新聞社オピニオン欄から
(画一的な価値観について)
中日春秋 中日新聞 2013年11月18日 <口ぶえ吹いて空き地へ行った。知らない子はもう いない。みんな仲間だ。なかよしなんだ>。歌詞に覚え がある人は四十、五十歳代か。小学三、四年生向け 道徳教育番組「みんななかよし」のテーマ曲だ ・NHKの教育テレビで一九六二年から八七年まで放映 された。道徳の時間にこれを見せられた。短いドラマの 中で学校や家庭内で起こる問題が提示される ・飼育係の子どもの不始末で小鳥が死んでしまった。 三、四年生となれば、どう答えれば、先生が悪い顔を しないか知っている。飼育係も悪いが、私たちも、もっと 助けてあげればよかった。そう言えば問題ない。子ども 心にそう思っていた ・文部科学省の有識者会議が小中学校の道徳の教科格 上げを提唱している。検定教科書、記述式評価も加え たいという。やめておいた方がいいだろう ・子どもを甘く見てはいけない。評価が付く教科になれば、 子どもは先生の顔を見て大人の「正解」を答えるように なる。 「正解」に疑問を持った子は空気が読めない人間として 扱われるかもしれない。教室から本音や異論が消える ことの方が怖い ・<知らない子はもういない>。知らない子は追い出され て空き地からいなくなったと、不気味な思いこみをして いた同僚がいた。 いろんな考えがあった方がいい。異なる考え、価値をどう 守っていくか。それこそ道徳の問題だ。
社説 教育改革の行方 多様な価値観学んでこそ 西日本新聞 2013年11月23日 道徳の教科化は必要か 道徳は外面的で物理的強制を伴う法律などとは異なり、 自発的に正しい行為へと促す内面的なものである。 子どもたちの道徳心は、家庭や学校、社会でさまざまな 経験を積み重ねることにより、育まれていくものだろう。 発達段階に応じて授業内容を変えたり、体験談を基に 子どもたちに自由な議論をさせたりして、まず中身を充実 させることから始めるべきだ。 安倍政権が経済対策と並んで推し進めようとする教育 改革は何を目指しているのか。 時の政権が思い描く国家観や社会像を国民に浸透させる のが目的だとすれば、危ういと言わざるを得ない。 むしろ、多様な価値観や異文化を幅広く学ぶ機会を増 やすことが重要ではないか。 (一部引用)
異論、異文化、多様性こそ大事にしなければならない時にどう なっているのか、そういう指摘だろうと思います。 大勢に流されやすいのが、時代の風潮。何かにつけて一極 集中の傾向にある時、特に警戒すべきことではないか。 報道、言論関係に参考にしていただきたいという感じです。