願わくば大新聞も

ときの政権が右という場合でも、なびかないで欲しいと

TPP問題で賛否両論

 

       日米協議の詰めを急ぎTPP交渉決着を 
             日本経済新聞 2014/5/23

  シンガポールで開いた環太平洋経済連携協定(TPP)交渉
 の閣僚会合で、大筋合意に向けた道筋がようやく見えてきた。
 決着を目指す機運が高まったことを歓迎したい。

  日米両国の経済規模はTPP交渉国の約8割を占める。日米
 協議で決まる措置は、TPP域内の自由化の実質的な水準の
 目安となるだろう。

  日米の交渉担当者は「21世紀型の自由貿易協定」という
 TPPの看板に恥じない中身で、合意を築いてほしい。

 見かけ上の関税率の数字でなく、経済的に意味がある実質的
 な市場開放が重要だ。

  関税による保護に頼らない強い農業を築く改革の実行が、
  安倍政権の急務だ。一時的に不利益を被る農家や企業を支援

 する移行措置が必要になる場合もあるだろう。TPP交渉が
 大詰めを迎えた今こそ、こうした国内対策を含めて、通商
 政策と農業政策の知恵の絞りどころである。
                   (一部引用)

 

     TPP首脳会合/早期妥結の先導役担え
          毎日新聞 2013/10/9

  環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉の首脳会合
 は、年内妥結を目指すことで一致した。

  TPPは日本にとって重要な経済連携協定だ。政府は国内
 調整に意を尽くしながら、早期妥結の先導役を果たすべきだ。

  このまま早期妥結の機運が失われ、交渉がずるずると長期
 化する事態は避けなければならない。

 人口が減少している日本が成長するためには、アジア・太平
 洋地域の活力導入が欠かせない。この地域の貿易・投資
 ルールを決めるTPP交渉の成功は決定的に重要だ。

  TPPは日中韓自由貿易協定(FTA)や東アジア地域
 包括的経済連携(RCEP)などにも影響するだろう。

 それらの自由貿易交渉には中国も参加する。中国を高い
 レベルの自由経済圏に取り込むためにも、早期に決着させ
 たい。

 

    TPP交渉越年 期限を設け早期の妥結を
         産経新聞 2013.12.12 

  ずるずると交渉を長引かせていいのか。 このまま歩み寄
 りをみせず、参加国全体の交渉機運がしぼんでしまうことが
 心配だ。

 まずは新たな期限を設け、早期に合意を得られるよう交渉を
 加速しなければならない。

  利害がぶつかり合う経済連携交渉で安易な妥協は禁物だが、
 事態が打開できず、交渉が頓挫すれば、それこそ日本の国益
 に反することを忘れてはなるまい。

  日本がTPP交渉に参加したのは、アジア太平洋地域の
 発展を取り込み、日本の成長につなげるためだ。

 日米主導で新たな貿易・投資ルールづくりを進め、急速に
 台頭する中国を牽制する意味合いも大きい。

 <TPP推進の主張>   TPP推進論では、市場が拡大して貿易が促進され、経済成長を  もたらすという効果を強調する。   特に、人口が減少する日本はアジア・太平洋地域の活力を取り込  んで、産業強化を進めなければならないという。   また、21世紀型の自由貿易協定を目標として、高いレベルの市場  開放を求めている。   自由貿易は、国際分業によって図られ、経済全体に大きな利益を  もたらすことであり、鎖国状態にとどめて衰退を選ぶのは考えられ  ないという意見もある。  そのために、農業など国内産業が保護に頼らない強い競争力をつけ  なければならないと主張する。  <TPPに慎重な意見>   大手の新聞各社が積極的なのに対して、特に地方各紙には批判  的ないし慎重な意見も多くなっている。   慎重論では、高い目標といっても、国益や企業の利益を最大限  追及するというエゴが推進力になっているという批判がある。   貿易の自由化について、欧米先進国は自国が輸出する製品に  強く自由化を求め、輸入品については発展途上国の製品に対し  て保護政策をとってきた。   企業によって、大きな利益を受けるところもあるが、不利益を  被る産業、国民も出てくる。   競争を強要するあまり、自然、社会、経済、文化という社会的  基盤を破壊しかねない。   外国の投資家や企業が主導する形になっており、食品の規制、  健康保険など「安心・安全」の制度が危うい。   歴史や文化、経済規模や産業形態において、あまりに違いが大  きいから、一挙に歩調を合わせるのは無理がある。  2国間のEPAやFTAを積み重ねることで、国際化に対応する  方が柔軟に利害調整ができる、メリットも明快。

 

       TPP交渉 ISD条項も問題だ
          福島民報 2014年8月19日

  食品添加物の規制、遺伝子組み換え食品の表示義務、農産
 物の残留農薬規制、国民健康保険などの相互扶助制度、都道

 府県や市町村の地場産業育成や地元優先発注などは、日本で
 は当たり前の話だ。 

  しかし、外国の投資家や企業が不当に損害を強いられたと
 考える場合、ISD条項を使い提訴できる。外国の投資家や
 企業が、主権国家より上に立つ。

  米韓自由貿易協定(FTA)を結んだ韓国では、給食の
 地産地消エコカー補助金が影響を受けている。

  輸入品は安くなるかもしれないが、気を付けないと「何を
 食べているのか分からない」時代が来るかもしれない。
 TPP交渉の年内合意は難しいもようだ。時間はある。県民
 が問題意識を共有し、反対運動の必要性も含めて議論を深め
 るべきだ。

 

     TPP参加1年/国民への説明を強く求める
         河北新報 2014年7月23日 

  TPPはアジア・太平洋地域において、ヒト、モノ、カネ
 の自由な行き来を高度な水準で図ることが目的だ。

  そのことは国内で言えば、これらの自由な行き来を阻む
 障壁を取り払うか、極力低くすることである。

  言い換えれば、規制をなくすか、緩和することであり、
 「安心・安全」を担保してきた現行制度が変えられる恐れが
 あることだ。

  農業のみならず、国民の暮らしに直接関わりかねない交渉
 であるにもかかわらず、国民は判断する材料を一切、持ち合
 わせてはいない。これで民主国家といえるのだろうか。

 

  漂流するTPP交渉 一度白紙に戻して仕切り直せ
        愛媛新聞 2014年08月01日

  そもそも歴史や文化、経済規模や産業形態が違う国同士
 だ。統一ルールのもとで経済発展を目指すという構想自体
 が、著しい矛盾を抱えていると指摘しておきたい。 

  ましてや、日本と米国という経済大国を軸に、規模の小さ
 い新興国も交えた交渉である。知的財産や環境保全などの面
 で認識が違うのは当然であろう。

 ここはいったん交渉を棚上げし、各国の国内事情を再検討し、
 整理した上で、出直してはどうか。 
   、、、

  実質的には日米自由貿易協定(FTA)なのだ。巨大市場
 である中国やインドを抜いた枠組みが、日本に魅力のある
 経済圏とはいえまい。 

  強引に妥結しても、不協和音が大きい国々が同じ経済圏で
 共存するのは不可能だ。

 国内でも一部大企業が有利になり、農業や医療分野が危機的
 な状況になる恐れがある。産業格差を拡大するようでは、
 TPP参加の意義はない。

  オーストラリアと経済連携協定(EPA)締結に調印。
 続いてモンゴルとの締結に合意するなど、他の通商交渉は
 前進している。

 2国間協定は柔軟に利害のすり合わせが可能で、メリットも
 明快だ。今後はむしろ、2国間のEPAやFTAを積み重ね
 ることで、国際化への対応を探るべきだ。