企業減税は雇用や家計に波及するか
本丸の法人税率の引き下げを忘れるな 日本経済新聞 2013/6/30 期待したいのは国税と地方税を合わせた法人実効税率の 引き下げだ。 日本の税率は国際標準といわれる25~30%よりもまだ高い。 「7割以上の赤字企業が法人税を支払っていないのに、実効 税率を引き下げても経済的な効果は乏しい」と政府はいう。 だが幅広い国内企業に持続的な恩恵が及び、海外企業を 呼び込む動因にもなることを忘れてはならない。 実効税率引き下げは減収につながる。その財源を手当て するのは容易ではない。 役割を終えた租税特別措置を縮減する余地がある。国だけで なく地方の法人課税も軽減するため、固定資産税などの負担 増を提案する識者もいる。
法人税減税の効果に2つの疑問 マイナビニュース [2013/10/15] 企業の75%は法人税払わず 日本の法人税の実効税率は諸外国に比べて高いとされて います。 日本の実効税率を諸外国並みに安くすれば企業の手元資金 が増え、競争力が強化されて、経済が活性化するというのが 減税派の主張です。 しかし現実には法人税の減税は、それほど効果を上げない 可能性が高いと考えられます。 その理由のひとつに、日本では法人税を支払っている企業が 少ないという現実があります。 黒字法人は大企業が多いので、減税によって大企業が元気 になればよいという考え方もあるのですが、ここにも大きな 落とし穴があります。 「大企業の製造業」は軽い税負担 日本の法人税は実は公平な仕組みになっていません。 租税特別措置法という法律があり、一定の要件を満たせば 特定の法人が負担する税金を軽減させることができるように なっています。この適用を受けている法人は圧倒的に大企業 の製造業に集中しています。 特定企業への税の優遇を見直すといった税制の抜本改正 とセットにする必要があるでしょう。 しかし税制の抜本改正には根強い反対意見があり、実現は かなり難しいと考えられます。
<トリクルダウン理論> かつての政権の経済政策において、理論的裏付けとして多くの 人から好んで使われたが、その後聞かれなくなっていた。 最近は、再度この考えが有力になって政策推進の原動力のよう になっていると言われます。 「kotobank」から一部引用します。 経済学の理論の一つで、「富める者が富めば、貧しい者にも自然 に富が浸透(トリクルダウン)する」との考えを主軸とする。 「富裕層の所得が高まるだけ」、「先進国には通用しない」、「富が 下から上へ流れる状況を想定できなかった時代の理論」など、批判 も多い。
ロイター企業調査:復興特別法人税廃止、 賃金より内部留保へ Newsweek 2013年10月18日 10月ロイター企業調査によると、復興特別法人税が前倒し 廃止となっても、その分のキャッシュフローを賃金に振り向け る企業は5%にとどまり、雇用人員増強に充てる企業も5%と 少なかった。最も多かったのは内部留保にとどめるとの回答 で30%に上った。 設備投資への充当も更新投資が中心で、研究開発を上回る 結果となった。新たなキャッシュを今後の成長につなげる投資 に振り向ける企業の意欲や余裕はまだ弱いようだ。 「減税と唱えるほどの水準・額とはならない。せいぜい消費税 増税分の穴埋めにしか使えない」(サービス)と見ている企業 もある。 製造業は収益押し上げ要因となるとの回答が6割に上って いるにもかかわらず、賃金や雇用人員拡大に充てる企業は 合計で5%に過ぎず、非製造業の14%を下回っている。 キャッシュフローの増加が見込まれても、今のところ、雇用・ 所得の改善に充てる動きは限定的なものにとどまりそうだ。