成長戦略、企業重視か家計か
新成長戦略・骨太方針を閣議決定 15年度から法人減税 日本経済新聞 2014/06/24 政府は臨時閣議で、経済財政運営と改革の基本方針、新し い成長戦略、規制改革実施計画をそれぞれ決定した。 アジアや欧州の主要国より高い法人実効税率を2015年度から 数年間で20%台に引き下げる方向性を明記。関係省庁や業界 団体の抵抗が強い「岩盤規制」と呼ばれる雇用や農業、医療 の分野で改革を進める姿勢を打ち出した。
政府、成長へ企業と株価重視 共同通信 2014年6月16日 政府は16日、新たな成長戦略の全容を固め、産業競争力 会議に示した。安倍晋三首相が「岩盤」と呼ぶ規制に守られ た農業、雇用、医療分野の改革に着手し、人手不足に直面す る日本社会の活路を女性と外国人に求める方針を打ち出した。 株価を重視し、投資家や産業界の要望に応じた企業寄りの 政策が目立つ。家計や地域経済への波及効果は不透明だ。
新聞論調は、政府の積極的、開放的な経済政策を支持するもの が目立っていたが、企業よりに偏っているという批判的意見があり、 地方紙などには、国民生活、家計に目を向けるべきだというものが 多い。 <競争力強化の主な主張> *規制改革などで企業活動の壁を取り払い、成長力強化を急ぐ べきだ。企業が活動しやすい環境を整えること。 *企業の国際競争力を引き上げるには、実効税率の引き下げが 欠かせない *製造業の生産拠点が海外に移転することを食い止めることで、 国内生産は増加する。 *国内企業だけでなく、海外企業を呼び込み対内投資を促す。 *企業の利益を増やし、配当金額を増やす。賃金や設備投資を 上昇させ、個人消費にプラス効果 *企業の重荷を下ろす改革は最終的には家計の利益になる。
成長戦略 企業対策に偏りすぎだ 毎日新聞 2014年06月23日 長いデフレの中で企業の収益力は低下し、新興国との競争 激化で経営者は人件費削減に手をつけていった。新たに就職 する若者層が大きな影響を受け、低賃金で雇用調整もしやす い非正規社員が増え、格差が広がった。正社員である中高年 層の雇用は守られたものの、賃金は抑制され、長時間労働を 迫られている。成長を支えてきた分厚い中間層が失われ、 貧困も問題になっている。 目先の株式市場の評価にこだわり、効率を追い求めると、 たとえ経済が成長しても、格差は広がり、多くの国民の生活 は苦しくなる。こうした成長戦略はどこかで行き詰まると いう懸念が拭えない。 (一部引用)
<企業寄りに批判的な意見> *株価を重視し、投資家や産業界の要望に応じた企業寄りの 政策が目立つ。 株価が上昇したとしても、その上昇が長続きするかどうかは 疑問だ。 *企業は安い労働力を求めて海外進出しており、法人減税を 行っても企業の海外流出を止められない。 *法人減税による利益は、賃金や設備投資ではなく、企業の 内部留保や、借金の返済にまわる。 法人税を納めている3割程度の企業は、資金不足のために 国内で設備投資ができないというものではない。 *企業が減税によって浮いた資金を賃上げや雇用に回す保証は ない。もうけを蓄えていく可能性がある。 *日本企業の公的負担は、社会保険料の事業主負担を加える と、先進諸国とかわらない。 *法人税を払えない企業が全体の七割を超えている、大企業へ の恩恵となる。
[法人税減税]企業優遇で家計潤うか 沖縄タイムス 2014年6月15日 首相の描くシナリオは、企業の税負担が減れば、設備投資 や賃上げにつながり、その結果、景気が回復するというもの だろう。 だが、企業が減税によって浮いた資金を賃上げや雇用に回す 保証はない。もうけを蓄える内部留保に回す可能性も否定で きない。 そもそもなぜ、利益を上げている企業が、さらに優遇され るのか。それによって国民の生活にどのような恩恵があるの か、政府は十分に説明する必要がある。 、、、 賃上げの伴わない消費税増税や社会保険料の負担増は、 家計を疲弊させる一方だ。一部大企業のみが潤うだけでは、 安定した成長は望みようもない。中小・零細企業を含め個人 や家庭の暮らしが豊かになったと実感できなければアベノ ミクスは、いずれ行き詰まるだろう。