直す。

  比較的若い人や中途採用で勤続年数の短い外国人でも仕事
 内容に応じて高い報酬が得られるようにして意欲を高め、国際

 的な競争力を向上させる狙い。今後、国内外のグループ各社に
 新制度を広げる。一般社員への制度導入も検討する方針だ。

 <政府の議論>

 

      年功賃金、見直し本格化=経団連
      「子育て世代に配分」 政労使会議
         時事通信 2014/10/22

  政府は22日、経済界、労働界の代表とつくる政労使会議を
 開き、年功序列の賃金体系の見直しをめぐって議論を始めた。

  安倍晋三首相は会議の中であいさつし、「子育て世代や非正規
 労働者の処遇改善、労働生産性に見合った賃金体系への移行

 という大きな方向性について、政労使で共通認識を醸成してい
 きたい」と述べ、今後さらに議論を深めるよう求めた。

  経団連榊原定征会長は会議終了後、記者団に対し「子育
 て世代に配分が進む方向を目指すべきだ」と話し、今後の労使
 交渉で特に配慮すべきだとの考えを示した。

 <賃金抑制と処遇改善>   個別企業が、情勢に合わせて独自の経営判断をするのは当然  のことで、その中に社員の競争促進策があっても不思議ではない。   しかし、政府が持ち込むべきはそうではなかろう。労働安全
 とか、民間活動の行き過ぎに対応すること、例えば長時間労働、
 過労防止などではないだろうか。   内容面をよく考えれば、違った意見が紛れ込んでいるようだ。  最近盛んな競争力向上の人事制度は、若者や子育ての支援とは
 異質であろう。

 労働生産性が低い、日本の賃金が高すぎるという認識が基礎に
 あって、賃金体系を変えなければならないという考えであろう。 

 

      政労使会議  賃金体系見直し慎重に
        京都新聞 2014年10月02日

  安倍首相は賃金体系見直しで、年功ではなく、役職や成果
 に応じた制度に移行すれば若者や子育て世代に手厚く配分で
 きるとする。

  だが、企業側は総人件費抑制を続けており、これらの賃金
 底上げにつながるとは限らず、中高年らには賃下げの恐れも
 ある。

 賃金評価に不満が広がれば、年功賃金が果たしてきた帰属
 意識やチームワークを妨げ、人材流出にもつながりかね
 ない。成果最優先が長時間労働を助長することも心配だ。

  気になるのは、賃上げを目的に始まった政労使会議が労働
 改革の場としての性格を強めていることだ。持続的な経済
 成長に向け、非正規社員の処遇改善に加え、途中入社、子育
 て中の社員らが不利とならないよう政労使が真剣に向き合う
 必要がある。

 

      年功賃金見直し 政府の介入は筋違いだ
         北海道新聞 2014/11/07

  勤続年数や年齢に応じて賃金が上がる年功賃金は、民間の
 労使交渉の積み重ねで出来上がった慣行である。同時に、
 終身雇用などとともに、日本独自の雇用システムの根幹を
 なす。 

  そもそも、政府の関与はなじまない上、年功賃金のみを
 切り離して論じることはできない。 

  日本では雇用契約で職務を限定せず、企業は一括採用し
 た新卒者を教育訓練しながら、命じた仕事に従事させて
 いる。 

  社員は異動や転勤など経営側の都合を受け入れる一方、
 長期雇用を前提とした年功的な処遇が、企業への帰属意識を
 高める役割を果たしてきた。 

  政府は、中高年の賃金を抑制し、子育て世代の収入を増や
 すという目的を挙げている。 

 あたかも少子化問題の解決につながるかのような説明には
 違和感を覚えざるを得ない。 

  年功賃金を見直すには、単に賃金配分を変えるだけでは
 なく、雇用契約のあり方からさまざまな慣行まで再検討す
 る必要がある。 

  むしろ、子供が小中高校、大学と進学するにつれ、教育
 費が増える現状を考えれば、年功賃金には一定の合理性が
 あるだろう。 

  賃金体系に口を出す前に、政府は、少子化対策や教育
 予算の充実に本気で取り組むべきだ。 

  年功賃金は、労働市場を硬直化させた要因の一つとされ、
 多くの企業が年功的要素の比重を下げている。政労使会議
 では日立製作所パナソニックの取り組みが先進的事例と
 して紹介された。 

  だが、これらは主に、世界から人材を集めるグローバル
 企業である。外国人にも分かりやすい人事制度の設計を迫
 られ、労使合意の上で導入したのだ。 

  政府主導の政労使会議で年末までの短期間に結論を出し、
 それに沿って、企業が一律に方向転換できるような問題で
 はない。 

  業種、経営規模、輸出重視か内需型かといった個別の
 事情を踏まえ、企業ごとに労使で適切な方法を探るのが
 筋だ。

 <賃上げの要請>   そして、最近では次のような要請もされているが、どうなのか。

 

       政労使会議 首相、賃上げ要請
       経団連会長は受け入れへ
        産経新聞 2014年11月20日

  政府は19日、経済界、労働界の代表らと賃上げや雇用
 問題を協議する政労使会議の第3回会合を開いた。
 
 安倍晋三首相は経済の好循環実現のため、2年連続となる
 賃上げを要請。

 経団連榊原定征会長も受け入れる姿勢をみせ、年内に取
 りまとめる合意文書に盛り込むことを確認した。

  政府の賃上げ要請は、厳しい景気で物価上昇に苦しむ
 家計を支援し、消費を下支えするのが目的。

  会議終了後、榊原氏は「経済の好循環のため、来年春の
 賃上げは必要と認識している」と述べ、賃上げに応じる
 考えを示した。

 あわせて賃上げの原資となる法人税減税や規制緩和に政府
 が果敢に取り組むよう求めた。

 <短期的な成果を求める>   全く違う分野での指摘ですが、短期的な成果を求める傾向に  警鐘があります。

 

        ノーベル物理学賞3氏 自由で、
        無謀な挑戦に期待
         福井新聞 2014年10月9日

  大学や企業の研究力の低下である。政府の方針で、大学
 では成果が期待できる研究が幅を利かせる。企業でも研究
 開発への投資が減り、中身も既存技術の改良など短期的な
 成果を求める傾向が強まっている。新しい発見や革新的な
 技術を生み出すのは、自由な発想、無謀な挑戦からでは
 ないか。

  「はやりを気にせず、自分のやりたいことをするのが
 一番。好きなことなら結果が出なくても続けることができ
 る」。
 
 赤崎さんは後進にこう言葉を贈る。「一人荒野を行く」の
 気概を、日本の若者に望みたい。
          (部分引用)